
現在、企業経営に欠かすことのできない「マネジメント」(management)の概念そのものを生み出したといわれ、世界中の経営者がその言葉に学ぶ、ドラッカーの言葉である。
2008年10月7日更新

フランクフルト大学卒業後ロンドンでの金融機関勤務を経てアメリカに移住。1943年にゼネラル・モーターズ(GM)のコンサルティング業務を請け負い、その研究成果をまとめた『社会という概念』を出版。以降、経営に関する数々の著作を刊行。時代の変化に合わせた経営手法を次々と生み出し、日本はもちろん世界中の経営者から多大な信望を集め、経営学の神様とも称される。
ドラッカーの考え方の中心には、常に「強みを伸ばす」ということがあった。
今回ご紹介している言葉は一見、顧客に対しては、最高の商品、サービスを提供するためには、自前主義などにこだわってはいけない、といったことを伝えているようにも見える。しかし、こうしたドラッカーの基本的な視点を思い浮かべると、これとは別のもう一つの本当の意味が見えてくる。
自社にない技術や製品を、弱みと感じて向上、育成させるよりも、その技術をもった優秀な企業とのパートナーシップを積極的に考えるべきで、その分、自社で持つ優れた技術なりをさらに伸ばすことに目を向けることが大切である、と。それが、顧客に対して最高のものを提供し、企業を成長させるもっとも有効な手段となる、ということだ。
これは、先の言葉が次のような出会いによって生まれたことからも伺い知れる。
実はこの言葉は、GE(米ゼネラル・エレクトリック社)会長のジャック・ウェルチがCEOに任命されたとき、すぐにドラッカーのもとを訪ね、教えを講うたときに提示されたものであると言う。
ドラッカーは、ウェルチ会長が持っていた課題、GEのコスト削減のための一つの答えとして、アウトソーシングをはるかに超えた新しい企業戦略、コラボレーションの効果を伝えた。その時使われたのが、「自前主義を捨てよ」との先の言葉だった。
ドラッカーの示唆に大きな影響を受けたウェルチは、事業の絞り込みとコラボレーションを実行に移し、GEを世界一の企業へと成長させることになる。
多くの経営者はその日常において、つい目の前に山積するマイナスの諸問題、特に弱みを是正するという問題に、多くの時間をとらわれがちだ。
例えば企業で実施されている様々な研修などはそのケースが多い。多くの時間が、人材の力を伸ばすためではなく、その人物の弱い部分を「人並み」あるいは「良くできた先輩」に近づけるようにする目的のため使われている。
製品やサービスにしてもそれは同様で、つい至らない部分の克服に力が投入される傾向がある。製品ラインナップの不足部分の解消、足りない技術の向上、つまりマイナス面の克服に多大な力が投下されている。そのため、自らの強みを生かした戦略がつい忘れられがちにもなってしまう。
ドラッカーは、こんな経営者が陥りがちな傾向を見抜き、「自らの強みに焦点を合わせ、強みでないことは他社に任せる」、つまり強みを伸ばすコラボレーションの大切さを訴えていたのだ。
偽証、品質の問題など様々なマイナスの事柄が盛んに取りざたされ、企業の守備力が問われている現在ではあるが、あえてそんな時期だからこそ、自社の強みにもう一度目を向けてみるのも大切なのかもしれない。
「現在のサービスや製品の長所をもっと伸ばす」
「クレームではなく、ほめ言葉を参考にする」
「自社にしかできない製品を生み出す」
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このポイントを実行する際にまず必要となるのが、自らの「強みの発見」である。しかし自社のことはなかなか自社にわからない。これが大きなジレンマともなっている。では、どうすれば強みを知ることができるのか。これについてドラッカーはこう述べている。
「上得意の顧客に対し、わが社は他社にできないどのような仕事をしているかを聞かなければならない。顧客が常に答えを知っているわけではない。しかしどこに正しい答えを見つけたらよいかは明らかにしてくれる。」

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