こうしたことは、法人税の独特な考え方を理解していないと、実は起こりがちなことなのです。では、回答の前に、まず法人税の仕組みを簡単に説明しておきましょう。
法人には、公共法人、公益法人から普通法人まで幅広くありますが、ここでは国内に本店または主たる事務所を有する、一般的な法人について考えてみます。株式会社、有限会社、医療法人などは普通法人に属し、すべての所得に対し普通税率課税が行なわれます。
法人税の課税所得は益金から損金を控除して求めることになっています。益金とは、わかりやすく言えば税務上の収益をさし、損金とは税務上の経費をさします。
「税務上の」というのは、法人税法で定められている事項を調整して計上するということです。たとえば、交際費などは税務上資本金が1億円をこえる企業については1円も損金になりませんのでいくら支出しても損金はゼロとなります。また時価5,000万円の不動産をゼロで譲渡した場合、1円ももらえなくても益金は5,000万円計上することになります。これは不動産を時価の5,000万円で譲渡し、そのお金の5,000万円を寄付したと考えるからです。
その場合でも寄付金は全額損金かというとそうではなく、資本金や所得によって限度額が定められています。このような法人税独特な考え方を理解しないと、見解の相違などで税務調査時に修正税額を負担することになるのです。
法人税の税率は、普通法人においては30%です。が、資本金1億円以下の法人の所得が年800万円以下の部分に関しては22%となっています。また、法人には法人税のほか住民税・事業税もかかってきます。これらを合計して計算したものが実効税率といわれるものです。
所得区分 |
実効税率 |
年400万円以下 |
29.33% |
400万円超800万円以下 |
30.84% |
800万円超 |
40.86% |
|
なお、税負担をキャッシュフローで考える場合は、法人税だけではないので注意が必要です。 また、確定決算の申告および納期限は各事業年度終了の日より2ヶ月以内となっています。株主総会の関係や会計監査人の監査の関係で延長が必要な場合は、事前の届出を条件として1ヶ月の延長が認められています。
最近、芸能関係の脱税事件をよく新聞で見かけますが、国税当局も業界ぐるみの大型脱税事件があると社会的な問題と判断するためか、連続して脱税事件が報道されているようです。新聞報道では詳細はわかりませんが、最近ではWeb上でかなり詳しく知ることができます。
新聞記事で気をつけなければならないことは、「指摘を受けた金額」と「加算税を含めて修正した税額」のバランスです。悪質なケースだと4億円ごまかして3億円ほどの納税をしているケースもあります。また、通常3年間のさかのぼりで修正するところを、7年間の修正申告に応じたというケースもありました。(紅白歌合戦に連続出場している大物演歌歌手など)
脱税記事のコメント欄をみると「税務当局との見解の相違があったが、最終的には当局の指導に従って修正申告に応じた」というコメントが多いようです。しかし、どうしても折り合いがつかない場合は、税務署長もしくは国税局長は「更正」により所得または税額の是正をすることができます。その場合の期限は次のとおりです。
原則 |
・・・ |
その更正に係る法定申告期限から3年以内 |
例外 |
・・・ |
偽りその他不正の行為による場合は7年、納税額を減額させる更正は5年、純損失でその課税期間に生じたものについては5年。 |
修正申告については自主的に行なうものであるため、特に期限は設けられていません。
修正申告をした場合に必ず付帯するのが加算税と延滞税です。加算税は、適正な申告を行なわなかったことに対するペナルティで、延滞税は本来の納期限から修正時までの利息と考えられます。
具体的には、修正税額に次に掲げる%を乗じた税額となります。
◆加算税
過少申告加算税・・・・・・10%
(ただし、更正を予知したものでなければかかりません。たとえば間違いを税務署より先に気づいて修正した場合など)
無申告加算税・・・・・・15%
(ただし、自主申告に係るものは5%。これは期限に遅れながら税務署に指摘される前に申告した場合などです)
不納付加算税(源泉徴収税)・・・・・・10%
(ただし、納税告知を予告しない期限後納付は5%)
重加算税・・・・・・上記の割合にかえて35%
(ただし、無申告の場合は40%)
◆延滞税・・・・・・未納税額×年14.6%
(ただし、納期限から2ヶ月以内の期間は4.1%)
このように、税金の納付に関する遅延や勘違いは、会社に予定外の出費を強いることになります。十分に注意を払いましょう。 |