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読んですぐ分かる!カンタン経済教室

第3回 ぜひチェックしておきたい「“権利”ビジネス」について

2004年03月08日
特許ひとつで億万長者も夢じゃない!?

青色発光ダイオードを発明したことで、日本の会社員からアメリカの大学教授へと転身を遂げた、中村修二教授による注目の訴訟に対し、裁判所の判決とは?

200億円支払い命令 青色ダイオード訴訟、東京地裁判決
世紀の発明といわれる「青色発光ダイオード(LED)」の特許権を譲り受けた会社が、発明者に支払うべき正当な対価をめぐって争われた訴訟の判決が30日、東京地裁であった。三村量一裁判長はまず、発明の対価を604億円と算定。そのうえで、発明者の中村修二・米カリフォルニア大学教授(49)が発明対価の一部として勤務していた会社に請求していた200億円を全額認めて同社に支払いを命じた。
(朝日新聞 2004年1月31日記事より)
青色LEDの発明対価は200億円!
 2004年1月30日、東京地裁が青色発光ダイオード(以下、青色LED)の発明対価として、発明者である中村修二氏に200億円を支払うよう、中村氏が当時在籍していた日亜化学工業に命じる判決を下したというニュースが、産業界からお茶の間までを震撼させました。

 そもそも発光ダイオードとは、電流を流すと発光する素子のこと。白熱灯などとは異なり、余計な熱を発生させずに、低電力で高輝度の発光が可能なことが最大の利点とされています。

 赤や緑の発光ダイオードは20年以上前に開発されていたものの、青色を開発することは20世紀中には無理といわれていました。ところが、中村氏が青色LEDを開発したことで光の3原色が揃い踏み。信号機や約1,600万色の液晶画面などの実用化が一気に可能になったのです。

発明対価のキーワードは「特許権」
 この200億円の「発明対価」にあたるものが、知的財産権のひとつである「特許権」です。

 特許権とは、発明者が発明の内容を公開する代わりに、その発明に対する権利を独占的に持つことができるもの。この権利によって発明者を保護し、発明を奨励して国内産業の発達を促そうというのが、特許権を保護する国の狙いです。

 特許として認められるものには「物」「方法」「物の生産方法」の3つのタイプがあり、既存の技術よりも進歩した内容であることや、産業上利用できることなどが要件として求められます。

 たとえば、一昔前ならどこの家庭にもひとつはあった“亀の子たわし”は、大正4年に特許として登録されたもの。私たちは知らないうちに多くの特許権製品のお世話になりながら暮らしているのです。

特許法改正で審査期間の短縮なるか!?
 発明を「特許」として登録するためには、特許庁に出願してから3年以内に審査を受け、認められなければなりません。

 とはいっても、特許の出願件数は年間でなんと10万件以上にも及びます。そのため、審査待ちの期間が長期化し、画期的な新技術を特許として出願しても、それが特許として認められるまでにかなりの時間を要してしまっているのが現状です。

 こうした状況を打開するため、特許庁は2月10日に特許法改正案を国会に提出しています。2004年度からは特許審査官を増員し、現在約2年を要している審査待ちの期間を10年後には1年2ヵ月程度へ短縮することをめざします。また、審査請求料を引き上げることで安易な出願を抑えるという対策も推し進めています。

「特許」がもたらす利益は計り知れず!
 ところで、このニュースがこれほどまでに注目を浴びたのは、裁判所が下した「発明対価」が200億円ととてつもなく巨額であるからに他なりません。

 今回の判決では、青色LEDの発明によって日亜化学工業が得た利益は1,208億円と導き出されています。これだけでも驚くべき数字ですが、同社がもしもこの技術を自社だけで囲い込まずに他社にも特許の実施権を供与していれば、発光ダイオードの市場規模がさらに広がり、特許料収入も激増していたのではないかと推測されています。

 つまり、特許権の活用手腕ひとつで、何百、何千億円の利益が生み出せる可能性があるということ。その発明が画期的なものであればあるほど、企業にもたらす利益は計り知れないのです。

知的財産権にはどんなものがあるの?
 青色LEDのような世紀の発明とまではいかなくても、こうした知的財産権のタマゴは私たちの身近なところにいくらでも転がっています。

 「知的財産権」には、「特許権」をはじめ、「実用新案権」や「意匠権」、「商標権」、「著作権」などがあります。

 「実用新案権」は、特許権の対象となる発明ほど高度なものではないちょっとした「アイディア」を保護するもの。たとえば、ボックスティッシュの箱が以前よりも薄型になっているのも、実用新案権として登録されています。

 「意匠権」は、斬新なデザインを保護する権利。製品デザインそのものだけでなく、形状に結びつく模様や色彩も保護の対象となっています。また、「商標権」は、製品やサービスを他社と区別するために付けられる名前やブランドマークなどを使用する権利。製品や企業イメージを高めるために欠かせないのが「商標」です。実際に、商標名を変えただけで、大幅に売り上げを伸ばした製品や企業も数多く存在しています。

「権利ビジネス」の可能性は無限大!
 もうひとつ忘れてならないのが「著作権」です。著作権とは、ご存知の通り著作物を守るための権利です。

 著作権が他の知的財産権と異なるのは、権利を得るための登録を一切必要としないということ。つまり、著作物を創作した時点で自動的に権利が発生するのが著作権なのです。

 最近では、著作権を活用した「コンテンツビジネス」がかなり活気を帯びてきています。インターネットの普及で、映像や音楽の配信が簡単にできるようになったことが、こうしたコンテンツビジネスの大きな追い風となっているといえるでしょう。

 「権利ビジネス」のきっかけはあちらこちらに潜んでいるものです。しかし、どんなに優れたアイディアやデザインであっても、黙っていては知的財産権としてビジネスに活用することは不可能です。まずは知的財産権についての基本的知識を持ち、チャンスをものにしようとする意識を常に持つことが大切だといえるでしょう。そうすれば、権利ビジネスの可能性は無限大に広がっていくに違いありません。

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大竹のり子
(AFP・2級FP技能士)

1975年6月14日生まれ。
大学卒業後、社会科学系の出版社で書籍の編集に携わる。2000年10月、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会にファイナンシャル・プランナー(AFP)として会員登録。退職後、フリーのエディター&ライターとして活動を開始。現在、FPとしての技能向上に努める傍ら、幅広いFPの分野にわたり書籍の編集や雑誌のディレクション、執筆を行っている。現在、ファイナンシャルプランニングの情報サイト“FPwoman”を運営中。

大竹のり子
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