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いくらかかるの?IT導入
第2回 顧客管理と販売管理の連動を成功させる

2004年06月07日
350万円で不良在庫の削減と顧客リピート率のアップを実現

問題点:販売機会ロスの多発

 B社は若い女性向けの衣料品を販売する小売店です。衣料品は競争が激しく、しかも流行や気候に左右されやすいため、努力を怠ると敗退を余儀なくされる厳しい業種です。
同社は駅前で3店舗を経営しており、それぞれの品揃え、規模や立地はほぼ同じなのですが、同じ商品でも売れ行きに差が生じ、A店では在庫があるのに、C店では売り切れたままにして機会ロスを生じさせてしまうなどということが少なくありませんでした。

解決法:顧客管理と販売管理の連動を施策

このような状況を克服するため、B社のK社長はインターネットを中心としたITを活用することにしました。
[1] 顧客の固定化を図るために、ポイントカードを発行して顧客の購買データを把握し効果的なDM発行やインセンティブを与える。
[2] 機会ロスを減少させるためにPOSを導入して、さらに3店間をインターネットで結び、販売情報の共有を図る。


 これら2点、つまり「顧客管理」「販売管理」の施策をとったのです。

 このように、顧客管理と販売管理を連動させたことで、お客さまが“いつ”、“どんな商品”を、“購入された”のか、また、一定期間ごとの購入累計額や来店頻度を各店ごとに把握できるようになりました。
 さらにデータを分析することで、A駅前店では10代前半から20代前半までの女性が、B駅前店では20代から30代前半までの女性が中心となる顧客層であることがわかりました。そこで、当初は各店とも同じ品揃えだったのを、それぞれの中心顧客層に合わせて調整するようにしたのです。

 また、インターネットで他店および全体の販売状況や在庫を確認し、品薄になった商品は品切れになる前に他店から取寄せるか、補充しないままにするかを判断するようにしています。そして、売行きが鈍った商品については、仕入れの抑制と同時に段階的に価格を下げたり、ポイントを付加すること(2倍にするなど)で購入を促進させて、早く売り切るようにしています(ちなみに、これらの判断は各店ごとのスタッフ会議で行われています)。
 以上のような取組みによって、機会ロスの削減と不必要な仕入れを抑制することができるようになったのです。

投資:約350万円で3店舗を結ぶシステム構築

 インターネット環境の整備は、本店では店舗(1階)と事務室(2階)をLANで結ぶための配線工事、各店では接続工事を行いました。基本設備はパソコンにバーコードリーダーやポイントカードの読取・書込機を接続した簡易なものとし、顧客管理と販売・在庫管理が連動したパッケージソフトを購入しました。結果、パソコン本体やプリンター、バーコードプリンター、リライトカードなどの購入で投資総額は約350万円ほどとなりました。

効果:機会ロスの削減と社員のモチベーションアップが実現!

 今回のIT化により、不良在庫の前年比20%減少、販売(機会)ロスを前年比30%程度の削減、顧客リピート率の約10%向上、緊急を要しない店舗間連絡を電子メールに変更したことで通信費の20%ほどの削減ができました。

 また、具体的な数字以外の部分でも、スタッフの誰もがインターネットで流行情報を確認し、常に新しい知識を身につけることで、お客さまへの情報提供やサービスが充実して高い評価を得られるようになったり、スタッフが品揃えや仕入れの判断に参加することで、“判断能力の向上”、“店への愛着がわく”などの効果が見られたのです。
 さらに、各店の販売状況を公開することで競争意識が働いて、販売への努力が見られるようにもなりました。

投資と効果
 B社全体としても、若い女性がお客さまの中心と考えていたのに意外に幅広い女性が利用しているということがわかったので、仕入れる商品のデザインや品質、価格帯について再検討し、店作りやスタッフの配置を工夫することができるようになりました。
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村山 賢誌(むらやま けんじ)
・中小企業診断士/ITコーディネータ/ファイナンシャルプランナーなど
・法政大学 経済学部経済学科卒業

・主な実績
(社)中小企業診断協会東京支部中央支会理事・研究会部副部長、東京都高齢者・福祉研究財団登録ナレッジバンク協力員、IT推進アドバイザー、東京都福祉サービス評価推進機構評価員、東京商工会議所経営安定特別相談室専門スタッフ、創業サポートセンター相談員(起業等支援コンサルタント)など。他、企業研修や講演など精力的に活動。

著書に『経営指導ハンドブック(共著:第一法規出版)』、『ビジネス能力検定2級・3級精選・演習問題(共著:経林書房)』、『戦略的IT経営(共著:カットシステム)』など多数。

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