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インターネット法制度を知る!我が社も特許出願。

2006年03月06日

前回のおさらい

 前回は、「2006年秋、日本司法支援センター(愛称「法テラス」)稼動へ!」についてリポートした。「日本司法支援センター(愛称「法テラス」)」とは、総合的な法律の相談やサポートセンターということなのでオープンの際には一度ご利用されてみられるのはいかがだろうか。さて今回は、知的財産の代表的存在である特許についてその概要をリポートする。

特許(制度)って?

 多くの方がご存知の法律用語に「特許」という言葉がある。特許庁(サイト)では「米国旧特許庁の玄関には、元大統領リンカーンの「特許制度は、天才の火に利益という油を注いだ」(The patent system added the fuel of interest to the fire of genius)が刻まれています。」(出典、特許庁サイト、http://www.jpo.go.jp/)と特許のことを表しているが、特許(制度)とは、「発明の保護及び利用を図ることにより、発明を奨励し、もって産業の発達に寄与することを目的」(特許法第一条、目的)に「産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。」(特許法第二十九条、特許の要件)という制度である。つまり産業発展の為に発明が推奨されるということであり、その成果を保護するための制度が特許(制度)といえる。なお制度趣旨について特許庁(サイト)では、「発明や考案は、目に見えない思想、アイデアなので、家や車のような有体物のように、目に見える形でだれかがそれを占有し、支配できるというものではありません。したがって、制度により適切に保護がなされなければ、発明者は、自分の発明を他人に盗まれないように、秘密にしておこうとするでしょう。しかしそれでは、発明者自身もそれを有効に利用することができないばかりでなく、他の人が同じものを発明しようとして無駄な研究、投資をすることとなってしまいます。そこで、特許制度は、こういったことが起こらぬよう、発明者には一定期間、一定の条件のもとに特許権という独占的な権利を与えて発明の保護を図る一方、その発明を公開して利用を図ることにより新しい技術を人類共通の財産としていくことを定めて、これにより技術の進歩を促進し、産業の発達に寄与しようというものです。」(出典、特許庁サイト、http://www.jpo.go.jp/)として、「目に見えない思想、アイデア」を適切に保護することによって「技術の進歩を促進し、産業の発達に寄与」の為の制度が特許制度の趣旨としている。

特許を知る!

 百聞は一見にしかずという言葉があるが、もし特許出願やその戦略をお考えならばまずはどういった特許があるが実物を閲覧されることをお勧めする。実物をご覧になることによってどういった特許が取得されているか、また自社(又は個人)でもその発明が特許出願できる内容か一目瞭然だからである。(なお当然ながら既に特許取得されているものは新たに出願することはできない)
 さてそれでは具体的に特許を閲覧するにはどうすればよいかであるが、独立行政法人 工業所有権情報・研修館(東京都千代田区霞が関の特許庁2階又は札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、高松、福岡、那覇)というところが特許を閲覧するための公報閲覧室を開設しているので是非利用したい。この公報閲覧室に赴けば紙又は電子媒体の閲覧又は専用端末経由で特許を閲覧することができる。ただ膨大な量であるうえに検索には専門知識も要求されることから、はじめての場合は難しいものがあるが、しかし〃工業所有権情報・研修館が提供する「IPDL特許電子図書館」(http://www2.ipdl.ncipi.go.jp/BE0/)の方はキーワード等だけでそのワードを含む特許を簡単に検索できるのでとても簡単。例えば「アフィリエイト」というキーワードを投入してみると、キーワードを含む特許一覧が表示され、出願番号、出願日、公開番号、公開日、出願人、発明者、発明の名称、要約などを自由に閲覧することができる。ためしにその中のひとつにある個人が出願した「検索エンジン最適化を考慮したインターネット広告」と題された特許をみると、「本発明(検索エンジン最適化を考慮したインターネット広告)注 は、アフィリエイト型インターネット広告において、検索エンジンが認識しやすいリンクを使うことで、広告主ウェブサイトに対して検索エンジンでの上位表示の付加価値を加えながらも、従来通りに必要な解析機能を組み込んだ方式を提供することを課題とする。」という課題に対し、「解決手段」として「図2に示したように、広告を掲載するウェブサイト1bでは、広告主ウェブサイト3bへのリンクと、解析用サーバー2bへの解析コードを別に記述することで、検索エンジンが確実にリンクを認識出来るようにする。ウェブサイト訪問者4bが受け取ったクッキーを広告主ウェブサイト3bへ渡すことで、クリック数やどこのウェブサイトから訪問されたか等の情報が取得できるので、結果的に従来法の機能を失うことなく、検索エンジン上位表示の付加価値を提供する。」(出典、独立行政法人工業所有権情報・研修館サイト、http://www2.ipdl.ncipi.go.jp/BE0/)(注、( )個所は筆者加筆。なお数字などは特許出願文書に附随する図に記載のもの。但しここでは割愛)と説明している。こうしたことから「検索エンジン最適化を考慮したインターネット広告」という課題に対し、上記のような解決法が特許として出願(成立)されており、同じ解決法では出願しても特許取得には至らないこと、当該特許を特許取得者の承諾なく利用した場合は特許侵害にあたる可能性があることがわかる。

特許を出願する!

