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【今月の訪問先】
人事コンサルタント 樋口弘和さん
(株式会社トライアンフ 代表取締役)

ようやく景気が上向き、我が社の業績も幸いにして好調です。そこで今後の事業拡大などを考えて、転職希望者を即戦力として確保しようと思っています。
しかし、優秀な人材は大手企業に流れていく気がして…。うちのような中小企業がどのように優秀な人材を採用し、確保していけばいいのかよくわかりません。そこで、中小企業の採用コンサルティングや人事のアウトソーシング事業を展開する株式会社トライアンフの樋口弘和さんに、転職市場の最新動向と優秀な人材を確保するための極意を伺いました。
9月は転職を希望する人が多いとよく聞きますが、なぜですか?
この時期に転職希望者が増える理由は、いくつか考えられます。ひとつは、期の変わり目であり、決算の時期であること。そのため、今まで携わってきたプロジェクトがひと段落するのを契機として、新しいステップに進もうと考える人が増えるわけです。 また、もうひとつの理由として挙げられるのがボーナスの支給です。ボーナスをもらってから会社を辞めようと考えている人が多いということですね。
最新の転職市場動向は、どうなっているのでしょうか?
ここ1〜2年は売り手市場、すなわち応募者にとって有利な状況が続いています。なぜなら、景気低迷を理由に長い間採用を控えていた多くの企業が、景気が上向いたことや団塊世代の大量退職などを背景として、一斉に人材確保へ走り始めたからです。こうした状況の変化により、以前に比べると多くの人にとって一流企業への転職が難しくなくなってきているようです。また、売り手市場なだけに転職希望者にとって魅力的でない企業には人が集まらなくなっていて、同じ中途採用を行う企業でも、いわゆる“勝ち組”と“負け組”に分かれているのが現状です。
求人活動に“勝ち組”と“負け組”ですか?
これは、企業規模の大小に関係なく、「採用力」と「定着力」の差がその要因だと思います。バブル崩壊以降の就職氷河期は買い手有利の状況が続いたため、求職者を乱暴に扱うという企業が多かったんですよ。人を集めるだけ集め、辞めたい人は辞めていただいて結構という姿勢が当たり前とされていたわけです。しかし、今は人を大事にしない企業に対し、求職者は敏感です。そして、そういった企業は「採用力」と「定着力」が低下していくというわけですね。
弊社では 新卒入社3年以内の社会人、いわゆる第二新卒の採用も考えています。その現状を教えていただけますか?
第二新卒の転職は以前より増えていますし、多くの企業が積極的に採用しています。第二新卒は、仕事や職場とのミスマッチで辞める人もいますが、自分自身のステップアップという目的で転職する人も多いようです。終身雇用制度の崩壊が叫ばれるなか、早く一人前に成長したいという若者は、常に自分にとってよりよい環境を求め動いているといえるのではないでしょうか。
 
転職希望者はどのような手段で求人情報を探しているのですか?
人材紹介会社と転職支援サイトの2つが主流ですね。人材紹介会社は、転職希望者と企業との間を取り持ってマッチングを行います。採用が決まると、企業は人材紹介会社に成功報酬として転職希望者の年収の何割かを支払う仕組みです。特に優秀な20代、30代の若者がこういったサービスを利用しているようです。転職希望者としては、間に入って交渉を進めてくれるという点で安心感があるのではないでしょうか。 そして、転職支援サイトですが、求人情報を手軽に検索して情報が入手でき、応募も簡単にできることがメリットでしょうか。求人を出している会社のホームページから直接コンタクトする人もいますが、ほとんどの方は転職支援サイトを利用しています。情報量が多く、希望する条件の仕事が見つけやすいからでしょうね。いずれにせよ、採用活動にインターネットは必須となっています。
インターネットを使って採用するメリットはどこにあるのでしょうか?
何より、圧倒的に母集団の数が多いことです。今はネットで転職活動をおこなうことが当たり前になっています。転職希望者の場合、仕事をしながら転職先を探すことも多いので、効率よく情報を集め、メールで問い合わせや応募などもできるインターネットは、彼らに大変マッチした方法なんですね。企業側も、昔ながらの方法であるハローワークや紙の求人広告を使うより、はるかに多くの転職希望者にアプローチできるので、インターネットには大きなメリットがあると言えるんですね。
具体的にはインターネットをどう活用すればよいのでしょう?
まずは自社のホームページ、とくに採用ページを充実させることですね。たとえ転職支援サイトで応募をかけたとしても、たいていの場合そうしたサイトでは決まったフォーマットに決まった情報だけしか載せられません。そのため、それぞれの企業の違いがわかりにくくなるわけです。しかし、転職支援サイトを使う人たちは、気になる会社のホームページに必ずアクセスしてきます。そこが重要なポイントなのです。自社のホームページならば、自由に情報を掲載できますからね。転職支援サイトを入り口として使い、自社ホームページでアピールする。そうした仕組みを考えながら、自社の採用ページを充実させることが必要です。
なるほど。それで、転職希望者はどのようなことに興味を持っているのでしょう?
業務や給与、待遇などはもちろんですが、今は企業自体についての情報を求めている傾向があります。社長はどんな人なのか、一緒に働く上司や同僚にはどのような人がいるのかなど、主に社内の雰囲気といった働く環境についてですね。また、会社の企業理念や、同年代の人がどのようなキャリアを積んでいるのかなどにも大きな関心があるようです。
   
