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読んですぐ分かる!カンタン経済教室

サービス競争時代の銀行120%活用法

2004年04月05日
金融ビッグバンの到来がささやかれて久しい昨今、銀行といえば融通の利かないサービス業の典型、などと思っている人は、もはやほとんどいないはず。でも、ここまで"進化"していると知っている人はどのくらいいるのだろう。

インターネットや新しい電子決算システムなど、進化しつづける銀行サービスの「今」に迫ってみました。

ネット・ATMで24時間可能に
購入商品・サービスの代金をインターネットや現金自動預け払い機(ATM)を通して支払う電子決済サービスを、大手銀行グループが相次いで始める。銀行振込と違って、利用者は手数料負担なしで二十四時間いつでも払い込める。商品を売る企業にとっては代金回収を効率的に進められる。
(日本経済新聞 2004年2月25日)
横並びからサービス競争の時代へ
 ここ最近、過熱の一途を辿っているのが、大手銀行のサービス合戦です。

 中でも顕著なのが、サービス利用時間の拡大でしょう。りそな銀行では、昨年12月に約300の店舗で金曜日の営業時間を午後7時まで延長。4月からは、ほぼすべての支店と出張所で平日の窓口営業時間を午後5時まで2時間延長するほか、土曜日にATM(現金自動預け払い機)を無料で利用できる時間帯も拡大します。

 テレビCMなどでご存知の方も多いと思いますが、UFJ銀行でも、昨年秋に大都市圏でATMの24時間フル稼働に踏み切っています。同行では、全店舗にテレビ電話付き端末を設置し、夜間でも口座を開設できるサービスを実施。さらに平日は夜8時まで、土日や祝日も営業する店舗「UFJプラス」を順次出店するなど、サービス利用時間の拡大を強化する戦略を明確にしています。

中小企業向けサービスも積極展開
 一時は「貸し渋り」や「貸し剥がし」などが社会問題になった銀行の融資姿勢も、大きく変わりつつあります。

 金融庁が公的資金注入の見返りとして中小企業への融資強化を促していることや、大企業の銀行離れなどを背景に、大手銀行では中小企業を中心とした新規融資先の開拓が急務となっています。

 東京三菱銀行では、企業向けWebバンキングサービス「BizSTATION」を展開中。複数口座残高の一覧表示や業務権限ごとの操作制限など、ビジネスユースにこだわったサービスを提供しています。また、「融活力」と銘打った中小企業向け融資も行っています。

 三井住友銀行では、コールセンターからの電話案内をしたり、ダイレクトメールを発送したりして、中小企業向け無担保ローンの融資先開拓に全力をあげています。法人営業所「ビジネスサポートプラザ」などの営業拠点も9月末までに約70ヵ所増やす計画です。

 また、りそな銀行は、主に外貨建て取引のある中小企業向けに、インターネットで外国為替相場の照会や取引ができるサービスを4月からスタートします。

代金回収に便利な決済サービスが登場
 みずほ、三井住友、三菱東京、UFJの各大手銀行グループは、商品の購入代金やサービス代金をインターネットやATMを通して支払うことができる電子決済サービスを、この春から相次いでスタートします

 この電子決済サービスの最大の魅力は、銀行振込と異なり、利用者が手数料負担なしで24時間いつでも代金を払い込めること。企業側にとっては、より効率的に代金回収が進められる、頼れるサービスとして期待を集めています。

 サービスの土台となっているのが、金融機関が共同で開発した電子決済システム「ペイジー」です。ペイジーは、政府がアマチュア無線の電波利用料の代金回収に活用しているほか、すでに大企業では独自に導入されている実績あるシステム。これをより幅広く、多くの企業で利用できるしくみが実現したというわけです。

新電子決済サービスのしくみ
 サービスの利用には、まずは企業がこれらの銀行と契約することが前提になります。

 その上で、企業は商品やサービスの購入者に「お客さま番号」などを通知します。そして、購入者が自分の取引している金融機関のインターネットやATMのサービス画面上でこの「お客さま番号」を入力すると請求内容の確認ができ、代金を支払えるというしくみになっています。

 これまでの銀行振込やコンビニでの代金収納と比較すると、利用者にとっては時間や場所を選ばずに料金を支払え、手数料もかからないというのが嬉しいところ。一方の企業側にとっても、銀行と契約を交わし、手数料を支払う必要があるものの、請求内容や入金情報の管理が容易になることや、払込用紙の発送が不要になることなど、大きなメリットがあるといえるでしょう。

電子決済サービスのしくみ
株も保険もワンストップで利用可能に!?
 銀行窓口で扱える金融商品も、金融庁が進めている規制緩和を受けて次々に拡大しています。

 すでに2002年10月には個人年金保険の窓口販売がスタート。売れ行きは上々で、発売開始後1年での販売額は大手銀行だけでも5,000億円を超えています。さらに、2004年中には、預金者や取引先企業に対して株式売買の勧誘をしたり、相談に乗ったりする「証券仲介業」が解禁になる見通し。生命保険や損害保険の銀行窓口販売の全面解禁についても前向きに検討されています。

 預金や住宅ローンといった本来の銀行業務から、株式投資や投資信託、保険商品の購入、遺言信託までがひとつの銀行窓口で申し込める、「ワンストップサービス」が実現する日もそう遠くはないかもしれません。

銀行の次なる挑戦はまだまだ続く
 預金が不正に引き出されたり、解約されたりといった被害が増加するなか、預金通帳やキャッシュカードの盗難・偽造対策も銀行にとっての大きな課題になっています。

 スルガ銀行では、6月から手のひらの静脈で本人確認を行う「生体認証」を国内で初めて採用します。手のひらの静脈パターンが一致する確率は、片手で1万分の1、両手では1億分の1。静脈パターンが照合できる専用端末を約60の主要支店の窓口に設置し、あらかじめ登録された静脈パターンと一致した場合に限って現金が引き出せるようになります。

 東京三菱銀行でも、2004年度中には指紋や指先の血流による認証システムを採用したキャッシュカードを発行予定です。

 また、起業を考える学生や研究者を対象に、会社の設立方法や技術や特許をビジネスにつなげるノウハウを手ほどきするベンチャー支援も、大手銀行を中心に盛んに行われています。

 私たちと銀行との新しい関係が今、始まろうとしているのです。

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大竹のり子
(AFP・2級FP技能士)

1975年6月14日生まれ。
大学卒業後、社会科学系の出版社で書籍の編集に携わる。2000年10月、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会にファイナンシャル・プランナー(AFP)として会員登録。退職後、フリーのエディター&ライターとして活動を開始。現在、FPとしての技能向上に努める傍ら、幅広いFPの分野にわたり書籍の編集や雑誌のディレクション、執筆を行っている。現在、ファイナンシャルプランニングの情報サイト“FPwoman”を運営中。

大竹のり子
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