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ちょっとしたことが原因に! ネットトラブルを回避しよう
第4回 価格間違いは致命傷?

2005年12月5日

価格間違いは大事件

 ショッピングサイトのメリットは、低コストで日本全国の顧客に対して、商品を販売することができる点です。在庫の管理についても比較的容易に行うことが出来、ホームページ運営のノウハウが少なくとも参入が可能です。

 近年では24時間インターネットに接続できるブロードバンド環境が普及してきたことにより、総務省の調査では、ショッピングサイト市場は2005年には12兆5千億円の市場規模が予想されているそうです。このように、インターネットショッピングは小売店、顧客双方にメリットをもたらすシステムですが、インターネットの持つリアルタイム性と第1回で紹介したような情報伝達速度の速さから、トラブルも増えています。

 その中の一つが価格の表記ミスによるトラブルです。有名なものとしては、2003年10月末に起きた大手商社の価格表記ミスがあります。このトラブルは本来19万8000円のパソコンをゼロが1個抜けた状態の1万9800円で表示してしまったというもので、それが価格比較サイトのデータベースに掲載、その情報が大手掲示板で安売り情報として紹介されることで、間違いに気が付くまでに約1500台もの注文が殺到しました。さらに悪いことに、情報が担当者のいない連休の深夜に広がったため、店舗側が価格表記ミスに気づいた翌週明けには、すでに多くの人がショッピングカートに製品を登録するという結果となっていました。

 このトラブルが、ほかのトラブルと大きく異なる点は、最終的に表記ミスの価格のまま製品販売が行われた点です。通常は「価格の錯誤による契約無効」として処理されるのがほとんどですが、さまざまな理由から商品はそのままの価格で販売されました。このサイトは事故処理終了後の翌年2月、閉鎖される結果となりました。損失額は数億円と言われ、インターネット史上に残る価格表記ミストラブルとなったのです。

 このトラブルには、原因がいろいろあります。一つは連休中にトラブルが発覚したこと。これにより、サイト担当者によるトラブル対策を行うことができず、被害が拡大する結果となりました。もう一つはカートに投入できる数の制限が緩く、一人が何台もパソコンを購入することができた点です。このため、在庫以上の商品がショッピングカートに投入されたのです。

 こうした点を見てみると、トラブルが起きたときの被害を最小限にするための方法が見えてきます。例えば更新を週末に行わず修正や対応が可能な平日の昼に行うこと、さらに商品数にかならず上限の数を設けておくことで、在庫数以上に商品をカートに入れられないように工夫するなどが挙げられます。このほか、システムを工夫して仕入れ価格より販売価格が安くならないように調整する方法もあります。

 事後の対応をきちんとすることも重要です。顧客に100パーセント納得してもらうことはなかなか困難ですが、第3回で解説したように迅速かつていねいな対応でサポートしましょう。

 表記ミスによるアクセスが集中した場合、メールアドレスの情報が大きく増えます。失敗をネガティブに捉えず、新たな顧客が登録されたと思ってメールマガジンでセールなどのキャンペーンを張って、積極的に営業していきましょう。このとき失敗や反省点を明確にして同じミスを繰り返さないことをユーザーにアピールすることも大切です。

 次回はこうしたトラブルの原因となる表記ミスを防ぐ方法について考えていきます。
今回のポイント
・価格の噂はあっという間に広がる
・価格表記ミスは倒産の危機
・ミスをしたときの事前・事後対策を考える
コラム インターネット事件簿
▼ショッピングシステムによる価格表記ミス
 2004年2月、2万人の顧客から1億台以上のパソコンが注文されるという大規模な価格表記ミス事故が発生しました。このミスはこれまでのものとは少し様相が違っているのが特徴です。実は価格表記ミスの原因は、商品を販売している企業側のミスではなく、ショッピングサイト側のシステムから起きたものだったのです。

 数万点という大量の商品を販売している量販サイトでは、一つ一つの商品を手作業で更新するのは事実上困難です。そこでJANコードを使ったデータマッチングという方法で商品を一括して登録する仕組みが採用されています。JANコードとは、国内で流通している商品すべてに付けられている番号のことです。コンピューターはJANコードが一致していれば、同じ商品として判断できます。

 具体的には大量に商品を販売する企業のために、ショッピングサイト側ではあらかじめサイトで取り扱い可能な商品の内容やスペック、JANコードなどを記載したデータベースを持っています。商品を販売する企業は、価格とキャッチコピーのような説明、JANコードを含んだ表データのような形でまとめ、ショッピングサイトに渡します。ショッピングサイト側は受け取った価格表データと自社で持っている商品のカタログデータをJANコードで一致させて合成します。合成を行ったものが私たちが普段目にする価格と商品説明の入った商品紹介ページとなります。

 前書きが長くなりましたが、この事故の原因はショッピングサイトが持っている商品データのJANコードに誤りがあったことです。本来はパソコン用のJANコードが入力されているべきはずの項目に、DVD-RメディアのJANコードが登録されていたため、パソコンの本体価格がDVD-Rメディアの価格で表示され、事故が発生したのです。

 問題は価格トラブルが発生したあとにもありました。販売側企業は自社に落ち度がなかったため、態度があやふやになりました。一方、原因となったショッピングサイト側は自社に責任がある旨を公表しましたが、前述のような仕組みを知らずに商品を発注した顧客から見れば、価格表記ミスは販売企業が起こしたようにしか見えません。インターネット上では販売会社に事後の対応も含めて非難が集中、対応に苦慮することになります。

 この事故自体もテレビニュースでも取り上げられました。ショッピングシステム会社と商品販売会社の責任のありかたについて考えさせられた事故といえます。
※お断り
本コラムは、実際のトラブル事例を紹介させていただくことを趣旨としており、掲載先サイトの運営者であるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社としての意見や立場を示すものではありません。内容に関して弊社はいかなる責任も負担いたしません。
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