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【今月の訪問先】
webマーケティングコンサルタント 渥美 英紀さん
(株式会社パワー・インタラクティブ 執行役員)

インターネットをうまく活用して売上を伸ばそう、という会社が増えてきています。成功している会社の様子を伺うと、最近よく聞くようになった「ネットマーケティング」という言葉が浮かび上がってきました。そこで今回は、webマーケティングコンサルタントの渥美英紀さんに、中小企業におけるネットマーケティングについてお話を伺いました。
そもそもネットマーケティングとは何なのでしょうか?
私たちが考えるネットマーケティングとは、“インターネットを活用して、売れる仕組みを作る”ということです。あえて「インターネットを活用する」といっているのは、インターネットだけに依拠するのではなく、自社が持っているネット以外のリソースを上手に使うという意味からです。「仕組みを作る」についても、ただ単に広告を出稿するのではなく、「 お客さまをホームページに呼び込む → 問い合わせを増やす → 成約に結びつける 」という流れを整理して考え、実行する必要性を理解していただきたいと思っています。
なるほど。では、ネットマーケティングにはどのような手法がありますか?
手法は数多くありますが、大きく分けてホームページに人を集客する「数を増やす手法」と集客した人を成約に導く「率を高める手法」があります。
数を増やす手法は例えば、バナー広告やメールマガジンのようなスポット的に集客ができる広告です。キャンペーンなどとも連動させやすく、一度に多くの顧客を集めたいときに便利です。また、ある単語をインターネットで検索した際に、結果一覧のそばに表示されるテキスト広告=リスティング広告も、ここのところよく活用されているようです。YahooやGoogle、gooなど検索エンジンの検索結果で上位に表示されるページを作る「SEO(Search Engine Optimization=検索エンジンの最適化)」もこちらに含まれます。
率を高める手法は、ホームページの改善やコンテンツの強化、あるいはもっと焦点を絞って顧客がはじめて見たページ(ランディングページ)だけを改善する方法もあります。
さらに最近では、ブログやSNSといったコミュニケーションツールを使った広告や顧客の囲い込み手法も増えてきました。こちらは企業と顧客、または顧客同士の交流を深めるもので、リピーターを増やしたいときなどに活用されます。
大ざっぱにまとめてみましたが、手法が多いぶん、目的に応じてこれらを使い分ける必要があります。
これらの中で、中小企業が取り掛かりやすい手法はどれでしょうか。
低コストで始めることができ、いつでもやめることができるリスティング広告が特にお勧めです。B to C、B to B問わず、あらゆる業界で効果を発揮しているため、まず最初に着手する方法としてうってつけでしょう。
従来のやり方と比べたときのメリットはなんですか?
まず、費用対効果が挙げられます。キャンペーンを企画し、チラシを印刷して一軒一軒ポストに入れるのと、検索でモノを探している人に直接的に広告を配信するのでは手間とコストが格段に違ってきます。ある企業では、資料請求1件あたりの顧客獲得コストが紙媒体を中心とした今までの広告に対して10分の1に下がった例もあります。また、リスティング広告は従量課金制なので、クリックされるまでは広告料がかからず、コストの無駄がありません。また、検索するということはその単語に関心があるわけですから、より顧客となる可能性の高いユーザーを呼び込める点が特長です。個人・企業を問わず、誰でも自由に広告を出すことができます。
広告予算が少ない中小企業としては助かりますね。
ただし、ホームページに来てもらうだけでは意味がありません。アクセスしたページにユーザーが望んでいる情報があるか、問い合わせまでの導線が用意されているか、ここまで準備して初めて成果に結びつくのです。
 
リスティング広告で顧客を獲得するためには、具体的に何をどうすればよいのでしょうか?
