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e-Japanはビジネスをこう変える第4回 注目を集める「個人情報保護」

2004年07月26日

世界で広がるプライバシーの意識

 前回までは基本的にe-Japanに関わっていくことで生まれるメリットについて紹介してきました(もちろん、メリットを得るためにはそれなりの準備を整えなければなりませんが)。ただ、いいところだけを説明してもe-Japanの全貌は見えませんので、今回はちょっと別の角度からお話をしてみたいと思います。
 最近、個人情報の値段が色々取りざたされるようになってきました。以前は自分の年齢や電話番号といった情報に価値があるということがあまり認識されていませんでしたが、近年の情報技術の向上により、世の中に散逸している自分の情報も、たとえば電話番号などをキーに収集していけば、かなり詳しく当人のことがわかるということが判明してきました。もしそこに病気の既往歴や金融関連情報などが含まれていれば、その人はどんな人生設計を考えているのだろうとか、あるいはこれから先どんな病気にかかる可能性があるのか、などということまで推測できてしまうかも知れません。
 マーケティングなどに活用したい企業にとっては朗報ですが、個人には脅威にもなり得ます。これを受けて世界的にプライバシー意識が高まっており、業務などの過程で知り得た個人情報を、企業は安全に保護しなければならなくなっています。
 顧客の個人情報を流出させてしまった場合の直接賠償金は1人あたり数百円〜数万円程度で推移していますが、それだけでなく、企業イメージの失墜といった間接的な被害も含めれば、その被害は甚大なものになります。
 この潮流を加速させているのが、個人情報保護法の制定です。従来、企業の倫理観や国際ガイドラインなどに依拠していた個人情報の取扱いに、2005年4月から法律の網がかかることになります。
 詳細な運用についてはまだ不明な部分もありますが、基本的には5,000件以上の個人情報を扱っている企業は個人情報取扱事業者とされ、各種の義務を負うことになると言われています。仮に流出事故を起こし、裁判に発展するようなケースになってしまったら、賠償額のさらなる増大が起こる可能性も考えられます。

セキュリティへの取り組み

 したがって、個人情報保護を含めた情報セキュリティへの取組みには、今まで以上に留意していく必要があります。セキュリティ対策をまったく講じずにe-Japanの世界に参加していくのは、裸で冬山に登るくらい無謀です。
 しかし、情報セキュリティは取扱う範囲が広く(古典的な泥棒対策や火事対策から、ウイルス対策、不正アクセス対策、個人情報漏洩対策まで、すべて情報セキュリティで対応する分野です)、一企業がすべてを立案・構築するのは困難です。
 そこで行政では、JIS Q 15001(個人情報保護に関するコンプライアンス・プログラムの要求事項)、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)、情報セキュリティ監査制度など、各種のひな形(フレームワーク)を用意しています。
 セキュリティへの取組みというのは住宅ローンにも似て、各家庭の台所事情を反映して方針を決める必要があるため、一律に「これが最適!」とは言いにくいのですが、たとえば住宅ローンの場合なら、「返済率は年収の30%以内がいいらしいよ」などといった一般的なルールがあるように、セキュリティ対策の場合も「このレベルの企業・事業ならこういったセキュリティ対策は取った方がいいよ」ということは定められます。
 これがひな形で、各企業はひな形を採用することで、一からプランを練ることなく比較的容易にセキュリティ対策を実施できます。もちろん、細かい部分は自社向けに最適化しなければなりませんが、今後企業に対するセキュリティ要求はさらに高度化していくでしょうから、ひな形を上手に活用してできるだけ低コスト・低負担で高いセキュリティを維持していくのが望ましいと言えます。
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岡嶋 裕史 (おかじま ゆうし)
中央大学大学院総合政策研究科博士後期課程修了。博士(総合政策)。 富士総合研究所勤務を経て、関東学院大学専任講師。 Webサービス・イニシアティブ技術部会副部会長。