
第5回はプラスチック加工部品を製造する会社をケーススタディとして、製造業を見ていきます。製造業各社に共通する問題点としては、以下のようなことがあげられます。
| 問題点 |
| 1. |
取引き先からの価格引下げ要求 |
| 2. |
新規取引き先の確保がうまくいかない |
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このような問題は、どのようなIT技術を導入して解決していったらよいのでしょうか。プラスチック加工部品製造会社のJ社を例に、検討していきましょう。

プラスチック加工部品製造会社のJ社は、売上高3億円、従業員8人です。O社長はプラスチック加工会社で10年間勤務した後に独立し、30年が経ちました。大学で理工学を勉強し、民間企業の技術部門に勤めていた次男が入社し後継者となっています。
業容を支えているのは、特許を取得して製造しているオリジナルの工作用部品の堅実な売上げです。これ以外にも工作機械の受注生産も手がけていますが、まだ安定した需要を確保するまでにはいたっていません。
一方で、取引先からの価格引下げ要求が強まっていることもあって、その要請に対応するためにコストの低減が急務で、材料の購入価格を下げることが課題となっていました。しかし、材料の購入先とは長い間の取引きが続いていて、なかなか他の業者へ変更することを切りだせなかったり、また、新たな購入先をうまく見つけ出すことができず、コストの削減は進みませんでした。
そんなとき、たまたま参加した異業種交流会で、インターネットで新しい仕入先を見つけ出して仕入コストを低下させることができたという話を聞いたO社長が、後継者の次男にインターネットを活用した情報収集を任せたのが、J社のIT化の始まりでした。

現在J社では仕入先を見つけ出すために、インターネットの検索機能を活用して積極的に探す方法と、ホームページに自社の製品情報と仕入先募集情報を掲載して、ホームページを見た企業からのアプローチを受け付ける方法を採っています。
検索によって自社との取引きが可能と考えられる企業には、電話やインターネットで問い合わせをしています。新たな購入先を見つけて交渉するという取組みの結果として、年間の材料購入費を前年比5%程度低減することができました。
また、ホームページでの自社商品の紹介では、今まで取引きがなかった遠方の企業などからも問い合せがありました。そして実際に30社ほどから引合いがあり、そのうちの5社とはすでに取引きも始まっています。

同時に、材料の仕入から加工、組立て、完成までの工程をパソコンによって管理する簡単なソフトを次男が作成し、工程管理を行うようにしました。また、経理についてはパッケージソフトを購入し、経理担当者が使いこなしています。
製造に特化した体制をとっているため、原則として、営業は契約する商社に任せていましたが、今ではモバイルパソコンを持って積極的に同行営業を行い、相手先でのプレゼンテーションもするようになりました。

ホームページは、デザイナーやコピーライターなど専門家の指導を受けて、次男が制作しました。費用としては、パソコン(営業用モバイルパソコンを含む)、サーバ、周辺機器、ホームページ作成ソフトなどの購入費、専門家への謝礼、インターネット接続関連費等で150万円、経理パッケージソフトが約10万円(保守契約含む)、担当者の研修費約10万円の合計170万円ほどでした。工程管理ソフトは、次男が作成したため費用はかかっていません。
IT化を進めた効果として、部品の仕入コスト5%程の削減、経理ではコンサルタントのアドバイスもあって、担当者がソフトの扱いに慣れたところで税理士と交渉し、年間24万円程度顧問料を下げることができました。
また販路開拓としては、5社との取引が始まったことで、300万円ほど売上げを増加させることができました。
O社長は、コスト削減効果はあったもののまだ不十分と考えており、さらに5%程度、前年比10%の削減、売上げ増2,000万円を実現したいと考えています。

| 問題点1 |
価格競争に勝ち抜くためのコスト削減 |
| → |
インターネットを活用して積極的に検索する方法とホームページに自社の製品情報と仕入先募集情報を掲載 |
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| 問題点2 |
安定した需要の確保ができない |
| → |
契約する商社の営業に同行し、モバイルパソコンを持って相手先でプレゼンテーション |
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