 ここまでお読みいただければ特許(制度)の概要はご理解いただけたと思うが、もしお手許に何か特許出願にふさわしい発明があれば今すぐ出願されることを強くお勧めする。なぜなら著作権は出願の必要はないが、特許(権)は出願しなければ絶対に取得できないからだ。併せて日本は先願主義を採用しており同じ発明であれば先に出願されたものが有効となるからだ。
 さて具体的な出願方法だが、まずは類似の特許がないか調査(自ら行うことも可能だが、専門的知識も必要なことから通常は特許事務所等に委託することが一般的。前項の検索エンジンは単にキーワードを含む特許を検索できるだけでありかつ全ての特許がデータベース化されているわけではないのであくまで参考程度。)した上で、「特許願」、権利を取りたい技術内容を詳しく記載した「明細書」、「特許請求の範囲」、「図面」(必要に応じて)、「要約書」を作成、印紙を貼った上で特許庁に出願(提出)する。次に特許庁では出願された書類についてまず所定の書式通りかという「方式審査」が行われる。そして支障がなければ出願された日から1年6ヶ月経過後に発明の内容が公開される「出願公開」となり、その上で審査を希望する場合は、その後に審査請求料を支払い、出願審査請求を行うと、ようやく審査(「実態審査」)となる。審査のポイントは、特許庁によると「(1)自然法則を利用した技術思想か、(2)産業上利用できるか、(3)出願前にその技術思想はなかったか、(4)いわゆる当業者(その技術分野のことを理解している人)が容易に発明をすることができたものでないか、(5)他人よりも早く出願したか、(6)公序良俗に違反していないか、(7)明細書の記載は規程どおりか」(出典、特許庁サイト、http://www.jpo.go.jp/)ということになるので出願前によくその内容を吟味したい。(因みに公知のものは対象外となる。故に特許申請の前にその発明を報道発表やサイト掲載など行えばその時点でアウトであるので要注意)。
 以上の結果、審査に合格すれば所定の特許料を納付し、設定登録、めでたく特許公報発行(特許成立)となる。ただ残念ながら拒絶理由により特許と認められない場合はその時点で特許不成立となるが、あくまで特許成立を争う場合は、拒絶査定不服審判請求(審理)→知的財産高等裁判所→最高裁判所へとエスカレートすることになる。
まとめ
 かくいう私も電子契約サービスの開発に関与し特許出願する機会に恵まれたが、課題に対する解決方法が発明としていかに価値があるかということを訴求することにはかなり苦労した思い出がある。特許出願にはそれなりの費用、稼動も伴うだけに自らの商品・サービス戦略、他からの権利擁護など総合的に勘案したうえで特許出願するかどうかを決定することが重要だ。またビジネスの観点で言えばライセンス料を負担しても費用や開発期間の関係で他の特許を利用(ライセンス供与)することも選択肢に入るかもしれない。いずれにせよ政府も知的財産保護に力を入れている昨今、開発戦略、重点出願領域、他(社)からの防衛出願、従業員への報酬など特許戦略について一度ご検討されるのもよいかもしれない。
■参考、引用文献
新六法(三省堂)
■参考、引用URL
特許庁サイト
http://www.jpo.go.jp/
独立行政法人工業所有権情報・研修館サイト
http://www.ncipi.go.jp/appli/howto/patent/index.html
■お断り
 本リポートは、ITビジネス起業者等へ法制度面のアドバイスをさせていただくことを趣旨としております。つきましては、内容の公正性を期するために公的機関等を除き、企業名、個人名等は原則として割愛しております。
なお本リポートの内容については、お客さまご自身その内容を判断するものとし、上田英雅又は本リポート掲載先サイトの管理者であるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社はいかなる保証も行わず、いかなる責任も負担いたしません。
上田 英雅(うえだ ひでまさ)
ECリーガルアドバイザー
所属:NTTコミュニケーションズ(株) 経営企画部
専門:EC(電子商取引)、EC法制度
所属:情報ネットワーク法学会
出身:京都府