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e-Japanはビジネスをこう変える第2回 電子帳簿保存法とは

2004年06月28日

電子化しても効率化しなかった税務処理

  e-Japanが推進されることによるメリットは、中小企業にとってもいろいろあるということを前回お話しました。では、具体的にどのようなメリットがあるのか、まず最初の事例として税務に関連した利点を紹介します。
 税務処理は、企業経営をしている中で、誰もがあまり好きではないし関わりたくない仕事でしょう。それ自体が利潤を生むわけでもありませんから、できるだけ簡単に済ませたいと思うのが、一般的な税務との関わり方です。実際、今やほとんどの企業が固定資産台帳や貸借対照表、損益計算書などの作成をコンピュータシステムで行っています。

 しかし、国税局はこれらの書類を紙に打ち出して保存することを求めていました。これは「全体の作業効率」を考えるとまったくナンセンスです。せっかく税務処理システムを導入した企業にとっては、電子ファイルできちんと整理されているデータを税務調査などのためにだけ紙に出力・保存することで、余分な手間やコストがかかります。

 税務署にとっても、何らかの調査を行う場合、電子データのままでもらえれば再入力の手間がかからないのに、紙に打ち出したデータであるため、手作業での入力などが生じていました。まさに前回説明した「電子化しているのに、ちっとも全体の効率が上がらない」事例です。
 これは別に、国税局が意地悪をしているわけではありません。役所の仕事はすべて法律に基づいて行われる必要がありますから、それに従っていたわけです。しかし、ここへ来てe-Japanの流れが加速していることなどから、電子帳簿保存法が制定されました。
 この法律によれば、適用しようとする日の3ヵ月前までに税務署へ申請を行えば、国税関係帳簿書類を電子ベース(CD-ROMやマイクロフィルムなど)で保存してもよいことになりました。

効率的に改良される税務処理

 残念ながら、現状での電子帳簿保存法は、まだまだ完全であるとは言えません。
 たとえば、一貫した処理を求めているため、会計年度の途中では紙から電子データへ切り替えられないことや、税務調査時に提出を求められた場合は紙でのデータ提出にも応じなければならないこと。電子化されたといっても、確定申告をメールで行うことなどはできないといった点です。

 しかし、これらの手順は随時改良されていく予定です。確定申告をメールで行えない理由は「メールでは、当事者でない人が悪意で嘘のデータを送ってきても、身分証明がしにくい」「税務情報などのデリケートなデータをメールで送信して、クラッカーに盗聴されたらどうしよう」という理由でそうなっているのですが、これもe-Japan構想の一角をなすPKI(公開鍵基盤)などを利用すれば対処することが可能です。

 これからは、税務署や企業の間で税務情報をやり取りする場合、メールやWebサービスを用いて電子データをやり取りするのが一般的になるでしょう。
 これをうまく利用すれば、書類の保存場所など無駄なコストを削減できますが、逆に乗り遅れた場合は取引の土俵から一歩後退してしまう可能性すらあります。
 e-Japan情報にアンテナを立てて、自社の利益になるよう利用したいものです。

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岡嶋 裕史 (おかじま ゆうし)
中央大学大学院総合政策研究科博士後期課程修了。博士(総合政策)。 富士総合研究所勤務を経て、関東学院大学専任講師。 Webサービス・イニシアティブ技術部会副部会長。