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インターネット法制度を知る!電子商取引サイト、表示義務の件

2006年08月14日

前回のおさらい

 前回は、「インターネット・ホットラインセンター始動!」についてリポートした。猥褻、残虐、薬物、自殺、殺人請負サイト等、インターネットに氾濫する違法、有害サイトについて平成18年度の警察白書も問題視。対策のひとつとしてホットラインセンターを取り上げられていることもあり、安心安全なインターネット社会の実現へ向けて活用される機会も多いだろう。
 さて今回は、電子商取引を行う場合、サイトには必ず記載しなければなれない表示事項についてリポートしたい。

電子商取引ビジネスにも法律?

 インターネット上に開設したサイトにおいて商品や役務を販売する電子商取引。インターネットや情報通信技術をビジネスに活かそうとご検討の方なら一度は電子商取引をご検討されたことがあると思う。今更であるが電子商取引の代名詞でもある某大手モールはいまからちょうど十年前の一九九七年に創業、当初のごくわずかな出店数から瞬く間に一万店を超える大モールに成長し、いまではプロ野球球団やサッカー球団まで保有するなど大きく成長したものである。
 ところでこの電子商取引にも必ず守らなければならない法律があるのをご存知だろうか?その法律とはずばり「特定商取引に関する法律」(通称、特商法)である。この法律はその第一条(目的)に「この法律は、特定商取引(訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売に係る取引、連鎖販売取引、特定継続的役務提供に係る取引並びに業務提供誘引販売取引をいう。以下同じ。)を公正にし、及び購入者等が受けることのある損害の防止を図ることにより、購入者等の利益を保護し、あわせて商品等の流通及び役務の提供を適正かつ円滑にし、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と定めることからもわかるように、「訪問販売」、「通信販売」、「電話勧誘販売」、「連鎖販売取引」(いわゆるマルチ商法)、「特定継続的役務提供に係る取引」(エステ・語学教室・家庭教師・学習塾)、「業務提供誘引販売取引」(いわゆる内職・モニター商法)について、消費者の保護、商品又は役務の適正流通、提供の観点から必要な規則を定めるというものである。因みに電子商取引は特商法では、「通信販売」のひとつとして位置付けられる。その意味では時代の最先端の電子商取引も法令のうえでは新聞や雑誌に掲載の広告をみて葉書で注文するメールオーダー(ここでのメールは文字通り郵便)やカタログやテレビのショッピング番組を見て電話やファクスで注文するカタログショッピングやテレビショッピングと変わりはないといえる。なおこの特商法は、旧来の「訪問販売等に関する法律」(通称、訪販法)(昭和五十一年六月制定)が平成十三年六月に改正されたもので、訪販法と申した方が馴染みあるかもしれないが、訪問販売や通信販売以外の新しいビジネスに対しても消費者保護を課しているなど大きく変更されていることに留意いただきたい。

特商法が定める表示義務とは?

