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商品撮影 プロのテクニック
第5回 ワンランク上の撮影テクニック

2004年07月12日
 ひとことで「商品撮影」といっても、商材によっては独特の方法が必要なものがあります。今回はそうした中でも、特に撮りにくいタイプのもの、ひと手間必要なものの撮り方をご紹介します。

表面がテカってしまう、写りこみをコントロールする

 ガラスが使ってあるものや、表面がつるつるしているものは、鏡のようにものが写りこんでしまいます。これをなくせばいいかというと、ないほうがいい場合もありますし、積極的にテカらせた方がよい場合もあります。いずれも解決方法としては、写りこみを「なくす」のではなく、都合のよいものを「写りこませる」のです。
[1] テカリを目立たなくする
 (写真1)はパッケージのビニールがテカっていて、不自然に見えます。これは晴天の日中、窓際で直射日光が当たらない明るい場所で撮ったものですが、それでも太陽光の反射が強く、強い光と影ができてしまっています。蛍光灯などのライトを使用した場合も同じです。
 このように光源のはっきりした明かりは、白い布やトレーシングペーパーで光を拡散させます。そのための布や紙を写真用語で「ディフューザー」(diffuse=拡散)と言います。文具店で売っているトレーシングペーパーを使用しますが、包装用の薄紙などでも代用できます。これを使って撮ったのが(写真2)です。光をトレーシングペーパーで拡散させてやわらかい光にし、全体にまんべんなく当てることで、影の濃さも緩和されています。ちょっと影がきついな、というときも、光源から商品を守るようにして当ててみてください(写真3)。
(写真1)光の当たる角度によってはテカってしまう
(写真2)トレペで光を拡散させて撮影
(写真3)光源がある左側にトレペを貼る
(写真1)光の当たる角度によってはテカってしまう
(写真2)トレペで光を拡散させて撮影
(写真3)光源がある左側にトレペを貼る
[2] 写りこみを活用して、商品を見せる
 商品によっては写りこむことで質感が表現できるものもあります。まず何が写りこんでいるのかを確認してみましょう。(写真4)のアルミのふたの手前の部分に、天井と壁が写っています。写りこみに模様があるので、写真としてはノイズ(じゃまなもの)になっています。
 ではどうするか。ノイズとなっている部分に、すっきりとした白い「面」を写りこませてあげるのです(写真5)。カメラの位置から商品を見ながら、白いレフ板が写りこむ位置を探します。(写真6)は、銀色の部分すべてに白いレフ板を写りこませました。しかし質感もなくなってしまいました。そこで、テカリをすべて消すのではなく、奥の縁のテカリを残すことで質感を出したのが(写真7)です。
(写真4)ふたの手前に天井が写りこんでいる
(写真5)白いレフ板で、写りこみをすべて消す
(写真4)ふたの手前に天井が写りこんでいる
(写真5)白いレフ板で、写りこみをすべて消す
(写真6)カメラをのぞきながら、レフ板の位置を調節する
(写真7)レフ板を上げ、ふたの奥の部分にテカリを残す
(写真6)カメラをのぞきながら、レフ板の位置を調節する
(写真7)レフ板を上げ、ふたの奥の部分にテカリを残す
 さらに、白いものではなく、半分黒いボードを写しこんだのが(写真8)。ちょっと重厚な感じがしませんか? このように写りこみは消すところは消し、活かすところは活かすことによって質感を表現できるのです(写真9)。
(写真8)左側に黒、右側に白を写りこませた
(写真9)白と黒のレフ板を組み合わせた
(写真8)左側に黒、右側に白を写りこませた
(写真9)白と黒のレフ板を組み合わせた

ガラスビンを美しく撮る

 撮影が難しいもののひとつに、ガラスのビンがあります。テカリをなくしてしまうと艶消しビンに見えてしまうので、積極的にテカリを作ってあげることで、質感を表現してみましょう。ただし、この場合はどうしてもライトが必要になります。お持ちでない方は、卓上蛍光スタンドなどでチャレンジしてみてください。
 ライトは、ビンの後ろ上方向から当てます。後ろから照らすことでビンの中身を透けさせて、左右のレフ板で正面にテカリを写りこませます(写真10)。これで撮ったのが(写真11)です。ビンが透けて見え、かつ表面のテカリもキレイに見えています。
 ちょっと難しいセッティングですが、どちらも一度セットしてしまえば何本でも撮れます。レフ板の位置を調節して、ベストポジションを見つけてください。
(写真10)ライトを上後方から当て、レフ板で正面にテカリを作る
(写真11)ライトを後ろから当てることで、透明感が強調される
(写真10)ライトを上後方から当て、レフ板で正面にテカリを作る
(写真11)ライトを後ろから当てることで、透明感が強調される

アクセサリーを撮る

 小さいけれど、質感が非常に大切なのが、アクセサリー類の撮影です。ライト、背景など、さまざまな方法がありますが、ここでは代表的なポイントをご紹介します。
[1] マクロモードで接写する
(写真12)
(写真12)
 たいていのカメラには、近距離で撮影するマクロモードという機能が付いています。これは、小さな被写体に接近して大きく撮るためのモードです。機種により異なりますが、お花マークボタン(写真12)を押すことで、数センチ単位で寄ることができます。その分、ピントを合わせる位置も重要になってきます。シャッターボタンの半押しで(第1回参照)、ピント位置をきっちりと決めましょう。指輪やペンダントなどは、中心となる石にピントを合わせるのが標準的です。
[2] 置き方の工夫
 指輪の場合、指にはめて撮るのもひとつの手ですが、その代わりに質感のある布に通す方法があります。普通に置いたとき(写真13)と比べてみると、これだけでもずいぶんと違って見えます(写真14)。
(写真13)置いて撮影
(写真14)光沢のある布を束ねて指輪を通す
(写真13)置いて撮影
(写真14)光沢のある布を束ねて指輪を通す
 もうひとつは、あたかも宙に浮いているかのように撮る方法です。
 ちょっと手間がかかりますが、適当なサイズの段ボールがコの字型になるようにして、上にガラスかアクリルの板を置きます(写真15)。
 そこへ、グルーガンという、プラスチックを溶かして接着する機器を使用して、指輪を固定します。グルーガンは、日曜大工店などで1,000円程度で入手できます。ねじったり軽くこすればかんたんに、傷を付けずに外すことができます。
 ガラスの下は背景となる布などを敷きます。ぼんやりと色を入れるだけでもずいぶんと雰囲気が違ってきますので、手近にあるものでいろいろ試してみてください(写真16)。
(写真15)段ボール箱をカットして作成
(写真16)背景の色屋質感が、指輪のイメージを補足する
(写真15)段ボール箱をカットして作成
(写真16)背景の色屋質感が、指輪のイメージを補足する
[3] 写りこみに注意する
 金属と石という、とても写りこみに神経を使う素材ですので、前の節で説明した写りこみには十分気をつけてください。シルバー部分が黒くなってしまう場合は、カメラ自身が写りこんでいることも考えられます。小さめのレフ板で、いろいろ場所を変えて、影ができないポイントを発見してみてください。
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中浜正己 (なかはま まさみ)
・Webディレクター/エディター/ライター
・デジタルハリウッド大学院客員教授

コピーライター、PR誌編集者を経てWebディレクターに。編集者時代からスタジオでの撮影ディレクション、取材時の撮影なども手がける。Webディレクターとして大手ECサイトの企画・制作・運用に携わり、商品撮影の業務フローも構築。
売るための商品写真の技術には定評がある。

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