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法人税の計算において、「交際費」は損金算入の限度額が定められています。それは交際費を使ってはいけないということでなく、税金の計算上損金(経費)にならないということです。よくお店で領収書をもらう時に日付をブランクにして「これは来月回しにしよう」などとつぶやいているサラリーマンを見かけますが、あれは会社が予算や精算の都合上限度額を定めているだけで、税法上の判断とは異なります。
交際費の損金不算入制度は、原則として法人の支出した交際費の全額を損金に算入することを認めず、内部留保を高め冗費(ムダ使い)を節約し企業の体質を改善してゆく狙いがあるといわれています。この制度は、もともと昭和29年に戦後資本の蓄積を促進するために政策的に設けられたものですが、驚くべきことに今日までカタチを変えながら生き残っているのです。
租税特別措置法では「交際費とは、交際費、接待費、機密費その他費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいう」と定義され、資本金1億円以下の中小法人をのぞいて、原則として損金計上(税法上の経費)が認められていません。
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交際費の損金算入が認められるのは資本金5,000万円以下の中小企業でしたが、法人税法の改正により、平成18年3月31日まで、資本金1億円以下の企業まで対象範囲が広げられました。 |
交際費の定義は、事業関連のある者に対する接待、供応、慰安、贈答となっているため「従業員」もふくまれます。そのため、忘年会の二次会の費用などは、福利厚生費の範囲を超えた場合、交際費の損金不算入の対象となることもあります。また、取引先にクレーム処理に行く時に手土産持参というケースも多いですが、これも事業関連のある者に対する贈答となり、金額が少額であっても交際費に該当します。「金額が多いから交際費、少ないから損金」というわけではありません。
交際費とその周辺費用(広告宣伝費、福利厚生費、会議費など)の区分については通達でかなり詳しく定められています。たとえば従業員の食事代を例にとっても得意先との接待に使用した場合は「交際費」、残業の出前をとった場合は「福利厚生費」、毎日の昼食弁用であれば「給与」というように区分されますが、具体的な判定については個別に行なうことになります。
交際費の損金不算入額は、以下の通りです。
▼平成15年3月31日までに開始する事業年度
1. |
資本金1,000万円以下の法人
支出交際費等が年400万円以下の場合…支出交際費×20%
支出交際費等が年400万円超の場合…支出交際費−(400万円−400万円×20%) |
2. |
資本金1,000万円超5,000万円以下の法人
支出交際費等が年300万円以下の場合…支出交際費×20%
支出交際費等が年300万円超の場合…支出交際費−(300万円−300万円×20%) |
3. |
資本金5,000万円超の法人
交際費は1円も認められていないため、支出交際費全額が不算入額となります |
▼平成15年4月1日以後開始する事業年度
1. |
資本金1,000万円以下の法人
支出交際費等が年400万円以下の場合…支出交際費×10%
支出交際費等が年400万円超の場合…支出交際費−(400万円−400万円×10%) |
2. |
資本金1,000万円超1億円以下の法人
支出交際費等が年300万円以下の場合…支出交際費×10%
支出交際費等が年300万円超の場合…支出交際費−(300万円−300万円×10%) |
3. |
資本金1億円超の法人
交際費は1円も認められていないため、支出交際費全額が不算入額となります |
会社が従業員のために行なう福利厚生制度も、時代とともに変化してきています。その昔、東京の会社であれば1泊2日で熱海の温泉に出かけ、宴会の後宿泊して帰るのが一般的でした。その後、バブル時代では海外旅行が盛んになり、最近では制度としての福利厚生より従業員が選択できるいわゆるカフェテリアプランが主流になっているようです。また、趣味や余暇の過ごし方が多様化したため、会社側の押付け福利厚生が減少し、景気低迷も手伝って会社が保有していた保養所等が次々と処分されています。
法人税では、交際費や寄付金と違い、福利厚生費に対する損金算入の限度額等はありません。その代わり、交際費とみなされれば交際費の限度額計算に組み込まれますし、現物給与とみなされれば、法人税の計算上は損金でも経済的利益を受けた従業員に対して所得税や住民税がかかることになります。
税務調査等で一番問題になるのは、現金で支給しているわけではないのに経済的利益が生じたとして個人の所得税の対象になる「現物給与」です。これは会社の税務上は損金となるため法人税の問題は生じませんが、個人の所得税を会社が徴収する義務(これを源泉徴収義務という)の違反となるため慎重に扱わなければなりません。
現物給与に関する規定は、詳しくは所得税法に定められています。食事、永年勤続者の記念品、創業記念品、金銭貸付の利息、生命保険金、社員旅行、社宅の家賃などですが、福利厚生の代表的な例として社員旅行を取り上げてみましょう。ここでは形式基準を説明しますが、税法は原則として形式的な判断ではなくて実態で判断されます(実質基準)ので、社員旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員の参加割合、使用者および参加従業員等の負担額や割合等を総合的に勘案して課税か非課税かの判断をすることになります。
【非課税とされる社員旅行の要件】
1. 旅行に要する期間が現地4泊5日以内であること
2. 全従業員の50%以上の参加者があること
注意点としては、従業員の個人旅行の費用を会社が一部負担した場合は給与となりますし、不参加者に旅行代金相当額を支給した場合も給与となります。また最初から不参加者に対して金銭支給することが決まっている場合には、参加者に対しても給与として扱われます。これは支給を受けたお金で旅行に行ったとみなされるからです。
以上のように福利厚生と給与は紙一重です。例えば安い家賃で社宅に住んだり、安い金額で自社製品を買ったり、安い利息で会社からお金を借入れしたりする時は、当然従業員や役員は第三者よりも経済的に有利な条件となるわけですから、現物給与に該当しないか確認する必要があります。
数年してから税務調査で現物給与と認定されても、その時点で従業員が退職していれば、本人から徴収できないでしょう。しかし、会社としては納付義務があるので、結果として会社が負担することになります。その時には不納付加算税や延滞金がかかってくることにもなりますので注意してください。 |