
物流業界は発注元からの厳しいコスト削減要求と同業者内の競争激化により、厳しい経営環境を強いられています。生き残りのためには、コスト削減などによる経営効率の向上と、他社と異なるサービスの創出が求められています。
物流会社のV社は社員20人の小規模な会社で、業務用商品の配送業務を請け負っており、都心に本社、郊外に事業所(配送センター)を持ち、車両を10台所有しています。以前は特定の1社との間で専属的に配送業務を請け負っていたのですが、発注元の業績悪化に巻き込まれ受注が激減、一時期は企業の存続も危ぶまれるという事態を経験しました。
経営危機に陥った原因を検討したV社のK社長は、単なる“もの”の運搬だけではだめだ、という結論に至りました。 現在、食べものに関してはトレーサビリティーの確保が求められていますが、それと同様に、物流もトレーサビリティーの一端を担っていることに着目したのです。食べものだけではなく、その他のものについても配送状況やその経路などを消費者に報告することが求められている時代になっています。K社長は、そのニーズに応えることが、物流企業として必要であると考えたのです。

そこでK社長は、ドライバーにソフトウェアをインストールしたハンディーターミナルを持たせ、商品の流れを把握できるようにしました。ドライバーは、まず積み込みの際に、ハンディーターミナルで商品コードを読み取ります(その際に時間も記録されます)。そして配達先に届けた際に、もう一度商品コードを読み取り時間を記録します。これで時間による商品の流れが明確になり、発注元に正確な報告を行えるようになったのです。
また、一定期間の配送データを蓄積し分析することで、曜日や時間帯ごとに最適な配送ルートを導き出すことも可能になりました。
さらに、ドライバーの業務の流れを管理することができるので、ドライバーに対して仕事を正確・効率的に行うよう注意を喚起できるようになりました。
具体的には、業務終了の都度ドライバーの運転データを事業所のパソコンに入力し、それぞれのデータを本社に送り、それを受けた本社ではデータをまとめ、顧客ごとに整理しなおして報告する体制を整備し実行しているのです。この取組みは、発注元の評価を得ることになりました。

この実現のために、V社ではハンディーターミナル、販売・在庫管理ソフト(パッケージソフト)、本社と事業所への専用のパソコンおよび関連機器を購入しました。また、ハンディーターミナルを扱うにあたって、ドライバーのみならず、事務職員も含めた教育研修を実施しました。さらに、本社と事業所では簡単なLAN工事と事業所のインターネット接続工事を行いました。そのため、投資総額は約300万円となりました。

以上のような取組みにより、顧客の信頼を生み受注件数を前年比10%伸ばすことができました。さらに、配送ルートの最適化などによる業務効率化の結果、一人当たりの残業時間を週平均2時間以内に短縮、燃料費などを1台あたり月1万円ほど削減することができました。
V社では、このようにハンディーターミナルを活用して管理データを顧客にいち早く伝えることで、厳しい環境下にもかかわらず受注を確保、同時にITによる業務管理で経営効率を高めているのです。
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