 さてこの特商法だが、電子商取引ビジネスを行う上で遵守しなければならないのがサイトへの表示(義務)である。具体的には特商法第十一条(通信販売についての広告)にて「販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の指定商品若しくは指定権利の販売条件又は指定役務の提供条件について広告をするときは、経済産業省令で定めるところにより、当該広告に、当該商品若しくは当該権利又は当該役務に関する次の事項を表示なければならない。(以下、略)」及び同法施行規則第8条は、以下の事項についてサイトに表示を行うよう定めている。
(1) 商品の価格(送料が必要な場合は送料も)
(2) 支払い時期および方法(先払い、後払い)(郵便振替、口座振込、クレジットカード、電子決済、代金引換など)
(3) 商品の引渡し時期(注文確認後○日以内など)
(4) 商品引き渡し後の返品の特約(返品できない場合は、その旨)と条件(返品条件など)
(5) 氏名または名称、住所、電話番号(連絡先)
(6) 代表者氏名または通信販売業務の責任者氏名(事業者が法人の場合)
(7) 申し込みの有効期限(商品が旬の○月頃までなど期限がある場合)
(8) 商品の送料、またそれ以外の付帯的費用(手数料、包装費等の別途費用がある場合)
(9) 商品に隠れた瑕疵がある場合の事業者の責任について(規定がある場合のみ)
(10) 商品の販売数量 の制限や、権利・役務の販売・提供条件(規定がある場合のみ)
(11) 広告の表示事項の一部を表示しない場合(消費者からの請求により、広告の表示事項を記載した書面および電磁的記録を遅滞なく提供する旨を表示する場合)に、消費者がそれらを記載した書面を請求した場合、その金額(消費者に負担を求める場合のみ)
 なおこうした表示事項はサイトにどのように表示するかまでは特段に定めていないことから表示方法はサイト作成者の裁量であるが、できれば消費者保護の観点から特商法に基づく表示事項としてトップページのわかりやすい個所にまとめて記載しておくのが望ましいだろう。

特商法で他に留意することは?

 特商法第11条(通信販売についての広告)等以外で他に留意しなければならないのは誇大広告の禁止だ。特商法第12条(誇大広告等の禁止)として「販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の指定商品若しくは指定権利の販売条件又は指定役務の提供条件について広告をするときは、当該商品の性能又は当該権利若しくは当該役務の内容、当該商品の引渡し又は当該権利の移転後におけるその引取り又はその返還についての特約その他の経済産業省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。」として誇大広告を禁止している。私も売主としては売り物をよく見せたいという気持ちはよくわかるが、あくまで事実の範囲でセールストークを考えていただきたい。
まとめ
 電子商取引が開始されて十年あまり。当初は実験、そしてその後のネットバブル崩壊前は電子商取引もよくわからぬままに一気に走り始めた。しかし、当時はイメージ先行でそれなりの知名度や十分なノウハウがなければ成功はおぼつかなかったのが現状だ。また電子商取引に不可欠の重い画像カタログをストレス無く見せることのできるブロードバンド環境や消費者の情報通信に関するリテラシーが決定的に不足していた。しかし、昨今のインターネット環境の充実は電子商取引がようやく地についたものとしてビジネスのツールとして育つ環境ができてきたといえる。とりわけ検索連動広告等の普及と真に自分に必要なものを厳選して消費しようとする消費者志向の中、ニッチ商品の多品種少量販売によって大きな売り上げを得るロングテール理論に代表されるWeb2.0の時代の今、電子商取引について再度にご検討されるのもいいかもしれない。なおご参考までに上記の記載事項に違反した場合、当該法令を主管する経済産業省より業務停止命令も含む罰則が科される場合もあるので注意したい。
 最後に今回の表示義務もそうだが、電子商取引に関係する法令の解釈又は具体的な説明については平成14年より経済産業省が電子商取引等に関する準則として取りまとめている。技術やビジネスの進展に併せて毎年更新されており、必要に応じご参照されることをおすすめする。(下記参考欄URLをご参照)
■参考、引用文献
新六法(三省堂)
■参考、引用URL
経済産業省 電子商取引等に関する準則
http://www.meti.go.jp/press/20060201002/20060201002.html
■お断り
本リポートは、ITビジネス起業者等へ法制度面のアドバイスをさせていただくことを趣旨としております。つきましては、内容の公正性を期するために公的機関等を除き、企業名、個人名等は原則として割愛しております。
なお本リポートの内容については、お客さまご自身その内容を判断するものとし、上田英雅又は本リポート掲載先サイトの管理者であるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社はいかなる保証も行わず、いかなる責任も負担いたしません。
上田 英雅(うえだ ひでまさ)
ECリーガルアドバイザー
所属:NTTコミュニケーションズ(株) 経営企画部
専門:EC(電子商取引)、EC法制度
所属:情報ネットワーク法学会
出身:京都府