
中堅・中小企業がIT導入をする際の課題を考えるこのシリーズ、今回は中華料理店をケーススタディとして、サービス業を見ていきます。このケースの問題点は以下のようなことがあげられます。今回は中華料理店のケースですが、以下のような問題点は、比較的どのような業態にも共通することがあるのではないでしょうか。
| 問題点 |
1. 注文の読み取りミスが起こる 2. 清算時の待ち時間が長い |
さて、中華料理店A社では、どのようなIT技術を導入してこれらの問題点を解決していったのでしょうか。

中華料理店を営むA社は、年間売上高1億5,000万円、従業員数10人(パート、アルバイトを含む)で、客席50席の店舗を経営しています。ビジネス街に位置していることもあり、昼時には特に近隣のビジネスマンの来店で店内は混雑しています。ですが同時にテイクアウトも行っているため、フロアなどから3人の従業員を取られてしまいます。その結果、店員不足のためか店内は混乱しています。
また、夕食時には飲茶をはじめとして単品の注文も多く、手書きでの注文への対応では読み取りの際にミスもあったりと、このままではお客さまが来店を敬遠するのではないかという状況になっていました。

そこで、注文や厨房への連絡の際のミスをなくすこと、精算時の待ち時間を減少させて顧客満足度を高めること、精算にかかる時間を減らしてテーブル対応や片付け作業の時間を確保することを、IT化により実現する取組みを進めました。
具体的な取組みとしては、ハンディーターミナルを利用して注文を取り、その情報をレジとやり取りすることで、注文・連絡ミスの削減と精算時間の短縮を実現する受発注システムを導入することにしたのです。
ハンディーターミナルに注文情報を入力することで注文がデータ化され、そのデータをレジに送信することでレジでは商品情報を打ち込む必要がなくなります。その結果、今まではレジで伝票の記録に従って注文品を打ち込むまでお客さまを待たせていたのですが、すぐに精算できるようになりました。

また、レジの蓄積データをパソコンに取込むことで、商品別の売上げや時間帯別、曜日別の販売状況を集計、分析することも容易になりました。
そして売上げデータをはじめ、支払い情報などを集計したデータを月に一度まとめて、契約する会計事務所にメールに添付して送信することで、会計事務所では、月次の会計分析結果を数日後にはA社に報告できるようになりました。

さらに、ホームページを開設しました。ホームページは、あまり凝ったものではなく簡素な作りにして、公的機関の制度を活用して専門家のアドバイスを受けながら若手の従業員が制作したので、経費を低く抑えることができました。
このように、A社は会計事務所とのやり取りに加えて、ホームページの開設によってパーティー予約の獲得をはじめとした宣伝広告を強化するために、ダイアルアップからADSLに切り替えました。

ホームページの制作をはじめとして、IT化にあたっての投資額は、インターネット関連費(ADSLへの切り替え工事等も含む)と通信費、パソコン、レジ、ハンディーターミナル3台の購入費、会計事務所が指定する会計ソフトの購入費、専門家派遣の費用などで、合計約200万円となりました。
さて、IT化の効果としては、以下のようなことがあげられます。
数字のデータ化により伝票を必要としなくなったことで消耗品費を10万円、会計事務所とのやり取りをデータ化することで、連絡のための人件費(交通費を含む)を4万円程度削減することができました。また、受注ミスが原因の確認作業などにかかっていた時間の短縮により約5万円(ミス処理時間を換算)、データ化によるレジ精算時間の短縮により約300万円(レジ精算にかかる年間時間数を換算)の削減効果も得ています。
従業員も、注文に時間を取られず、誤りも少なくなり、本来の配膳・サービスに集中できることでストレスもなくなったと好評です。

| 問題点1 |
注文時のミスと清算時の時間過多 |
| → |
ハンディーターミナルを利用して注文・連絡ミスの削減と精算時間短縮 |
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| 問題点2 |
店舗の広報がなされていない |
| → |
ホームページを開設し、広報機能を充実させパーティー客を獲得 |
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