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インターネット法制度を知る!携帯電話等の不正譲渡は罰則。

2006年05月22日

前回のおさらい

 前回は、「我が社も商標(権)出願。」についてリポートした。過日に某大手ビール会社がトリノオリンピック(平成18年2月開催)のフィギュアスケート競技にて優勝したある日本人選手の特技名等を商標申請したという報道があったが、仮に却下されずに設定登録されれば、申請者は当該日本人選手と何の関係もなくとも、その特技名は申請者の知的財産となる。知名度が高い言葉ほど商標として価値が高いだけに、そうした行為の是非は別として、商標も目に見えない財産ということを再認識したい。
 さて今回は今やビジネス、プライベートでも欠かすことの出来ない携帯電話等について新しい法律が平成18年4月から(全面)施行されているのでリポートしたい。

平成18年4月19日、愛知県にて携帯電話ブローカー逮捕!

 毎日新聞(平成18年4月19日、東京版夕刊)の報道によると「愛知県警は(平成18年4月)19日、インターネット上に携帯電話の違法販売の広告を出していた東京都杉並区の販売業者の男(23)から、同法の誘引容疑で逮捕した。」(出典、毎日新聞、平成18年4月19日、東京版夕刊。なお括弧は筆者追加)という。(なおその後の毎日新聞の平成18年5月10日中部版夕刊では譲渡容疑でも再逮捕されたと報道有り)。記事によると当該容疑者は、「インターネット上に携帯電話の違法販売の広告を出し、第三者名義のプリペイドカード式の携帯電話を販売していた」という。(出典、毎日新聞、5月10日中部版夕刊)
 電波が届く範囲であれば屋内外を問わず利用できるこの携帯電話等(*PHS)。携帯電話等により、仕事の進め方やライフスタイルは大きく変化したが、しかし、オレオレ詐欺等の詐欺行為の重要な小道具になるなど携帯電話に負の側面があるのは事実。そしてその負の側面に気づいた時には、社会には不正な譲渡(譲受)や匿名でレンタルされた携帯電話等や本人性確認を要しないプリペイドカード式の携帯電話など不正な携帯電話は溢れ、犯罪も多発していた。

平成18年4月1日、携帯電話不正利用防止法(全面)施行

 毎年春になると生活が変わるものであるが、法令や制度の新設、改正もそのひとつ。そしてそうしたひとつが携帯電話不正利用防止法の(全面)施行だ。この携帯電話不正利用防止法は、正式には「携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律」(以後、携帯電話不正利用防止法)(出典 総務省サイト、http://www.soumu.go.jp/ 以下同じ)というが、昨年(平成17年4月8日)に可決、成立。平成17年5月5日より一部施行されていたものであるが、本年(平成18年4月1日)より(全面)施行されたものである。
 さてこの携帯電話不正利用防止法が定めていることであるが、その大きな柱は、総務省によると(1)「携帯音声通信事業者(携帯電話事業者及びPHS事業者)に対し、携帯電話等(携帯電話及びPHS)の契約締結時及び譲渡時に、契約者の本人確認を義務付けること」、(2)「契約者が、本人確認の際に虚偽の氏名等を申告することを処罰の対象とすること」。(3)「携帯音声通信事業者に無断で、業として有償で通話可能な携帯電話等を譲渡することを処罰の対象とすること」、(4)「自己が契約者となっていない通話可能な携帯電話等を譲り渡し又は譲り受けることを処罰の対象とすること」、(5)「相手方の氏名等を確認せずに、業として有償で通話可能な携帯電話等を貸与することを処罰の対象とすること」、(6)「通話可能な携帯電話等が一定の犯罪に利用された場合等において、警察署長からの求めを受けて、携帯音声通信事業者が契約者の確認を行うことができること」(出典 総務省サイト)の6点である。即ち、携帯電話等は、本人性確認が義務付けられ、匿名での譲渡や貸与が禁止。併せて犯罪利用の場合は携帯電話等事業者を通じて契約者の確認が可能になったということである。因みに先の冒頭で逮捕された名古屋の携帯電話ブローカーも不正な携帯電話の誘引や譲渡が当該法令に該当していたと考えられる。なおご参考までに昨年(平成17年5月5日)より一部施行されていたのは、上記の(5)、(6)の一部である。

携帯電話不正利用防止法(全面)施行と罰則

 さて以上が携帯電話不正利用防止法の概要であるが、最も重要なのが罰則だ。同法では、第一に携帯電話等の契約時に虚偽の申告は、「五十万円以下の罰金」(同法十九条)と定めている。第二に自己名義の携帯電話等の無断譲渡(正確には携帯電話事業者の承諾のない業としての有償譲渡)は、「二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」(同法第二十条)、また勧誘、広告行為は「五十万円以下の罰金」(同法第二十三条)。第三に他人名義の携帯電話等の譲渡又は譲り受けは、「二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」(同法第二十一条)、また勧誘、広告行為は「五十万円以下の罰金」(同法第二十三条)。第四に携帯電話等のレンタル業における匿名貸与営業禁止違反は、「二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」(同法第十条、第二十二条)、また勧誘、広告行為は「五十万円以下の罰金」(同法第二十三条)(注 第四は平成17年5月5日から施行済。なお携帯電話等の事業者、代理店への罰則は割愛した。)と定められ、こうした犯罪の抑止となるだろう。
まとめ
 今回のテーマは、本リポートのテーマであるインターネット法制度とはやや趣が異なるが、本人性が担保されていない(しかも当然に利用場所も)携帯電話等と匿名が特徴のインターネットの組み合わせによる負の側面を憂慮してリポートすることした。
 なお今回の携帯電話不正利用防止法の目的は、携帯電話等が犯罪を誘発しないよう本人性確認を徹底することであることから本リポートをご購読の皆様には特段にご関係ないといえる。ただ業務用として社員等に携帯電話等を貸与されている場合、仮に当該携帯電話等が警察から犯罪利用されている等の通知があれば携帯電話事業者を通じ、契約者の確認及びサービスの停止等の措置が同法により可能となっている(同法第八条、九条)ことは留意されたい。故に少なくとも業務用携帯電話等の定期的な所在確認などは注意が必要だろう。
■参考、引用文献
新六法(三省堂)
毎日新聞(平成18年4月19日、東京版夕刊、平成18年5月10日、中部版夕刊)
■参考、引用URL
総務省
http://www.soumu.go.jp/
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上田 英雅(うえだ ひでまさ)
ECリーガルアドバイザー
所属:NTTコミュニケーションズ(株) 経営企画部
専門:EC(電子商取引)、EC法制度
所属:情報ネットワーク法学会
出身:京都府