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商品撮影 プロのテクニック
第3回 撮影環境を整える − 撮影の基本 −

2004年06月14日
 さて、今回はいよいよ背景と光の調節に入ります。ちょっとした工作で、ミニスタジオ環境とレフ版を作成します。ここがクリアできれば、通常の撮影なら、今までご紹介したことで、ほとんどカバーできます。そのためにも基本をしっかり押さえましょう。

三脚は必須アイテム

 すでに説明したように、内蔵フラッシュを使わないと、光量が足りずに、手ブレした画像になりがちです。カメラの液晶ではきれいに見えていたのに、パソコンに取り込んでみたらブレていた、などという経験はありませんか。それを解決してくれるのが、三脚です。
 また、カメラ位置を固定することで、何枚でも同じ構図で撮れますし、背景などと一緒に撮る際は、カメラ位置を固定しないと演出も定まりません。魅せる写真を撮るためにも欠かせないアイテムです(三脚の選び方については第1回を参照してください)。
(写真1)
(写真1)

[1]足の高さが均等になるように調節する
まず、三脚の足を閉じたまま、カメラのだいたいの高さを決めます。そのまま1本の足を伸ばして長さを固定 (写真1)。足を閉じたまま、他の2本を同じ長さに調節します。3本の長さが違うとカメラが水平にならないので、慎重にやってください。足を延ばすときは、太い方から伸ばした方が安定します。それから足を開いて、高さの微調整は雲台で行います。

[2]1本の足を撮影対象に向けて置く
撮影対象に対して、1本の足を前に、三角形になるように置くのが基本です。もっと近づきたいときなどは、足の長さや開きを使って調整します。

[3]シャッターボタンを押すときに、ぶれないように気をつける
せっかく固定しても、シャッターボタンを押すときにぶれてしまうことがあります。リモコンがあるカメラなら、できる限りリモコンの使用をおすすめします。また、1枚はだめでも、もう1枚は撮れていることがありますので、同じ設定で2枚ずつ撮っておく方法もあります。いずれにしても、シャッターは静かに押すように心がけてください。

背景ひとつでがらっと印象がかわる

 この連載の第2回で紹介した写真1-1は、ふつうに壁を背景にしたもの。1-2と比べると、商品よりもむしろ床と壁の境目の線が目についてしまいます。このため、撮影スタジオでは布を垂らしてつなぎ目を緩やかなカーブにすることで、境目を感じさせないようにしています。これも、商品撮影の基本のひとつ。
 これを、家や事務所でもかんたんに設置できるようにしてみましょう。専用の小型セットも販売されていますが、ここでは手軽に、身近にあるもので作る例をご紹介します。
(写真1-1)
(写真1-1)
(写真1-2)
(写真1-2)
■小型セットの作り方
【 材料 】
・模造紙 1枚
・段ボール箱 縦30cm 横45cm 高さ30cm
 (撮影したいもののサイズに合わせる)
・ブックエンド 高さ20cm程度

【 工具 】
・カッターナイフ
・荷造り用幅広の透明テープ または 布製ガムテープ

【 作り方 】
(1) 段ボールの継ぎ目をカッターナイフで切る(写真2)
(2) 短い方の辺を1枚切り取る
(3) 長い方の辺を壁にしてL字型にし、ブックエンドにテープで止める(写真3)
(4) 模造紙の端を折り曲げ、壁の裏側にテープで固定する
(5) 模造紙が巻き取った曲線が生きる位置で、もう一方の端をテープで固定する(写真4)
(写真2)
(写真2)
(写真3)
(写真3)
(写真4)
(写真4)
【 ワンポイントアドバイス:テープ止めするときにひと工夫 】
  撮影後、たたんで収納する場合は、テープの止め方にちょっとした工夫をすれば、次に使うときに楽です。図のようにして、止める側にもテープを貼っておけば、模造紙や段ボールにはがし跡がつくことなく、何度でも付け外しができます。 テープ止めするときにひと工夫

