ショッピングサイトのメリットは、低コストで日本全国の顧客に対して、商品を販売することができる点です。在庫の管理についても比較的容易に行うことが出来、ホームページ運営のノウハウが少なくとも参入が可能です。
近年では24時間インターネットに接続できるブロードバンド環境が普及してきたことにより、総務省の調査では、ショッピングサイト市場は2005年には12兆5千億円の市場規模が予想されているそうです。このように、インターネットショッピングは小売店、顧客双方にメリットをもたらすシステムですが、インターネットの持つリアルタイム性と第1回で紹介したような情報伝達速度の速さから、トラブルも増えています。
その中の一つが価格の表記ミスによるトラブルです。有名なものとしては、2003年10月末に起きた大手商社の価格表記ミスがあります。このトラブルは本来19万8000円のパソコンをゼロが1個抜けた状態の1万9800円で表示してしまったというもので、それが価格比較サイトのデータベースに掲載、その情報が大手掲示板で安売り情報として紹介されることで、間違いに気が付くまでに約1500台もの注文が殺到しました。さらに悪いことに、情報が担当者のいない連休の深夜に広がったため、店舗側が価格表記ミスに気づいた翌週明けには、すでに多くの人がショッピングカートに製品を登録するという結果となっていました。
このトラブルが、ほかのトラブルと大きく異なる点は、最終的に表記ミスの価格のまま製品販売が行われた点です。通常は「価格の錯誤による契約無効」として処理されるのがほとんどですが、さまざまな理由から商品はそのままの価格で販売されました。このサイトは事故処理終了後の翌年2月、閉鎖される結果となりました。損失額は数億円と言われ、インターネット史上に残る価格表記ミストラブルとなったのです。
このトラブルには、原因がいろいろあります。一つは連休中にトラブルが発覚したこと。これにより、サイト担当者によるトラブル対策を行うことができず、被害が拡大する結果となりました。もう一つはカートに投入できる数の制限が緩く、一人が何台もパソコンを購入することができた点です。このため、在庫以上の商品がショッピングカートに投入されたのです。
こうした点を見てみると、トラブルが起きたときの被害を最小限にするための方法が見えてきます。例えば更新を週末に行わず修正や対応が可能な平日の昼に行うこと、さらに商品数にかならず上限の数を設けておくことで、在庫数以上に商品をカートに入れられないように工夫するなどが挙げられます。このほか、システムを工夫して仕入れ価格より販売価格が安くならないように調整する方法もあります。
事後の対応をきちんとすることも重要です。顧客に100パーセント納得してもらうことはなかなか困難ですが、第3回で解説したように迅速かつていねいな対応でサポートしましょう。
表記ミスによるアクセスが集中した場合、メールアドレスの情報が大きく増えます。失敗をネガティブに捉えず、新たな顧客が登録されたと思ってメールマガジンでセールなどのキャンペーンを張って、積極的に営業していきましょう。このとき失敗や反省点を明確にして同じミスを繰り返さないことをユーザーにアピールすることも大切です。
次回はこうしたトラブルの原因となる表記ミスを防ぐ方法について考えていきます。