ファーストステップとしては、まず自分の会社に合った最適のキーワードを探すことです。はじめに、業界全体を包括する大きなキーワードを考えます。運送業なら「運送」、小売店なら「スーパー」といった感じです。ただこれだけですと検索の範囲が広すぎますし、メジャーな単語であるだけに競合相手も多く、中小企業では太刀打ちできません。そこで大きいキーワードに、会社の強みであるキーワードを組み合わせます。運送業で特に冷凍分野を得意としているなら「冷凍 運送」、地域性を考慮するなら「運送 神奈川」、さらに組み合わせて「冷凍 運送 神奈川」といった具合です。範囲が狭くなれば競合相手は減りますし、そういったキーワードで絞り込み検索をしてくるユーザーは、要望の度合いも強く、条件さえ合えば顧客になってくれる可能性が高いんです。
そうやってライバルを減らしていくんですね。
現実の世界では「商圏」を意識する必要がありますが、インターネット上に「商圏」の重要度は下がります。むしろリスティングで競合を意識しなくてはいけないのはキーワードそのものになるわけです。また企業の規模も関係なく、零細企業から大企業までがライバルとなります。逆にいうと、ニッチな分野や、きめ細やかな商品・サービスについては中小企業の方が得意な場合も多く、うまくいけば中小企業が大企業に勝てるチャンスもあるということなんですね。
リスティング広告の効果は、どう判断すればよいのでしょうか?
ホームページの場合、取得できる数字がページビューであったり、訪問者数だったり、検索用語だったりとたくさんの基準ができてしまいますが、「売上」を元に冷静に判断するのが基本でしょう。具体的な経営につながる数字として提示できなければ、上層部にも結果がいいのか悪いのかわかりませんから。検索件数がどれだけあり、ホームページに何人がアクセスし、何件が成約まで至って、いくら売り上げたのかという数字を出せば、経営者はもちろん社内の誰もが理解し納得できます。そうすれば、実行した施策にいくら投下したのか、費用対効果が高かったのか低かったのかもクリアになり、今後投資できる金額も判断しやすくなるでしょう。
リスティング広告をうまく成功させるヒントはありますか?
お客さまの立場に立って検索してみることです。実際にお客さまが検索するワードを想定し、検索を行ってみることで広告の質も確認することができます。なるべく、その検索用語で欲しているものを連想させるコピーが大切です。さらに、ホームページに訪れた際も、検索したキーワードに合致したページへ誘導したり、そういったページがない場合、新たに制作することが必要です。お客さまになりきることで、効果的な広告の出し方もわかると思います。
では、リンク先になるホームページは、広告を出すのにあわせてリニューアルをした方がいいのでしょうか?
ホームページの改善施策といえばリニューアルを一番に想定してしまいがちですが、そこは一旦踏み留まってみましょう。まずはどの程度変える必要があるのかを考えてみてください。最低限、広告をクリックしたときのリンク先(ランディングページ)から問い合わせまでの流れを充実させるだけでいいなんていう場合も少なくありませんから。改善するページを数ページに絞り込めば、大幅なコスト削減にもなりますしね。
リンクしたページがいかに魅力的であるかということは、非常に重要なポイントです。ある調査では、一般的にホームページを訪れたとき、そのページしか見ずにすぐに帰ってしまう率、すなわち「直帰率」が80%もあるそうです。何もしなければ、5人に4人はホームページからすぐに帰ってしまうのです。ですから、必ず直感的にキーワードとの関連性が理解できるようなページを用意し、そこにリンクさせてお客さまの興味を引く情報を載せてください。
どのような情報を載せればよいのでしょうか?
製品カタログ等に載っているような情報をそのまま載せることは、あまり魅力的ではありません。なぜなら、ホームページで情報を読んで、そこから請求したカタログがホームページと同じというのでは、ユーザーをがっかりさせることがあるからです。具体的には、導入事例、ユーザーの体験談、価格や概算見積、他社比較、無料お試しやデモあたりが、お客さまの興味を引きやすいと思います。ユーザーのニーズを考えながら、いろいろと工夫してみてください。
   
わかりました。実践する場合は、まずは何から手を付けたらよいでしょうか?
経験から申し上げますと、最初はweb制作の専門家やマーケティング会社に相談することをお勧めします。なぜなら、中途半端に自社だけで計画、実行して失敗してしまった場合、再び提案しても「以前ダメだったから」と上層部が了承してくれなくなるケースが多いからです。当社の場合、最初の取り掛かりとしてサイト診断サービスを手がけています。リスクを減らし、より高い効果を得るために、今あるホームページの問題点を確認し、リスティング広告の運用状況、及び可能性を把握してから本番に移行することも可能です。
協力会社を選ぶ際のコツを教えてください。
「集客の提案」と「制作の提案」の両方を一連の流れの中でできるパートナーを選ぶことです。あとは、自社の業務や商品に対する理解力ですね。セミナーなども各社実施していますからそういったものに参加したり、web上の相談窓口を利用するなどして、この2つの条件に当てはまるパートナーを探してみてください。
それでは、社内の推進体制はどう組めばよいでしょうか?
