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インターネット法制度を知る!ウェブサイトの利用規約の有効性!

2007年04月09日

前回のおさらい

 前回は、「電子商取引、契約の成立時期!」についてリポートした。「電子商取引、契約の成立時期!」は、店頭では高額の売買でもない限り問題になることはまずないが、姿の見えない電子商取引では実は重要なポイントとなるものだということをご理解いただいたと思う。さて今回もご好評にお応えして「電子商取引等に関する準則」(以下「準則」という)においてとりあげている「ウェブサイトの利用規約の有効性」についてリポートしたい。

そもそも何故、「ウェブサイトの利用規約の有効性」?

 そもそも何故「ウェブサイトの利用規約の有効性」について論じるかということであるが、端的にいえば、売買には大切なお金と物を交換する以上、守るべきルールが必要だからだ。例をあげるとメロンを1個2000円で売りたいという人がおり、同時にその金額なら買いたいという人がいればその場で売買は成立し、あとは売主、買主がメロンと代金を交換するのみである。しかし、仮に「食べ頃の甘さ(糖度)に達するまで3日必要」とか「支払いは現金のみでクレジットカードは不可」などの条件があればどうであろうか?これについて対面販売ならそうした条件をその場で相手に伝えればそれで終了である。

 しかし、非対面のネット通販の場合は当然ながらそれは不可能。従ってネット通販の場合は、条件等も含めて取引に関する「ルール」を明示する必要があり、それが「約款」や「利用規約」というものになる。もちろんこうした「約款」や「利用規約」は何か新しいというものではなく、ホテルの宿泊、電車、飛行機、船舶などの交通機関、遊園地や博物館など不特定多数の人が利用する施設や機関では「ルール」(=利用規約)を記載した冊子等を窓口等に掲示することで同意をいただくものとしている。

 しかし、リアルの世界では「ルール」(=利用規約)の伝達は大きな問題はないが、非対面のネット通販ではこれが大きなことになる。またウェブサイトでは利用規約の変更が非常に容易という特性もある。そしてそうした中でのウェブサイトが商品(又は役務)の購入という「契約行為」の根拠となっていく。

ウェブサイト利用規約の法的拘束力・・・・・・?

 さて準則が「ウェブサイトの利用規約の有効性」に着目していることは既に申し上げたが、その規定の「論点」において「インターネット通販、インターネット・オークション、インターネット上での取引仲介・情報提供サービスなど様々なインターネット取引を行うウェブサイトには、利用規約、利用条件、利用契約等の取引条件を記載した文書(以下総称して「サイト利用規約」という)が掲載されていることが一般的であるが、サイト利用規約は利用者に対して法的な拘束力を持つのか。」としている。

 つまり、サイトに利用規約が掲載されているということで法的拘束力をもつかという点だが、これに対し準則「考え方」では、「サイト利用規約が契約条件に組み込まれると認められる場合」として「ウェブサイトで取引を行う際に必ずサイト利用規約が明瞭に表示され、かつ取引実行の条件としてサイト利用規約への同意クリックが必要とされている場合」をあげている。つまり同意ボタンにクリックすればそれは利用規約を読み、理解したということは別として本人が「同意」したとして当該利用規約の法的拘束力はあるとされる。これに対し、「サイト利用規約が契約条件に組み込まれるか否かに疑問が残る場合」として、「ウェブサイト中の利用者が必ず気が付くであろう場所にサイト利用規約が掲載されている(例えば取引の申込み画面にサイト利用規約へのリンクが目立つ形で張られているなど)が、サイト利用規約への同意クリックまでは要求されていない場合」、また「サイト利用規約が契約条件に組み込まれないであろう場合」として、「ウェブサイト中の目立たない場所にサイト利用規約が掲載されているだけで、ウェブサイトの利用につきサイト利用規約への同意クリックも要求されていない場合」は、法的拘束力はない又は疑問が残るとされる。従ってサイト利用規約へ法的拘束力を持たせたい場合は「サイト利用規約が明瞭に表示され、かつ取引実行の条件としてサイト利用規約への同意クリックが必要」としなければならないということになる。

 またもうひとつ重要なことは、法的拘束力はクリックを前提とする以上、サイト利用規約を変更すればそれは再度にクリックが必要ということだ。商品売買は大抵取引毎に完結が多いと思われるので実質は余り関係ないと思うが、継続的な取引では注意が必要だ。(逆にいえば取引後に自己に有利なサイト利用規約へ差し替えてもクリックがなければ法的拘束力がない。また単発と継続的取引は、実質的には区分しにくいことからサイトの構成としては取引毎にサイト利用規約への同意クリックをいただくものになるだろう)。

同意クリックがあれば法的拘束力・・・・・?

