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ITで失敗しないケーススタディ
頭のよいIT導入法 第4回 IT導入はできるところから始める
2005年05月16日再掲載
ポイントは情報化の成熟度
 「情報化」の目的が経営改革にあることは当然ですが、その際に、必ずしも一気に改革を行って「IT導入=情報化」を図る必要はありません。現場における改善を積み重ねていき、結果的に経営改革になっていればいいのであり、また、それが現実的といえるでしょう。

 ところで、現場からの改善には限界があることがよく指摘されています。それは部門内での部分最適は実現できても、会社としての全体最適にはならない、という批判です。これは部門単位で改善を考えたための結果であり、その解決のためには全社単位で改善を考えればいいのです。そしてそのためには、経営トップのリーダーシップが必要となるわけです。

 結果的にITによる経営改革を成功させるためには、まず自社のIT化の程度(これを情報化の成熟度ともいいます)を考慮して、その程度に合わせて改善を積み重ねていくことが必要です。ITに関する成熟度が低い組織に、いきなり高度な情報化を進めても、結果的に失敗する可能性が高いといえます。これはIT化そのものが目的化した時に陥りやすい現象です。

 企業の情報化のステップは次の段階を経て成熟します。

第一段階 :
まずITを利用する組織・風土を作ります。つまりIT文化に馴れることです。
第二段階 :
ITを具体的な業務に活用していき、継続的な改善を行います。
第三段階 :
ITを経営の道具と位置づけて、戦略的に活用します。
実践例「ITによる営業力の強化」
 では、「ITによる営業力強化」を例にして、情報化のステップについて具体的に説明をしましょう。

 まずはEメールによる営業日報を習慣化するなど、Eメールの活用から始めます。ただしEメールは一方的な情報伝達手段ですから、これだけで報告を終了させてはいけません。毎日でなくてもよいので、必ずフェイス・ツー・フェイスの報告や会議を行うべきです。顔を会わせないと伝わらない情報もあるのです。情報化とは、それも含めて考えなければなりません。

 次に社内の情報共有のために、グループウェアを導入します。その際には、Web技術を利用した、端末から簡単に情報を共有できるツールを利用するとよいでしょう。営業担当者のスケジュール管理や掲示板の活用、さらに飛行機やホテルの予約もできるようになります。モバイル端末でも使えるようにすると外出先からでもアクセスできるので、営業がより効率的になっていきます。

 そしてその次には統合データベースを構築して、顧客管理や案件管理を行います。顧客先で即座に見積りを提示したり、在庫を確認することによって、より戦略的に営業を進めることができるようになります。またデータを分析して、取引量や取引回数の多い顧客を見つけだし、優良顧客に対して、サービスのレベルアップを図ることもできます。
 このように自社の情報の活用度が、どの程度であるか見極めて、まずできるところからIT化を進めることが失敗しないIT導入の秘訣です。

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柄沢 明久 (からさわ あきひさ)
・有限会社マネジメントクリエーション代表
・中小企業診断士、ITコーディネータ、1級販売士など
・東京工業大学 工学部経営工学科卒業

・主な実績
消費生活アドバイザー・コンサルタント協会会員活動委員副委員長、中小企業診断協会東京支部正会員、東京販売士協会常任理事、NPOサンフラワー21理事、中小企業総合事業団登録情報化推進アドバイザー。著書に『経営のヒント(埼玉新聞コラム)』、『SE/CTO/経営者のための戦略的IT経営(共著:カットシステム社)』多数。

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