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ITで失敗しないケーススタディ
頭のよいIT導入法 第10回 IT導入の成功事例2〜業務改革を断行
2005年06月27日再掲載
外部の人材の登用と業務改革
取引慣行にとらわれないPOS導入が大きな成果につながった
取引慣行にとらわれないPOS導入が大きな成果につながった
 「頭のよいIT導入法」についてのお話も、最終回になりました。今回もIT導入の成功事例を紹介して、最後にまとめを行います。

 B社はファッション関連の小物を扱っている卸売り業者です。この業界では返品が常態化していて、同社でも返品に伴う損失や在庫負担の増加を価格に上乗せするという場当たり的な経営を続けた結果、収益が圧迫されていました。そこで、社長は従来の取引慣行を打ち破るべく、外部の人材であるC氏をスカウトしました。C氏はシステム構築や在庫管理には強いのですが、この業界に関する知識はありません。当初は断っていたのですが、社長に口説かれてシステム導入の責任者として同社に入社しました。

 社長がC氏に責任と権限を与えたところ、C氏は今までの取引慣行にとらわれることなくPOS端末を店舗に入れ、そのPOS情報を製造業者と共有するという改革を行いました。当初は反発もありましたが、従来の“不合理な業務プロセス”を“合理的で効率のよい業務プロセス”に変えるということに、次第に理解を得られるようになったのです。現在では原材料の供給業者・製造業者・B社・店舗の全ての企業がPOS情報を共有化しています。

納期が1ヵ月から2日に短縮!
ITは「目的」ではなく「道具」であることを常に意識しておこう
ITは「目的」ではなく「道具」であることを常に意識しておこう
 これによって商品の販売動向がわかるため、無駄な生産がなくなり在庫が圧倒的に減りました。その結果、製造開始から販売までの在庫日数が一般企業では平均200日のところ、同社では30日未満になっています。また、物流センターには最新式のデジタルピッキングシステムを導入し、さらに物流の効率化を図っています。
 他にも、店舗での発注から納品までの期間が1ヵ月から2日に短縮、物流在庫が95%削減、製造業者での生産リードタイムが20%削減と、IT化による業務の改善効果は目覚しいものになっています。
 同社の例はまさにITが経営改善、業績向上に貢献した見本であると言えましょう。社長のリーダーシップの下、目的を見失うことなく業務改革を行ったことが成功要因です。

 さて、今回まで10回にわたって「頭のよいIT導入法」をお話してきました。連載の最初に「情報化」と「情報システム化」の違いをお話しましたが、情報化の目的はあくまで「業績向上」です。そのための業務改善であり、経営改革なのです。ITはそれを実現する手段にすぎません。それを忘れないことが「頭のよいIT導入法」の第一歩、であると言えるでしょう。

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柄沢 明久 (からさわ あきひさ)
・有限会社マネジメントクリエーション代表
・中小企業診断士、ITコーディネータ、1級販売士など
・東京工業大学 工学部経営工学科卒業

・主な実績
消費生活アドバイザー・コンサルタント協会会員活動委員副委員長、中小企業診断協会東京支部正会員、東京販売士協会常任理事、NPOサンフラワー21理事、中小企業総合事業団登録情報化推進アドバイザー。著書に『経営のヒント(埼玉新聞コラム)』、『SE/CTO/経営者のための戦略的IT経営(共著:カットシステム社)』多数。

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