それでは、“野球”≒収支計画(期間損益)と“ボクシング”≒資金計画(資金繰り)のポイントを考えてみましょう。
まず、収支計画は売上高の予測が重要なポイントになります。売上高を考える場合、「価格×販売数量」や「客数×客単価」が算出の根拠になりますが、ここで大切なことは楽観的な予測ではなく、客観的な視点をベースとすることです。市場の将来性や自社の業況を正確に把握して、金融機関に開示しても納得を得られることが肝要です。
また、費用の見積もりでは、つい過小に見積もってしまい、結果として費用が増大して利益を圧迫しがちです。そこで、同業他社の数値も参考に比較検討してみてください。ただし、競合他社のデータは簡単に入手できないはずですので、毎年、中小企業庁が発行している「中小企業の経営指標」「中小企業の原価指標」をご覧になることをお薦めします。これらには業種別・従業員規模別に、財務上の平均データが記載されていますので参考となります。
次に資金計画ですが、どれだけの資金をなぜ必要とし、その資金をどこから調達するのかを明らかにするものです。
必要資金は大きく分けて、仕入費用・人件費・地代家賃などの「運転資金」と、工場・店舗や機械設備などの取得に充当する「設備資金」に分けられます。
前者は、通常の事業活動の中で投下される資金であり、売上の変動や支払サイトの関係から3〜6ヵ月分くらいの余裕を持つとよいでしょう。
また、後者は、長期的かつ継続的に使用する固定資産などに投下されるので、自己資金や長期借入金などで充当することが重要です。また、日頃の資金管理では、資金繰り表を作成し、2〜3ヵ月後の資金過不足を予測して、早め早めに手を打つことがポイントです。資金繰り表のフォーマットは、あまり複雑過ぎると記入に時間を取られますので、簡単なものでこまめにチェックする方がよいでしょう。
最後に、財務計画の策定の際に留意すべき点として、“業績推移を複数のシミュレーションで行っておく”ということがあります。例えば、売上高の予測でも、当初の売上予測だけでなくそれを下回る場合(悲観的な予測)と上回る場合(楽観的な予測)の両方を想定し、それぞれの収益計画と資金計画も策定しておくことです。そうすることで事業展開の際、どのように業績が推移しても、慌てずに、しかるべき手を打つことができます。