
人間関係を構築する。この不確定な行為を、はじめて習得できる技術へと昇華させたデール・カーネギー。すでに半世紀以上たった今も、彼の残した数々の著書は、自己啓発本の最高峰と言われている。
2008年8月5日更新

自己啓発書の元祖といわれる『人を動かす』を著した、アメリカの思想家、デール・カーネギーの言葉である。
州立学芸大学卒業後、新聞記者、俳優、セールスマンなど様々な職業を経て、YMCA弁論術担当となり、やがてD・カーネギー研究所設立。人間関係の先駆者として名声を博するようになる。冒頭の言葉が収められた『人を動かす』は、当初はわずか5000部の販売だったが、出版されるや大きな話題を呼び、あとには2000万部を超える世界的なベストセラー、ロングセラーとなる。
カーネギーの一貫した思想は、常に相手の立場に立って考えること。
この一見、容易に思えることが、実は私たちにはなかなかできない。
けなされるより、褒められるほうが嬉しいに決まってる。そんなことは承知の上。でも相手が褒められるようなことをしないのだから仕方がない。ともすれば部下との付き合いなどでも、ついついそんな考えや衝動にかられてしまう。彼の考え方は、まずそんな自分中心の視点をあらため、とにかく徹底的に相手の立場に立って考えてみることにある。
(自分は)どんな人だったら積極的に協力したくなって、どんな人には協力したくないのか。
相手の立場で考えることは、とりもなおさず「相手の目の前にいる自分自身をいかに変えることができるのか」を考えることになる。
では、人が動きたくなるためには、何が必要なのだろう。
カーネギーは『人を動かす』の中で、「それは相手が何を欲しているのかを想像してみることだ」とも述べている。それは、お金なのか、認められることなのか、あるいは時間なのか。
相手が欲しいものを知るためには、相手をよく見て、話をよく聞き、欲しがっているものを取材することも必要となってくる。
彼は「相手が何を欲しているのか」についても、さらに具体的な8つの事柄を挙げている。
1.健康と長寿、2.食物、3.睡眠、4.金銭および金銭によって買えるもの、5.来世の生命、6.性欲の満足、7.子孫の繁栄、8.自己の重要感
なるほど、私たちは「ほとんど全ての時間を、この8つの事柄の何かしらを求めて過ごしている」と言えるかも知れない。私たちが人を動かすことは、まず個人によって異なる「欲するもの」の優先順位を見つけることなのだろう。人との関係を築いていく上で、こうした作業を入れることで、仕事の上での人間関係は大きく変化する。
彼は、人を動かすための、相手のやる気を引き出す実戦方法として、冒頭の言葉を具体化した次の三原則としてまとめている。
「批判も非難もしない。苦情もいわない」
「卒直で、誠実な評価を与える」
「強い欲求を起こさせる」
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人は、自分が動きたいと思わなければ決して動かない。そして自分は正しく、重要な人物だ、という自尊心を多かれ少なかれ持っている。注意しても直らない。言われたことしかやらない。そんな状況に出会ったら、もう一度、相手の立場に立つことの大切さに立ち戻り、冒頭の言葉とともに、この三原則を思い出してみてはいかがだろう。

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