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インターネット法制度を知る!消費者団体訴訟制度の創設

2006年10月16日

前回のおさらい

 前回は、「事業資金を確保する!」についてリポートした。昨今(平成18年秋)の景気は上昇曲面にあるが、起業するにも安定成長するにも資金の問題はつきまとう。ネットビジネスは土地や設備など担保となるものが少ない業種だけに常にご苦労されていると思う。さて今回は消費者団体訴訟制度についてリポートしたい。

なぜいま消費者団体訴訟制度

 いつの時代もそうだが、消費者と事業者では情報量、交渉力の違いなどで消費者が割をくうことが多い。そんな背景から消費者契約法第一条(目的)に「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的」に平成十三年に消費者保護法が施行。結果、不当な消費者契約の取消しや契約条項又は勧誘方法などを無効とすることが可能となった。しかし、正確な統計がないので何ともいえないが被害金額が多くない、訴訟に訴えるには金銭面や裁判を続ける稼動などの面で泣き寝入りやわずかな解決金などで結了となるケースも多いのも事実。その一方で同種の被害者は数多く発生していたことは容易に想定できる。そうしたことから先の第164回通常国会において消費者保護法の一部改正ということで消費者団体訴訟制度が創設、平成18年6月7日公布された。

消費者団体訴訟制度って何?

 消費者団体訴訟制度とは読んで字のごとく消費者が団体で訴訟できる制度である。余りご存知ない方もおられるかもしれないがこれまでの法制度では訴訟を起こせるのは具体的に被害を被った方に限られていた。故に被害を被っても訴訟に足る被害金額や訴訟を続けていける稼動(何度も裁判所に行く、弁護士を雇用するなど訴訟費用を負担することができる)があることが前提であった。
 しかし、消費者団体訴訟制度では国より認定を受けた「適格消費者団体」と呼ばれる団体が行うことになる。そしてこの適格消費者団体に認められた消費者団体訴訟制度だが、最大の強みは差し止め請求権である。適格消費者団体は、不当な契約条項や勧誘方法について差し止め請求を裁判所に請求。勝訴しても損害賠償などは得られないが更なる被害の防止には有効となる。因みに差し止めとは、今回消費者契約法に新設された条項第十二条(差し止め請求)だが、「適格消費者団体は、事業者、受託者等又は事業者の代理人若しくは受託者等の代理人(中略)が、消費者契約の締結について勧誘をするに際し、不特定かつ多数の消費者に対して第四条第一項から第三項までに規定する行為(中略)を現に行い又は行うおそれがあるときは、その事業者等に対し、当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置をとることを請求することができる。(後略)」ということから、端的には「当該行為の停止若しくは予防又は当該行為に供した物の廃棄若しくは除去その他の当該行為の停止若しくは予防に必要な措置」という何らかの中止命令ということになる。これをネットビジネスにおきかえれば、例えばインターネットを利用したネットビジネスにおいて粗悪品を販売しておきながら返金や返品に一切応じない、サービス解約には多額の解約金を請求するなどのケースに対し、規約や約款の停止などが想定される。もちろん本リポートをお読みの読者にはこうした方はおられないと思うが、規約や約款の作成にかぎらずビジネス運営には消費者保護の視点を十分に考慮しなければならないということになる。
まとめ
 今回新しく創設された消費者団体訴訟制度だが、訴訟は企業の本店などの他に営業所又は消費者契約法に規定する不当な行為があった地などでも訴訟できるようになる。故に規約や約款で「訴訟は(その企業本社が所在する)東京地方裁判所とする」などと規定していてもそうならないケースがあるだろう。ただ損害賠償請求や適格消費者団体の公的補助は見送られた。本制度は本件に関する各種議論をみてもまず念頭にあるのは強引な訪問販売や海外旅行があたるなど特典をえさに事業所に呼びつけては不要不急商品を高額で売りつけるアポイント商法、現状の回復を根拠に敷金礼金を返さない悪質不動産などリアルの悪質商法が念頭においているとみられるが、ネットビジネスが例外というものでもない。今回の法改正を機に消費者保護のあり方についても再度にご検討いただければと思う。最後に本制度の施行は来年の平成19年6月7日の予定であるので、じっくりと業務の見直しをされることをおすすめする。
■参考、引用文献
新六法(三省堂)
■参考、引用URL
内閣府
http://www.cao.go.jp/houan/164/index.html
■お断り
本リポートは、ITビジネス起業者等へ法制度面のアドバイスをさせていただくことを趣旨としております。つきましては、内容の公正性を期するために公的機関等を除き、企業名、個人名等は原則として割愛しております。
なお本リポートの内容については、お客さまご自身その内容を判断するものとし、上田英雅又は本リポート掲載先サイトの管理者であるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社はいかなる保証も行わず、いかなる責任も負担いたしません。
上田 英雅(うえだ ひでまさ)
ECリーガルアドバイザー
所属:NTTコミュニケーションズ(株) 経営企画部
専門:EC(電子商取引)、EC法制度
所属:情報ネットワーク法学会
出身:京都府