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会社の経営者にとって最後の仕事は「スムーズな事業承継」と言われています。もちろん会社を存続させることは経営者の務めですが、創業した会社が社会的な役割を果たすようになった後は、次の世代にうまく引き継ぎながら、さらに存続させる必要が出てきます。これはなにも息子に継がせるということに限らず、生え抜きの社員に承継させる場合もあるでしょうし、ライバル会社に株を譲渡するケースもあると思います。
事業承継は広い意味で後継者の教育も含みますが、お金に関しては株式の持分の移転を指します。よくオーナー社長が亡くなった後、後継者に相続税が多額にかかり、税金の支払いに追われて本業のバトンタッチが遅れたり、会社の財産を処分しなければならないなどのケースを耳にしますが、同族会社の場合、「相続税は個人に係ることで会社のことは別」とはいかないのです。
株式の持分を後継者に移転するには、大きく分けると(1)生前に贈与する、(2)生前に後継者に譲渡する、(3)相続時に引き継がせる、という3つの方法があります。いずれにしろ財産が移転する場合には、税金が絡んできます。税金はその際の必要なコストですが、税金の計算には株式の価値、つまり評価額をどう考えるかがポイントとなります。
株式の評価は、オーナーは払い込んだ金額で評価するのではなく税法に従って計算しなければなりません。同族会社の株式の評価方法は複雑ですが、後継者は基本的には株式を50%以上所有するため、会社の規模に応じて「純資産方式」か「類似評価比準方式」により計算します。会社の規模が小さい場合は会社の財産を全て処分したらいくら残るかを金額で表したもの、つまり清算価値が重要となるため「純資産方式」で計算し、規模が大きいと上場企業の株価(市場価額)を参考に計算する「類似評価比準方式」で計算することになります。

生前贈与とは、生前に後継者に株式を贈与することを言います。贈与税の計算は、贈与を受けた人のその年分の贈与財産の額から基礎控除110万円を差引いた金額に税率をかけて計算します。そのため、基礎控除の金額の範囲内で贈与を繰り返せば無税で移転することになりますが、注意しなければならないことは、まず相続税の試算をし、生前贈与を行なう必要があるのか、また生前贈与するとしたら毎年いくらずつ何年間で実行するかをシミュレーションする必要があるということです。贈与税の基礎控除は年間110万円ですが、相続税の基礎控除は5,000万円+法定相続人の数×1,000万円です。場合によっては、贈与などせずに相続で引き継いだ方が税負担の少ないケースもあります。
生前譲渡とは、生前に後継者に株式を譲渡(売買)することを言います。この場合問題となるのが、譲渡価額と代金決済です。基本的には贈与する時に用いる評価額(前述)で行なうことになります。著しく低い金額で行なうと贈与とみなされることがありますし、譲渡とは名ばかりで、代金決済があいまいな場合も贈与として扱われることがありますので注意しなければなりません。代金決済の問題さえクリアできれば、生前譲渡は生前贈与よりも短期間でより多くの株を移転できるメリットはあります。
生前譲渡の場合は、譲渡するオーナーに譲渡所得税(譲渡益の26%)がかかりますが、購入する後継者には税金はかかりません。よく用いられる方法は、後継者の役員報酬を増額して株式の購入代金に充てる方法です。相続により引き継がせるのか、生前贈与で移転するか、はたまた生前譲渡を実行するのかは、オーナー、後継者、会社の状況をふまえながら、慎重にプランニンングする必要があります。
会社の1年間の通知表とも言える決算報告書は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書から成り立っています。以前は、売上高や売上総利益などの指標が重視され、損益計算書をもとに経営成績の評価がされた時代もありました。
しかしその後、投下資本からいくらの利益が生み出されたかが注目され、現在ではキャッシュフロー重視の分析がされるようになりました。特に中小企業においては、世の中の景気の影響よりも、取引先との個別事情に会社の運営が左右されるため、株主も銀行も資金繰りの状態に一番注目するのです。 |