とはいえ、やはり中小企業は、待遇面などでは大企業に勝てないと思うのですが…
いいえ、そんなことはないと思いますよ。なぜなら、転職希望者の多くが、企業の理念や価値観、将来のビジョンといったことを就職先選びの決め手にしているからです。かつては企業の規模や知名度、給与などが重視されていましたが、今は自分がその企業で何を実現できるのかということを優先し、企業を選んでいます。ですから企業の姿勢や価値観をしっかり打ち出してアピールしていけば、中小企業でも優秀な人材を確保できると思います。
なるほど。では具体的にどのようなことをアピールすればよいのでしょうか。
第1は、中小企業ならではの自由度の高さ、より大きな仕事ができることを訴えてみてはいかがでしょうか。例えば、ある人がこんな仕事を与えられ、こんな成果をあげたと事例を挙げて紹介する。こうすることで、採用サイトを訪れた人が具体的なイメージを持ちやすくなるわけです。 第2は、企業理念です。どこにでもあるありふれた言葉でなく、より具体的にアピールしましょう。また、実際に実現できるものであることが大切です。どんなに理念が立派でも、掛け声だけでは意味がありません。 第3は、将来のビジョンです。理念が夢とすれば、ビジョンは約束です。「3年後にはこんな会社になるから、私たちの仲間に加わりませんか」と呼びかける。より明確なイメージを示し、転職希望者に会社が目指している方向性を理解してもらうことです。こうすることで入社後のミスマッチも減らすことができます。 これら理念とビジョンを合わせたものが企業の「価値観」です。この「価値観」をより具体的に明確に見せるということが肝心なのです。
人材採用において、とるべき基本姿勢を教えてください。
まず、企業のあらゆる業務の中で、採用活動の優先順位を高く設定することですね。今人材の確保というテーマは、その規模に関わらずあらゆる企業において重要であるといえます。社長や幹部クラスの優秀なマネージャーが会社の顔として先頭に立ち、企業説明会や面接などで求職者と接する機会を多く持ちましょう。社長や優秀な社員はどの仕事でも要となりますし、忙しいとは思います。ですが、そうした社員こそ、求職者に訴える成功体験やキャリアを持つ会社の顔となる存在なのです。 さらにコンサルタントの立場から言わせていただくと、旧来の人事部ではなく、コミュニケーション支援部のようなものを作っていただきたいですね。採用活動に必要なものは、何といっても相手とのコミュニケーション。会社説明会や面接では、いかに相手を知り、自分たちを理解してもらうかが重要です。そこでコミュニケーションを支援する専門部署を設置し、人心掌握術に長けた営業のトップクラスの社員を起用するとよいでしょう。 今は「顧客は集まるが、人が採れない時代」です。採用時だけでなく入社後も、そして今いる社員にも、より快適に働いてもらわなくてはなりません。ですから人事面については、業務の最重要事項として取り組む姿勢を持つことが大切なんですね。
うちのような零細企業では、できることも限られると思うのですが…
そうですね。そこは「社員のためになるから」という、投資の意識を持って、身の丈にあったことをすることが大切ですね。どうすれば、快適に効率よく社員が働くことができるかを考え、そのためにできることがあれば、なんでも実行するべきではないでしょうか。優秀な人材を集め、定着させていくためには、会社自体も魅力的になることが大切だと思います。
なるほど。よくわかりました。さっそく実践してみたいと思います。
ありがとうございました。
【株式会社トライアンフ】

〒150-0022
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TEL 03-5723-2001

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2007年5月号 第2回 「コスト削減を生み出す!会社を持ち上げる攻めのIT化」 (ITシニアアナリスト 伊嶋謙二さん)
2007年6月号 第3回 「業務効率化で企業の未来を創造する時間をつくろう! 」 (ITコーディネータ 野村真実さん)
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2007年8月号 第5回 「キーボード操作を極める!業務を効率化させるPCテクニック 」 (ITコンサルタント/Webマーケティングディレクター 後藤暁子さん)
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