 前項では、サイト利用規約への法的拘束力についてはクリックの有無が大きいということを申し上げた。しかし、クリックさえあればサイト利用規約が全て有効かというと当然そうではない。具体的には準則は以下のものについては、法的拘束力はないとしている。
有効性が問われるサイト利用規約の例、「長文難読なサイト利用規約の有効性」
 準則では、「消費者契約法第3条第1項は、事業者に対して消費者との契約が『明確かつ平易なもの』となるように配慮する努力義務を課している」として長文かつ難解なサイト利用規約は、「『長文難解な表現によって隠蔽された』不利益条項の効力は否定される可能性がある」としている。取引内容が複雑でどうしてもサイト利用規約が複雑になるのはやむをえないかもしれないが、利用者からみて「長文難読」と判断されれば消費者契約法第3条第1項に抵触する可能性があるのでわかりやすいサイト利用規約に努めたい。
有効性が問われるサイト利用規約の例、「事業者の責任を制限する条項に対する規制」
 準則では、「消費者契約法第8条は、事業者の消費者に対する債務不履行責任、不法行為責任、瑕疵担保責任等の損害賠償責任を全面的に免責する条項を無効としている」として事業者が自らの債務不履行責任等を負わないと定めても無効となることを定めている。
有効性が問われるサイト利用規約の例、「消費者に対する過大な損害賠償額の予定の無効」
 準則では、「消費者契約法第9条第1項は、消費者との契約につき、契約解除(キャンセル)に対して『同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える』キャンセル料を規定したとしても、当該平均的な損害額を超える部分についての約定は無効であると規定している」として不当なキャンセル料を定めても無効となることを定めている。
有効性が問われるサイト利用規約の例、「その他消費者の利益を一方的に害する条項の無効」
 準則では、「消費者契約法第10条は、民法、商法その他の任意法規( 契約により適用を排除できる法規) に比して、消費者の権利を制限し又は義務を加重する条項であって、消費者の利益を一方的に害するものは無効とする旨を定めている」として、項目は多々想定されるが消費者に不利益な条項は無効となることを定めている。
まとめ
 いわゆるウェブサイト利用規約だが、クリックに基づき消費者より同意を得ること、またその規定内容は消費者契約法の各規定に基づき消費者に不利益な項目は無効となる可能性があるという準則の規定を申し上げた。いわゆるワンクリック詐欺も悪質な行為の根拠は利用規約としているが、同意していないこと、規定内容に消費者に著しく不利益がないことももとに対抗することが必要だろう。消費者も事業者が悪意を持たないことが買い物の前提とすれば、ウェブサイト利用規約の作成、変更には是非こうした規定もご留意いただきたい。
■参考、引用文献
新六法(三省堂)
電子商取引等に関する準則
■参考、引用URL
経済産業省
http://www.meti.go.jp/
■お断り
本リポートは、ITビジネス起業者等へ法制度面のアドバイスをさせていただくことを趣旨としております。つきましては、内容の公正性を期するために公的機関等を除き、企業名、個人名等は原則として割愛しております。
なお本リポートの内容については、お客さまご自身その内容を判断するものとし、上田英雅又は本リポート掲載先サイトの管理者であるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社はいかなる保証も行わず、いかなる責任も負担いたしません。
上田 英雅(うえだ ひでまさ)
ECリーガルアドバイザー
所属:NTTコミュニケーションズ(株) 経営企画部
専門:EC(電子商取引)、EC法制度
所属:情報ネットワーク法学会
出身:京都府