
今回は、外科・内科を主に診療している医院をケーススタディとして、病院経営におけるIT活用を見ていきます。いま街の医院が抱えている主な問題点としては、以下のようなことがあげられます。
| 問題点 |
| 1. |
待合室がいつも混雑している |
| 2. |
医薬品等の購入時にムダが多い |
| 3. |
医療事故を防ぐ環境作りが未整備 |
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では、このような問題点の解決のためにはどのようなIT技術を導入していけばよいのでしょうか。G医院を例に見ていきましょう。

G医院は外科と内科を主たる診療科目としており、医師2人、看護師6人、事務職員3人の体制です。以前は薬剤師もいましたが、医薬分業により窓口での薬剤の交付は現在行っていません。
総収益は1億5,000万円で、地域の住民の評価が高く、予約制を採ってはいるものの待合室はいつも混雑している状態です。5年前に建替えをしたので借入金の返済はありますが、経営は順調です。
しかし、隣接する地域に医院の開業が続いたこともあり、競争環境は厳しくなりつつあります。そのため、ムリ・ムダを省くことの必要性を感じていた院長は、事務管理の合理化を中心にIT化を進めることにしました。

診療報酬の請求業務や給与管理等にはすでにパソコンを使用していますので、今回、合理化を進める業務は、診療の際に使用する医薬品・医療材料の管理、患者管理としました。
医薬品等の購入は、取引きしている医薬品・医療材料販売会社が複数あり、それぞれに定期的に補充されるまま引き取っていました。一応伝票の管理はしていたのですが、他の事務処理に追われていたことや、医薬品等は新薬の開発・販売も頻繁で採用する点数も多いこともあって、すでに仕入れた医薬品等の十分な管理ができず、使用期限が過ぎて使えなくなってしまったものも少なくないという状況でした。
そこで改善のために、まず整理整頓を徹底し、そのうえで医薬品に貼付されたバーコード(貼付されていないものは独自にバーコードを作成)をバーコード・リーダーで読取って単品管理をして、新旧薬品の取り違え、旧薬品の滞留などのミスをなくす工夫をしました。
患者管理の面では、診察券にバーコードを貼付することで、次回予約のスケジュール管理を行っています。予約は原則として、診療後に医師の指示と顧客の都合を合わせて受付(事務)で入力する方法を採っていますが、電話やインターネットからも、予約や予約修正を行えるようにしました。
インターネットでは、曜日・時間ごとの予約状況を確認、選択できるようにしており、会社勤めの忙しい人からは好評を得ています。

大学病院などで医療事故が発生していることもあり、G医院としても医薬品等の間違いによる事故を起こさない仕組みを作り上げる必要性を感じていました。
納入される医薬品等にはバーコードが貼付してあり、それを読取ることで管理ができるので、在庫管理・販売管理のパッケージ・ソフトをカスタマイズしてもらい、POSシステムを導入することにしました。
また、医薬品等を保管する棚と保管庫を新しく作り、後から仕入れた順番に使用するようにしました。さらに、棚・保管庫から取り出してから実際に使用するまでの取り違えを防ぐため、納入・保管・使用の各場所の近くにパソコンとバーコード・リーダーを置き、LANで結びました。
また、棚の各薬品の収納スペースもバーコードで管理しました。さらに、棚からの出入りを確認するために棚での新旧の相違をカラーカードや箱への色付け、カラーシールを貼ったりする(月ごとに違う色を使用するなど)ことで、視覚面でも違いをわかりやすくしました。

今回のIT化の投資額は、パソコン(6台)および付属設備、サーバおよびプリンター、ソフトウェア〔医薬品等の管理(カスタマイズ含む)や顧客管理〕、ホームページの制作費(予約システム含む)、棚・保管庫の新調で、約900万円となりました。
効果としては、医薬品等の在庫ロス100万円、人件費200万円(残業費等を含む)の削減ができました。また、医薬品に関して必要最小限の在庫とすることにより、ひと月あたり20万円の在庫負担額の低減を見込んでいます。
さらに、インターネット利用による予約・予約修正や診察申込みは、月平均50人の利用があります。
設備投資の減価償却を考慮すれば、十分に投資効果はあるものと考えられます。
G院長は今後、患者管理システムを活用し、患者とコミュニケーションを図り、囲込みを行うことで競争を勝ち抜いていきたいと考えています。

| 問題点1 |
納入先任せで在庫管理ができていない |
| → |
POS導入で、納入・保管・使用の各場面を管理する |
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| 問題点2 |
医療事故の発生予防 |
| → |
POSにより、使用時点管理で医薬品等の取り違え防止 |
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| 問題点3 |
医療事故の発生予防 |
| → |
インターネット予約システムの導入により、利便性を高める。将来はDM発行などで囲い込み強化を図る |
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