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商品撮影 プロのテクニック
第4回 欲しくなるための演出をする

2004年06月28日
 前回までの基本編では、露出や色や背景など、「間違いのない」「及第点」の写真を撮る方法をご紹介してきました。今回は、基本をふまえたうえで、商品をより魅力的に見せる撮影にチャレンジします。

一番魅力的な構図を発見する

 これまでの撮影では、商品を正面上から撮るカットを前提にしてきました。これだと、商品の全体像はわかりますが、商品の魅力がどこにあるのかを積極的に伝えることはできません。むしろ大きな商品は、全体を見せてもほとんど意味がないこともあります。見せたい部分に優先順位をつけて、どこを切り取って見せればいいのか、構図について考えてみましょう。
[1] 部分を切り取る
 形の想像がつくもので、縦に長いとか大きいものは、全体を写してもほとんど意味がありません。(写真1)は、細長いもの、ということでフランスパンを撮影してみました。この写真サイズでパン全体を見せると、「フランスパンである」以外に、なんのメッセージもありません。これでは意味がありませんね。伝えたいのは、「“おいしい”フランスパンである」ということですよね。そこで、全体を入れずに、表面の焼き上げた箇所がちゃんと見えるところまで寄ってみました(写真2)。
 Webサイトでは、写真を何枚か使うとしても、一覧などではまずその1枚を見て魅力を感じなければ、次をクリックしてくれません。大切なのは「どんな」フランスパンであるのかを撮るということ。そういう視点で、「どんな」が伝わるアングルを考えてみてください。
(写真1)これでは使用するサイズによっては棒にしかみえない
(写真2)表面の焼き加減がわかるようにアップで撮影
(写真1)これでは使用するサイズによっては棒にしかみえない
(写真2)表面の焼き加減がわかるようにアップで撮影
[2] 切る、並べるなど形を変えてみる
 お菓子や食べ物、あるいは電気製品や雑貨でも、食べるときや使うときに、形が変わるものがあります。食べ物であれば、売っている姿と、食べるときの姿は違います。どういう姿を見せれば一番魅力的に見えるかということも、構図を考える際のヒントになります。
 食べ物の場合、やはり食べるときの形がいちばんおいしそうに見えます。(写真3)は、和菓子詰め合わせの箱を開けて中身を見せたもの。確かに内容はわかりますが、それ以上のものは伝わってきません。(写真4)では、同じ種類の和菓子を、ひとつはそのまま、ひとつは半分に切って、中身を見せています。切ることで中身がわかりますし、食べるときのイメージがより伝わってきます。
 雑貨や電化製品であれば、使うときの一番「らしい」形、というのがあるはずです。そういう姿が、一番魅力的に見える構図なのです。
(写真3)箱のまま入っているものが何かだけがわかる
(写真4)切って中身を見せることで、おいしさが伝わる
(写真3)箱のまま入っているものが何かだけがわかる
(写真4)切って中身を見せることで、おいしさが伝わる

置き方を工夫してみる

 写真は現実を写すもの、と思っていませんか。もちろんそうなのですが、あるがままの姿を撮ればそのように見えるかというと、そうでもないのです。むしろ自然な写真に見せるために、不自然な演出が必要なこともあります。
 言い換えれば、不自然な置き方でも写真としてOKならばよいのです。雑誌などを見ていると、むしろそういう演出の方が多いくらいです。いくつか例をご紹介しましょう。
 (写真5)は、お皿を立てて見せた例。こんな使い方はしませんし、飾るためのお皿でもないのですが、ちょっと特別に見えますね。(写真6)は単なるボールペンですが、2本並べて、立てて撮ってみました。
 あまりやりすぎて、わけがわからなくなってしまっては逆効果ですが、Webでは実物に触れないだけに写真が命。たった1枚でも、メッセージのない写真を載せるのではなく、置き方にも一工夫してみてください。
(写真5)手をかけて撮影することで、高価そうに見える(?)
(写真6)ペンの下部をネリケシで固定して撮影
(写真5)手をかけて撮影することで、高価そうに見える(?)
(写真6)ペンの下部をネリケシで固定して撮影

背景を工夫する

(写真7)背景にグラデーションペーパーを使用
(写真7)背景にグラデーションペーパーを使用

 背景紙の色を変えるだけでも、ずいぶんと商品のイメージが変わります。写真用品店などで販売されている「グラデーションペーパー」と呼ばれる背景用の紙があります。これを使うと、それだけでプロっぽく見えてしまうから不思議です(写真7)。使い方は、模造紙と同じように、湾曲させて背景に置くだけ。インターネットでも入手可能です(写真8)。
 商品に関連して和風のものなら和紙(写真9)、外国っぽいイメージなら英字新聞(写真10)など、簡単に手に入るものでも、ずいぶんとイメージが膨らみます。

 また、合わせて関連する小物をワンポイントで置く方法もあります(写真11)。実際に使われている「シーン」を作るとなると大変ですが、関連する小物をワンポイントで置くだけでもイメージが膨らみますし、物のサイズなどもわかりやすくなります。
 ただし、主役はあくまでその商品、やりすぎは禁物です。常に「伝えたいことは何か」という視点で見つめ直し、「意味がない」演出は、思い切って削っていくようにしましょう。

(写真8)ミニスタジオにセット
(写真9)文具店で購入したA4サイズの和紙を背景に
(写真8)ミニスタジオにセット
(写真9)文具店で購入したA4サイズの和紙を背景に
(写真10)文具店で購入した英字新聞風の包装紙を背景に
(写真11)和菓子を小物として撮影
(写真10)文具店で購入した英字新聞風の包装紙を背景に
(写真11)和菓子を小物として撮影
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中浜正己 (なかはま まさみ)
・Webディレクター/エディター/ライター
・デジタルハリウッド大学院客員教授

コピーライター、PR誌編集者を経てWebディレクターに。編集者時代からスタジオでの撮影ディレクション、取材時の撮影なども手がける。Webディレクターとして大手ECサイトの企画・制作・運用に携わり、商品撮影の業務フローも構築。
売るための商品写真の技術には定評がある。

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