
第3回の今回は菓子問屋をケーススタディとして卸売業を見ていきましょう。卸売業の抱える代表的な問題点としては、以下のようなことがあげられます。
| 問題点 |
| 1. |
取引先・小売店との受発注システムが未構築、あるいは古いものである |
| 2. |
在庫管理、販売管理が効率化されていない |
| 3. |
販売データが十分に活用されていない |
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自社独自のシステムを持つ卸売業がどのように効率化を進めていったか、北陸地方の菓子問屋K社をモデルに見ていきたいと思います。

北陸地方の菓子問屋K社は、売上高20億円、従業員数20人(パート・アルバイトを含む)で、百貨店への卸売りを中心に手堅い経営をしてきました。大手百貨店との取引があったので、IT化には早くから取組んでいました。第一期のIT化は8年前のこと。2,000万円ほどをかけて、外資系大手メーカーのパソコンとサーバを導入し、さらにソフト・ベンダーに委託して自社の仕様に合ったソフトウェアの開発を行いました。
この結果、大手百貨店とはダイヤルアップ方式でデータのやり取りを行う仕組みができましたが、他の取引先、特に小売店との取引の多くは相変わらずFAXや電話を利用して受発注を行うというものでした。
また、受発注以外に商品に関するデータ管理も課題として残りました。菓子には、季節性を持つものも少なくありません。製造会社への発注がある程度“カン”で行われていたため、欠品によるクレームや見込み発注による販売ロスもあり、この点もいずれ解決の必要がありました。
最初のIT導入から8年近く経過し、ソフトウェアの高度化や取引先のIT普及が進んだこともあり、K社では第二期のIT化に取組むことになりました。第二期のIT化の目的としては、全国の小売店への出荷などIT時代に適合した数値管理をすることがあり、そのためによいソフトはないかと探していました。

K社の納品書・請求書は独自の仕様だったため、パッケージソフトでは対応ができず、カスタマイズが可能なソフト・ベンダーを探す必要がありました。
そこでいろいろとベンダーを探して、販売管理パッケージを発売した同じ県内のソフト開発ベンチャーと、別の大手ソフト・ベンダーから相見積りを取ることにしました。

見積りを検討した結果、K社はソフト開発ベンチャーのパッケージソフトをカスタマイズする方法を選びました。
仕組みとしては、在庫管理と販売管理が連動したソフトウェアを導入、事務所内のパソコン6台を無線LANで結び(この内の4台のパソコンは新たに購入したものです)、データのやり取りを容易にしました。また、これを機にサーバも新しいものに替えました。外部とのネットワークに関しては、百貨店との接続はダイヤルアップ形式を継続し、小売店とのやり取りはインターネットを利用することにしました。
導入費用は、ソフトウェアのカスタマイズに約300万円、パソコンやサーバ、プリンター、無線LANのハブ等、ハードウェアの購入に約200万円、小売店との取引のためのインターネット環境の整備に20万円程度をかけました。

第一期のIT化では、ソフトウェアやハードウェアの仕組みがわかる社員がいなかったこともあり、企業規模を考えると多額のIT投資を行いましたが、経済環境も厳しくなっている折、再度以前のような多額の投資を行うことはできない状況でした。
そのため、社外の研修会・セミナーに社員を派遣したり、社内で勉強会を開催することによって、ソフトウェアやネットワークについての知識を持つ人材を養成しました。
その結果、ソフト・ベンダーに対して業務内容に必要となるソフトの仕様を伝えること、自社のソフト構築が可能なベンダーを見つけることなどが、最終的に社内の人材によりできるようになりました。また教育の結果、ソフトの操作によってパート従業員でも簡単にデータ分析結果を読み取ることができるようになりました。

今回のIT導入にあたって、ソフトウェアに関しては採用した企業と不採用であった企業の提示額の差は500万円もあり、導入時点でムダな支出を抑えることが可能となりました。
また、経費の削減に関しても大きなメリットが生じました。
一部を除いて取引先小売店のインターネット利用が進んだこともあり、事務処理にあたる社員を2人から1人にし、人件費を約400万円削減しました。
その他に、取引先との事務処理を80%ほど電子化できたこともあり、納品書や請求書の発送にかかる費用を年間10万円ほど、新商品の案内をデータ化することによりカタログ作成費など印刷費を50万円ほど削減するという効果も出ています。
さらに、それまでは販売データの集計が十分にできていなかったのですが、データ化が進んだことで集計も容易になり、発注の適正化によって機会ロスと在庫ロスを減少することができました。機会ロスの減少=売上増は導入初年度に1,000万円ほどになり、発注ミスによる在庫ロスをほぼなくす(在庫100万円の削減効果)という効果も得ることができました。

| 問題点1 |
取引先によって受発注システムが違う |
| → |
ソフト開発ベンチャーのパッケージソフトをカスタマイズして利用 |
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| 問題点2 |
第一期IT化から第二期IT化への移行 |
| → |
研修会・セミナー・勉強会を開催し、ソフトウェアやネットワークについての知識を持つ人材を社内に養成 |
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| 問題点3 |
受注処理の事務負担が大きい |
| → |
インターネットでの受発注促進と、データ化ツールの導入で受注・伝票処理をデータ化して事務処理時間を短縮 |
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| 問題点4 |
販売データの活用ができなかった |
| → |
受発注情報のデータ化と教育により、販売データの分析をパート従業員でも行えるようになり、効率的な発注を実現 |
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