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インターネット法制度を知る!未成年者による意思表示って?

2007年08月13日

前回のおさらい

 前回は、経済産業省が定める「電子商取引等に関する準則」(以下、「準則」という。)に規定の「なりすましによる意思表示のなりすまされた本人への効果帰属って?」についてリポートした。 なりすまされた本人への効果帰属に関し、なりすまされた本人と売主との間の契約と決済機関によるなりすまされた本人への代金の支払請求の二点があるが、前者については単発での取引と継続としての取引という取引形態に効果帰属の扱いが依存するとし、後者についてはなりすまれた本人の責任の有無に依存するとしている。さて今回は、電子商取引を行う際に消費者からよく聞かれる「未成年者による意思表示」についてリポートしたい。

未成年者による意思表示は取消可能?

 売主と買主が直面しない電子商取引において懸案となる課題が未成年の問題である。この問題について準則では「電子契約の一方当事者が未成年の場合、その未成年者は原則として意思表示を取り消して契約の効力を否定することができる(民法第4条)が、年齢確認画面への対応によっては、民法第21条の「詐術」の適用により、取り消すことができない場合があるのではないか。」(出典、電子商取引及び情報財取引等に関する準則。以下同じ)として論点を設定している。つまり未成年者は行為能力に欠けることから「契約の効力を否定することができる」が年齢確認画面を設ければ仮に18歳であるにもかかわらず22歳と偽っても「詐術」の適用により、取り消すことが可能ではないかという論点だ。

 この論点に対し、準則では「事業者が電子商取引の際に画面上で年齢確認のための措置をとっているときに、未成年者が故意に虚偽の年齢を通知し、その結果、事業者が相手方を成年者と誤って判断した場合、民法第21条により、当該未成年者は取消権を失う可能性がある」として、原則、年齢確認画面に対する年齢詐称(未成年であることを隠す)行為は取消権を失う=代金の支払い義務があることになる。

 但し「詐術」の扱いだが、準則では「詐術を用いたと認められるか否かは、単に未成年者が成年である旨回答したことだけをもって判断されるものではなく、事業者が故意にかかる回答を誘導したのではないかなど、最終的には取引の内容、商品の性質や事業者の設定する画面構成等個別の事情を考慮して、判断されるものと解される」としている。つまり扱い商品やサービス、画面構成などから「判断されるものと解される」ということなので詐術があったから=取消権が失われるわけでもない。

ではどうするか?

 電子商取引は非対面取引という当初の前提にもどるが、電子商取引は非対面取引であっても未成年者の法律行為は民法の適用を受けることになる。従って仮に17歳の女子高生があなたのサイトから高価なブランド品を購入されたとしても法律的には本人又は親などが取消しを主張されれば取消し可能で、購入されたブランド品が返品されれば代金は全額返さないといけないことになる(なお多少傷があったとしても現存利益の範囲内でよいとされる)が、「事業者が電子商取引の際に画面上で年齢確認のための措置をとって」いれば「当該未成年者は取消権を失う可能性がある」というのが現状である。

 従って準則でも「いずれにせよ相手方が未成年者であることによる取消の可能性を完全に排除することは困難なため、取引金額と本人確認に要するコスト負担のバランスを考慮して、取引当事者は、合理的な相手方の確認を行うこととなろう」と総括していることからもわかるように高額品は代金の支払いがあっても商品送付前に完璧でないにしろ電話で事前確認するなどリスクヘッジする必要があるだろう。

■ご参考(関係法令)
民法第四条(成年)
年齢二十歳をもって、成年とする。

民法第五条(未成年者の法律行為)
未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。

民法第百二十一条(取消しの効果)
取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。

民法百二十二条(取り消すことができる行為の追認)
取り消すことができる行為は、第百二十条に規定する者が追認したときは、以後、取り消すことができない。ただし、追認によって第三者の権利を害することはできない。
まとめ
 本件はあくまで取消しなので代金も返すが、商品も返品されるケースである。但し、たいていの商品は一度、開封や使用されたりすれば商品価値は半減するのが常だ。年齢確認画面をいかに完璧に作成しても裁判所から推奨例が例示されているわけでもなく完全には取消しの可能性を排除できるものではない。
 ついては、商品購入のお礼等をかねて電話にて年齢を確認するか若しくは返品されても支障のない範囲でのビジネスを行うかは皆様のご判断だが、この問題は紙カタログによる通販やテレビショッピングでも条件は同じでもある。なお本人性確認のあるクレジットカードでの支払いならカード保有=成年とみなすことも可能だが、未成年(特に学生)でも親の保証のもとで発行されるクレジットカードもあるので注意を要したい。
■参考、引用文献
新六法(三省堂)
電子商取引及び情報財取引等に関する準則
■参考、引用URL
経済産業省
http://www.meti.go.jp/
■お断り
本リポートは、ITビジネス起業者等へ法制度面のアドバイスをさせていただくことを趣旨としております。つきましては、内容の公正性を期するために公的機関等を除き、企業名、個人名等は原則として割愛しております。
なお本リポートの内容については、お客さまご自身その内容を判断するものとし、上田英雅又は本リポート掲載先サイトの管理者であるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社はいかなる保証も行わず、いかなる責任も負担いたしません。
上田 英雅(うえだ ひでまさ)
ECリーガルアドバイザー
所属:NTTコミュニケーションズ(株) 経営企画部
専門:EC(電子商取引)、EC法制度
所属:情報ネットワーク法学会
出身:京都府