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ITで失敗しないケーススタディ
頭のよいIT導入法 第9回 IT導入の成功事例1〜できるところから段階的に
2005年06月20日再掲載
「段階的導入」の実践例
「できること」から段階的に始めることも成功の秘訣
 今回は前回とは反対に、見事にIT導入に成功した例を紹介します。

 A社は家庭とオフィスの双方を顧客として、環境衛生用品のレンタルや掃除の代行を行なっている会社です。同社の業務は定期的な顧客訪問が中心で、クレームや要望、解約といった顧客に関する情報や、売掛・売上のような営業情報などが定期的に集まります。また、重要なクレームに対しては即刻対応する必要があります。
 同社にとって情報化への取り組みの目的は、これらの業務に対処するための「情報の共有」と「スピード化」です。ITの導入も、それを実現するための道具というわけです。そこでA社は社長の強いリーダーシップのもとに、簡単で取り組みやすい業務からIT化を進めていきました。

 まず、営業支援のためにオフィス・コンピュータを導入し、定期的に発生する情報の蓄積を始めました。次にパソコンを導入して個人のスケジュール管理を始め、ついでインターネット上にホームページを開設して、顧客とのコミュニケーションの強化を図りました。その次にはボイスメールを導入。このボイスメールの一斉同報を利用して、「クレーム情報」や「顧客からの要望」といった情報を、社員同士で迅速に共有することができました。そしてさらに、電子手帳を全社員に配り、次にはPHSを全社員に配布しました。そしてiモードのサービスが始まるといち早く導入を決めたのです。

10年間で売上高は3倍に!
「売上高3倍、内勤の人員2分の1」も実現できる!
 このようにA社は少しずつ段階的にITを導入していきました。しかし、A社にとってこのIT導入はIT化そのものが目的だったのではなく、あくまでもいらない仕事を減らすために導入したのです。

 例えば、iモードでのメールの受信は緊急時の連絡に役に立ちますし、また電子手帳と各種携帯ツールを利用することで、細切れの時間の有効活用が可能になりました。これにより報告・連絡・相談のための長い残業が減ったのです。
 さらに、同社のIT化は顧客満足度の向上にも寄与しています。コールセンターでは、センターで受けた顧客からの電話に顧客データベースの情報を加えて、担当者のiモード携帯電話に送信します。これにより、担当者が外出中であっても顧客への連絡が圧倒的に速くできるようになりました。

 もっとも、同社のIT化は初めから順調だったわけではありません。当初は否定的な社員もいました。しかし社長自らが率先してIT機器を使いこなしていたことと、IT化により業務がどんどん効率化していった事実から、順調にITが浸透していったのです。

 このように、同社は無理なく段階的にIT化をすすめることによって、現在はトップクラスのIT活用企業に成長しました。
 IT化自体が目的ではなく、「情報の共有」と「スピード化」という業務目的を達成するための道具として、ITを導入したことが成功の秘訣だったと言えます。その経営への貢献度は、IT化を始めてから10年間で売上高が3倍になったのに対し、内勤者は半分以下になっているという事実からも明白でしょう。

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柄沢 明久 (からさわ あきひさ)
・有限会社マネジメントクリエーション代表
・中小企業診断士、ITコーディネータ、1級販売士など
・東京工業大学 工学部経営工学科卒業

・主な実績
消費生活アドバイザー・コンサルタント協会会員活動委員副委員長、中小企業診断協会東京支部正会員、東京販売士協会常任理事、NPOサンフラワー21理事、中小企業総合事業団登録情報化推進アドバイザー。著書に『経営のヒント(埼玉新聞コラム)』、『SE/CTO/経営者のための戦略的IT経営(共著:カットシステム社)』多数。

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