経営者がリーダーシップをとって情報化を推進しなければならない理由は以下の通りです。
一番目の理由としては、第1回でも述べたように、情報化には業務改善・業務改革が前提となるからです。業務改善、業務改革には痛みが伴います。人は通常、現在の仕事のあり方が一番よいと思っています。現在の業務のあり方を否定して新たな方法を探そうとすると、いわゆる抵抗勢力が出現します。
積極的な抵抗はないでしょうが、なかなか協力しない、問題を先送りにするなど消極的な抵抗が起きます。とりわけ中小企業では番頭格の古参社員が抵抗勢力になりやすいといえますが、これを克服するには、経営トップの強い決意がなければなりません。担当者に任せきりだとプロジェクトがなかなか前に進まなかったり、古参社員の抵抗にあったりして、情報化が暗礁に乗り上げかねません。
二番目の理由は、情報化は意識改革を必要とするからです。情報システムを導入するには、その前に人間が行う業務の仕組みが出来ていなければなりません。この仕組みは社員が皆で作りあげ、そして皆で維持していくものですが、そのためには社員の意識が一致している必要があります。社員の意識を高揚させ、ベクトルをあわせる役目は経営トップの仕事です。経営者が自ら率先して情報化に取り組む姿勢を見せて、初めて社員は行動するのです。
三番目の理由は、情報化を進めるには、現場の協力が必要だからです。使われない情報システムが出来てしまう大きな原因のひとつは、現場の取り込みに失敗し、顧客の情報を得られないことにあります。これを避けるためには、経営者のリーダーシップによる現場の巻き込みが必要です。
旧日本海軍の山本五十六元帥は統帥の心得として、「やってみせ 言って聞かせて させてみせ 褒めてやらねば 人は動かじ」という言葉を残しています。情報システムを作り上げる仕事は目に見えない要求をまとめ、多くの部門の協力を必要とする、縁の下の力持ちでなければ出来ない仕事です。それだけに、経営者は人を動かす心を持つことが大切でしょう。 |