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成功する!事業計画書のツボ
第5回 財務計画の勘どころ
成功する!事業計画書のツボ
2004年04月05日
期間損益は“野球”、資金繰りは“ボクシング”!?
 事業計画書の中で重要なものに財務計画があります。特に金融機関から融資を受ける際には必須のツールと言えるでしょう。
 しかしながら、財務など会社の数字を苦手にしている経営者は意外と多いようです。経営者たるもの数字が苦手では……という見方もありますが、ここではっきりさせておきたいことは、経営者は必ずしも経理のプロにならなくてもいいということです。すなわち、最低限、押さえておくべきポイントをしっかり把握しておけば十分なのです。

 そのポイントには、大きく分けて2つあります。
 まず1つ目は収支計画であり、予想売上と必要とされる経費を計上して、どのくらい利益が見込めるのかを明らかにします。通常、企業の会計期間は1年が多いですが、これを期間損益といいます。
 収支計画をスポーツに例えれば「野球」に似ています。というのも、1年間で売上や費用がどの程度かかって、結果として利益がどうなったかを示すものですから、8回まで赤字状態であっても、9回の裏で逆転ホームラン(期末で大きな売上を達成)も可能ということになるからです。

 もう1つには、資金計画があります。どのくらいの資金を調達して、それをどう設備や商品に投下するのか、また、買掛金の決済や借入金の返済も必要ですので、これらの支払をどうするのかも検討すべきです。そう、資金計画とは、いわゆる資金繰りのことです。
 こちらはスポーツに例えれば「ボクシング」に似ているでしょう。たとえ12ラウンドの試合でも、途中で強いパンチを受けて立てなければ、そこで試合はストップです。企業の経営では、明日に大きな入金があるとしても、今日の手形を決済できなければ、不渡りとなってしまいます。つまり、経営者は日々の経営において、この2つのスポーツを「並行して」行っていると言えるでしょう。

収支計画と資金計画のポイント
 それでは、“野球”≒収支計画(期間損益)と“ボクシング”≒資金計画(資金繰り)のポイントを考えてみましょう。

 まず、収支計画は売上高の予測が重要なポイントになります。売上高を考える場合、「価格×販売数量」や「客数×客単価」が算出の根拠になりますが、ここで大切なことは楽観的な予測ではなく、客観的な視点をベースとすることです。市場の将来性や自社の業況を正確に把握して、金融機関に開示しても納得を得られることが肝要です。
 また、費用の見積もりでは、つい過小に見積もってしまい、結果として費用が増大して利益を圧迫しがちです。そこで、同業他社の数値も参考に比較検討してみてください。ただし、競合他社のデータは簡単に入手できないはずですので、毎年、中小企業庁が発行している「中小企業の経営指標」「中小企業の原価指標」をご覧になることをお薦めします。これらには業種別・従業員規模別に、財務上の平均データが記載されていますので参考となります。

 次に資金計画ですが、どれだけの資金をなぜ必要とし、その資金をどこから調達するのかを明らかにするものです。
 必要資金は大きく分けて、仕入費用・人件費・地代家賃などの「運転資金」と、工場・店舗や機械設備などの取得に充当する「設備資金」に分けられます。
 前者は、通常の事業活動の中で投下される資金であり、売上の変動や支払サイトの関係から3〜6ヵ月分くらいの余裕を持つとよいでしょう。
 また、後者は、長期的かつ継続的に使用する固定資産などに投下されるので、自己資金や長期借入金などで充当することが重要です。また、日頃の資金管理では、資金繰り表を作成し、2〜3ヵ月後の資金過不足を予測して、早め早めに手を打つことがポイントです。資金繰り表のフォーマットは、あまり複雑過ぎると記入に時間を取られますので、簡単なものでこまめにチェックする方がよいでしょう。

 最後に、財務計画の策定の際に留意すべき点として、“業績推移を複数のシミュレーションで行っておく”ということがあります。例えば、売上高の予測でも、当初の売上予測だけでなくそれを下回る場合(悲観的な予測)と上回る場合(楽観的な予測)の両方を想定し、それぞれの収益計画と資金計画も策定しておくことです。そうすることで事業展開の際、どのように業績が推移しても、慌てずに、しかるべき手を打つことができます。

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坂本篤彦 (さかもと あつひこ)
・中小企業診断士
・ビジネス・コア・コンサルティング代表

ベンチャーの創業や事業展開支援など、実践型のコンサルティングに定評がある。年に数百回行なわれるセミナー・講演会にはリピーターも多い。著作物に『21世紀の「サービス業」はこう変わる』(経営情報出版社/共著)、『販路開拓成功マニュアル』(東京商工会議所 ベンチャー支援センター)など。

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