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読んですぐ分かる!カンタン経済教室

第2回 「消費税総額表示」なにが変わる?どう変わる?

2004年02月23日
4月からスタートする“総額表示”。
カウントダウンの今、業界によっては対応に大わらわ、ということもあるはず。
では、この総額表示、いったいどのように表記したら法的にOKなのか、そして新たに対象となる人はどんな人なのか。分かりやすくまとめてみました。
総額表示でも「100円ショップ」OK
大創産業(広島県東広島市、矢野博丈社長)など100円ショップ各社は、価格を消費税込みで示す総額表示が義務付けられる4月以降も「100円ショップ」の看板を変更しないことを決めた。本体価格が100円の商品の場合、総額表示は105円になるが、財務省も看板をブランドの一つとみなして認める方針。
(NIKKEI NET 2004年2月7日の記事より)
4月から消費税の総額表示がスタート
 私たちの生活にすっかり溶け込んでいる「消費税」。しかし、代金を支払う時に税込みなのかそうでないのか、一瞬戸惑ってしまうことも少なくありません。

 こういった煩わしさをなくすため、消費税法の改正によって2004年4月から消費税の総額表示が義務付けられることになりました。これ以降は、商品の値札や店内の掲示だけでなく、チラシや商品カタログ、各種のサービスなど、消費者の購入前に価格を表示する場合には、すべて総額表示が義務付けられることになります。

 これによって、同じ商品なのにお店によって「本体価格980円」、「税込1,029円」などとバラバラの値段で表示されることもなくなります。いわゆる「内税・外税問題」を解決し、消費者に分かりやすいよう価格表示を統一することが今回の改正の主な狙いなのです。

100円ショップ、出版業界に大きな波紋

 今回の総額表示の義務付けは、多くの業界に大きな波紋を広げています。

 たとえば「100円ショップ」。「100円(税込)」の値札を付けるにはコスト削減しかありませんが、薄利多売で成り立つ100円ショップには厳しい選択。現実的には、すべての商品の価格表示を「105円(税込)」に改めるということになりそうです。

 看板そのものも「105円ショップ」に変える必要があるのではという議論もなされましたが、これについては財務省からは「店の名前に『100円』を冠することは価格表示にあたらない」というお墨付きをもらって一件落着。

 出版業界でも問題は深刻です。書籍はカバーや表紙に直接本体価格を印刷するのが一般的ですが、在庫を回収して上からシールを張り付けたり、印刷し直したりするとなると、膨大なコストがかかります。この問題については業界団体が財務省に直訴し、本に挟む定価カードだけを新方式に改めることで一応の解決をみることになりました。

どんな価格表示なら認められる?
 では、消費税総額表示のスタートにあたって、具体的にどのような対応が必要なのでしょうか。

 実際に総額表示が義務化されるのは4月からですが、商品カタログやパンフレットなど、一定期間利用されるものについては早めの改訂が必要になってきます。業種によっては、新しいレジシステムの導入準備が必要となる場合も考えられます。

 もちろん、4月以降は、商品の価格表示をすべて総額表示に改めることになります。価格の表示方法については、認められるものと認められないものが細かく規定されていますので、前もって方針をしっかり決めておくことが大切になってくるでしょう。

 値札をつけられる商品だけでなく、ガソリンや肉のグラム売りなどのように、一定単位で価格表示をしているものや、サービス料、手数料なども総額表示の対象になります。この場合、もともと1リットル100円のガソリンなら、はじめから「1リットル105円」と 表示することになります。

2004年4月以降の価格表示(本体価格980円、消費税49円の商品の場合)
○認められるもの
×認められないもの
1,029円
980円
1,029円(税込)
980円(税別)
1,029円(本体980円、税49円)
本体980円
1,029円(税49円)
本体980円、税49円
980円(税込1029円)
定価980円+税
さまざまな特例で総額表示を後押し
 総額表示への移行に伴って、やむなく新しいレジシステムを導入したり、ソフトウェアを購入したりする場合も出てきます。

 これらの負担を軽減するため、電子計算機に関するソフトウェアの取得については、取得価額の50%の特別償却か10%の税額控除ができる「IT投資促進税制」を創設。会計処理プログラムの修正費用も、総額表示の義務付けによるものであれば、修繕費として損金に算入することができます。

 さらに、1円未満の端数の扱いにも特例が。たとえば、本体価格150円のボールペンの消費税額は本来7円50銭ですが、現在は1円未満を切り捨てて7円で扱われています。納税額も、消費税法の特例措置により、何個売っても1個につき7円。したがって、100本売った場合には700円の消費税を納めることになっています。

 ところが、総額表示のもとでは、100本売った時の納税額は1万5,700円の105分の5、つまり747円となり、実質的な“増税”となってしまいます。そこで、こうした場合の納税額も700円とすることができる特例が設けられました。

「免税点」の引き下げで136万人が課税対象に!
 総額表示の義務付けのほかにも、実は見過ごせない改正があります。それが「免税点」の引き下げです。

 今までは、年間売上高が3,000万円以下の中小事業者は消費税の納税が免除されていました。ところが、4月から「免税点」が引き下げになり、年間売上高が1,000万円を超えると消費税の納税義務が発生します。

 これによって、新たに約136万人の事業者が消費税の課税対象となると試算されています。年間売上高が1,000〜3,000万円の事業者のなかでも、簡単には消費税分を価格に転嫁できない、自動販売機を使った事業を行っている人にとっては大打撃となることでしょう。

 さらに、業種ごとに決められた「みなし仕入れ率」を売上高に掛けて税額を算出することを認める「簡易課税制度」も、適用上限が年商2億円から5,000万円へと変更になっています。

便乗値上げ? それとも便乗値下げ?
 総額表示では、消費税分も含めて一括表示する「内税方式」が基本ですが、本体価格と税額の内訳を併記することも認められています。

 このように、完全な内税方式を徹底しないのは、「税額が見えにくくなる」「便乗値上げが起きる」との批判の声があるためです。

 しかし、現在のように激しい価格競争が繰り広げられているなかでは、むしろ、半端な数字を使わずに、税込み金額が切りのいい数字になるよう、便乗値下げ(?)する事業者もたくさん出てくることでしょう。

 「消費税総額表示」にどのように対応するにせよ、最終的には消費者の信頼を得ることのできた人が“勝ち組”となることは間違いありません。

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大竹のり子
(AFP・2級FP技能士)

1975年6月14日生まれ。
大学卒業後、社会科学系の出版社で書籍の編集に携わる。2000年10月、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会にファイナンシャル・プランナー(AFP)として会員登録。退職後、フリーのエディター&ライターとして活動を開始。現在、FPとしての技能向上に努める傍ら、幅広いFPの分野にわたり書籍の編集や雑誌のディレクション、執筆を行っている。現在、ファイナンシャルプランニングの情報サイト“FPwoman”を運営中。

大竹のり子
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