立ち上げ段階ではチームを作って取り組んでいる会社に、成功する例が多いようです。ITなど特定の部門だけで進めてしまうと、最終的に絶対に必要となる営業、技術、経営企画といった部門からの協力をうまく得られないケースがあります。ですから、主要な部署から横断的にメンバーを募り、プロジェクトチームを作るんですね。プロジェクトメンバーを中心として各部署に協力体制を作り、そして社内全体を盛り上げていくことが重要です。
社内にはマーケティングについて理解のない人も多いのですが…
「プロじゃないのでマーケティングはわからない」と決めつけている人が多いようですね。でも実際に私たちがヒアリングしてみると、必ず役に立つヒントが出てくるものです。例えば営業部門では、成績優秀な営業担当者ほど売るための努力をしているので、導入事例や付属資料、比較データなど引き出しをいくつも持っています。こうした工夫を現場から汲み上げ、広告やコンテンツに活かしていけば必ず成果は出ます。せっかくためた宝の山、使わないともったいないですよね。最終的には“インターネットを活用して、売れる仕組みを作る”ことが目的ですから、その商品の売れるポイントを熟知している人を巻き込むことは必須です。
ただ、いきなり協力を得られない場合もあるかと思います。社内を盛り上げるためにはどうすればよいでしょう?
ライバル企業の動向を調べて周知徹底すれば、社員のやる気も湧いてくると思います。例えば、「A社はシェアでは自社の半分以下なのに検索では自社の上位に出ている」とか、「B社はインターネットで自社の3倍も広告を投下して、顧客を獲得している」など。経営者の説得が必要な場合は、自社がどれだけ遅れているか、他社はどこまで進んでいるかを、具体的な数値を交えて訴えましょう。数値が具体的になれば必ず危機感を抱いてくれるはずです。逆に他社の動きがない場合は、見込むことができる新規売上を推算し、「先行できる今がチャンスです」と説得するのがよいと思います。
実際そういったプロジェクトを組む場合、期間はどの程度を考えたらよいのでしょうか?
もちろん規模にもよりますが、準備期間3ヶ月、実行期間3ヶ月が一応の目処になるでしょう。1ヶ月では短すぎますし、1年ともなると間延びしてしまいます。私たちの会社では、1ヶ月ごとに修正を加えながら改善を重ね、最後に営業担当者を交えて報告書を作成し、成果を確認します。期間を決めてきちんと目標を設定することで、メンバーのモチベーションも上がると思います。 いきなり大きな成功を求めず、その期間で着実な成功を積み上げ、次の実験プロジェクトを行うという方式をとると、予算獲得もスムーズにいくケースが多いです。
さらに進んで、ホームページからの問合せを売上に変えるためには、どうすればいいのでしょうか?
何より、問い合わせを受けた後のフォローが大切ですね。とあるホームページの例ですが、問い合わせを受けたときに資料を郵便で送るのと、お宅を訪問して直接届けるのとでは、その後の成約率が約5倍も違ったことがありました。企業相手のホームページなら、問い合わせフォームも重要です。
ある企業の場合、あいまいな問い合わせという窓口はあえて削ってしまい、「テスト機貸出」「価格お問い合せ」「資料ダウンロード」など具体的な窓口に細分化し、目的を明確にして問い合わせまでのハードルを下げています。後の営業フォローとしても、テスト機貸出には「訪問しデモンストレーションを実施」、価格のお問い合せには「お電話で相談ののち見積もり送付」、資料ダウンロードには「メール案内だけ」といった対応をランク分けすることができ、効率的な営業を実現しています。
なるほど。売れる仕組みに近づいた気がしますね。
たとえ集客や問い合わせの獲得が完璧でも、フォローが悪くては売上という結果に結びつかないことを意識し、最終的な成約までのストーリーを用意することが大切なんです。商品力、競合環境、営業体制など様々な要素を勘案しながら、ぜひ自社の強みが生きるネットマーケティングを推進していただければと思います。
なるほど。たいへん勉強になりました。貴重なお話ありがとうございました。
【株式会社パワー・インタラクティブ】

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今月のテーマは「広告宣伝」
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2007年6月号 第3回 「業務効率化で企業の未来を創造する時間をつくろう! 」 (ITコーディネータ 野村真実さん)
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