レフ版をつくる

 よく撮影現場などで見かける、白や銀色の板がレフ板です。レフ板の「レフ」はReflex、反射の意味。たとえば左から光が当たると、右側は影になります。右側にレフ板を置いて反射させることで、影の部分を明るくして、撮影対象物にまんべんなく光を回してあげるのです。
 レフ板は、カメラ店などでも販売していますが、かんたんに自作できます。単なる白い板でもOKですが、二つ折りにすることで、一人で撮影するときでも置いて使えるものを作ってみましょう。
■レフ版の作り方

【 材料 】
・発泡スチロールの糊付きパネル(ハレパネなど) A2サイズ
・模造紙

【 作り方 】
(1)パネルに模造紙を貼る(糊付きパネルの場合)
(2)パネルをカッターナイフで半分に切る(写真5)
(3)模造紙を貼った反対側の切れ目を、ガムテープなどでつなぐ(写真6)

(写真5)2つに切って、テープでつなぐ
(写真5)2つに切って、テープでつなぐ
(写真6)テープを貼った側を谷にして、立てて使うことができる
(写真6)テープを貼った側を谷にして、立てて使うことができる

テーブルの上にセットを置く。左側が窓。天気は曇り時々雨
テーブルの上にセットを置く。左側が窓。天気は曇り時々雨

 さて、これで準備は完了です。さっそく三脚、セットとレフ板を使って撮影してみましょう。
 まずは照明を使わない前提で、昼間の太陽光を利用して撮影します。しかし、直射日光だと光が強すぎて、明るい部分と暗い部分のコントラスト(対比)が強すぎる写真になり、商品写真には向きません。
 セットは窓際やベランダの、直射日光が当たらない、明るい場所に置いてください。今回は、左上に太陽がくるように置いてみます。
 そして商品を背景から適度に離した位置に置きます。
 カメラのズームをプラス側にして、カメラ位置を調節します。標準的な位置は、水平よりちょっと上から見たアングルですが、これは商品ごとに考えてみてください。
 そして、太陽の位置と反対側にレフ板を置きます。直射日光ではないのでそれほど強い反射ではありませんが、レフ板を動かしてみると、右側の影の部分が明るくなるのがわかると思います。 いろいろ動かしてみて、光がまんべんなく当たる位置を見つけてください。

<レフ板を使わないで撮影>カップの右側が暗く、受け皿が落とす影も濃い。露出はプラス1。
<レフ板を使わないで撮影>
カップの右側が暗く、受け皿が落とす影も濃い。露出はプラス1。
<レフ板を使用>完璧なライティングまでは行かないが、影もやわらかくなり、右側にも光が当たっている。露出はプラス1。
<レフ板を使用>
完璧なライティングまでは行かないが、影もやわらかくなり、右側にも光が当たっている。露出はプラス1。
<レフ板を使わないで撮影>やはり右側、特にレンズの影になる部分は暗く、カメラ全体の影も目立ち、スナップぽく見えてしまう。露出はプラス1。
<レフ板を使わないで撮影>
やはり右側、特にレンズの影になる部分は暗く、カメラ全体の影も目立ち、スナップぽく見えてしまう。露出はプラス1。
<レフ板を使用>右側の部分が明るくなり、本体の影も気にならない。露出はプラス1。
<レフ板を使用>
右側の部分が明るくなり、本体の影も気にならない。露出はプラス1。
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中浜正己 (なかはま まさみ)
・Webディレクター/エディター/ライター
・デジタルハリウッド大学院客員教授

コピーライター、PR誌編集者を経てWebディレクターに。編集者時代からスタジオでの撮影ディレクション、取材時の撮影なども手がける。Webディレクターとして大手ECサイトの企画・制作・運用に携わり、商品撮影の業務フローも構築。
売るための商品写真の技術には定評がある。

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