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ITで失敗しないケーススタディ
頭のよいIT導入法 第6回 無理のないeコマースの導入法
2005年05月30日再掲載
まさに中小企業向きのeコマース
 今回は少し実務的な話をしましょう。インターネットを利用した取引、つまりeコマースについての話です。eコマースにはBtoB(企業間取引)、BtoC(企業対消費者取引)、CtoC(消費者間取引)がありますが、その中でまず、BtoBを取り上げます。
 近年BtoBは急激に伸びています。以前から企業間での専用ネットワークによる取引はありましたが、そのためには多額の設備投資が必要でした。しかし、現在ではインターネットを利用した低コストのeコマースが可能です。その特徴は、低コストでスピードのある取引が可能であること、日本中(世界中)の不特定多数の顧客に販売できること、在庫を持つ必要がないことなどが挙げられます。これは中小企業でも大企業と対等なビジネスが可能であることを意味し、したがってeコマースは中小企業向きだといえるでしょう。
eコマースを始める2つの方法
 先日、「社内でようやくPCを導入したので、なんとかBtoBに挑戦したい」という中小企業の社長さんから相談を受け、次のようなアドバイスをしました。
 まず、手っ取り早い方法としてeマーケットプレイスに登録するというやり方があります。eマーケットプレイスとは不特定多数が集う市場取引の場で、多くは会員制ですが、登録すると多くの売り手と買い手があつまる市場に参加できます。最新の発注情 報がアップされますから、それを見ながら、自社の商品やサービスの売り込みができるというわけです。当然ながらライバルも多いので、必ず受注できるとは限りませんし、また自社への発注があるかどうかもわかりませんが、数多くの企業が集まっていますから、参加しておく価値はあります。

 一方では自社の商品やサービスの情報を積極的に発信することも大切です。そのよい方法として、自社のホームページの作成をおすすめします。ホームページを作り、検索エンジンに登録するなどして、とにかく情報を発信することが肝心です。そのうちに問合せがくればしめたもの、きちんと対応することで信用力がつきます。次のステップとしてそのホームページに取引用のサイトを設置します。eコマースサイトの立ち上げです。このようにステップを踏んで行くことで、無理なくBtoBを立ち上げることができます。

eコマースを成功させる条件とは
 ただし、eコマースサイトを成功させるためには、いくつかの条件があります。
 第一に、どんな商品・サービスを、誰をターゲットにして販売するかを明確にすることです。提供する商品・サービスの特徴は何か、他社製品との違いを訴えることも必要です。

 第二に、魅力あるホームページにすることです。ホームページを作成する場合には専門の業者に委託して、優れた機能とデザインのものを作りましょう。ただし掲載する内容(これをコンテンツといいます)は、当然ながら自社で考えなければいけません。一度訪問したら再び訪問したくなるように、コンテンツを工夫しましょう。
 そしてさらに大切なのは、ホームページを常に新鮮なものにしておくことです。最低でも週に一回は新たな情報を掲載してホームページを更新していきましょう。これを怠ると失敗します。内容は、新商品情報、商品の使い方、社長のメッセージ、新商品の開発動向、自社の技術の解説、業界の動向など顧客の興味を引きそうなものがいいでしょう。

 第三に、担当者を社内に置くことです。情報発信の段階、商取引の段階のいずれも、問合せや注文に対して迅速な対応が必要です。遅くとも次の日までにはメールで返事をしなければなりませんし、注文の配送も迅速にしなければなりません。また購入顧客に対するフォローも怠ってはいけません。このような誠実な対応が信用を生み出すのです。

 以上の条件を見ると、これは何もネットに限ったことではなくて、ビジネスの上での基本的な条件でもあると言えます。実際にネットビジネスで失敗した例を見ると、ネット特有の失敗よりも、ビジネスの基本を忘れた失敗のほうが多いのです。したがってBtoBで成功する条件は「ネットワーク技術」に強いことではなく、商品、サービスや業務プロセスのあり方など、「経営」に強いことであると言えましょう。

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柄沢 明久 (からさわ あきひさ)
・有限会社マネジメントクリエーション代表
・中小企業診断士、ITコーディネータ、1級販売士など
・東京工業大学 工学部経営工学科卒業

・主な実績
消費生活アドバイザー・コンサルタント協会会員活動委員副委員長、中小企業診断協会東京支部正会員、東京販売士協会常任理事、NPOサンフラワー21理事、中小企業総合事業団登録情報化推進アドバイザー。著書に『経営のヒント(埼玉新聞コラム)』、『SE/CTO/経営者のための戦略的IT経営(共著:カットシステム社)』多数。

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