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インターネット法制度を知る!有限責任事業組合(LLP)、登場!

2006年02月06日

前回のおさらい

 新年を迎えたと思ったのも束の間、あっという間に二月を迎え平成17年度もあと残りあとわずか。やり残されたことがあれば今のうちにすまされたい。ところで前回だが、「平成18年春、新会社法施行へ!」についてリポートした。新会社法施行まであと半年をきったこともあり、起業をご検討の方は是非ご注目いただきたい。さて今回は前回のリポートの会社法改正とも関係が深い有限責任事業組合(LLP)制度についてその概要をリポートする。

有限責任事業組合(LLP)制度って?

 前回、会社法改正のリポートにて合同会社制度をご紹介した。合同会社とは、有限責任での出資のもと会社の運営は組合的規律を適用する制度とリポートしたが、この有限責任事業組合(LLP)制度も有限責任での出資のもと会社の運営は組合的規律を適用することができる。ではこの合同会社(LLC)制度と有限責任事業組合(LLP)制度とはどう違うのだろうか?なお申し遅れたが合同会社制度は、英語ではLLCと略称されるのでその意味も含めてご説明したい。
 まず有限責任事業組合(LLP)制度だが、昨年(平成17年)4月27日に「有限責任事業組合契約に関する法律」(LLP法)として成立、同年8月1日より施行されたものだ。法律制定の目的は、主管の経済産業省によると「海外では、創業を促し、企業同士のジョイント・ベンチャーや専門人材の共同事業を振興するため、LLP(Limited Liability Partership:有限責任組合)やLLC(Limited Liability Company:有限責任会社)という新たな事業体制制度が整備されており、大きな効果を上げている。」(出典 経済産業省サイト)として海外において有限責任形態の組織が有益であり、既に「大きな成果をあげている」と説いている。その上で有限責任組合(LLP)の三つの特徴として「1.有限責任制・出資者が出資額までしか責任を負わない。 2.内部自治原則・利益や権限の配分が出資金額の比率に拘束されない。・取締役会や監査役のような経営者に対する監視機関の設置が強制されない。 3.構成員課税・LLPに課税されずに、出資者に直接課税される。《有限責任組合(LLP)に法人課税が課せられた上に、出資者への利益分配にも課税されるということがない。》」(出典 経済産業省サイト)としている。つまり起業した事業が失敗してもその責任は「出資額まで」であり、逆に利益がでた場合、その分配は出資者間で報酬などを定めることができるというものである。従って利益に対する貢献(出資者の労務、知的財産、ノウハウなど)が大きければ、その分配分を大きくすることも可能である。また「取締役会や監査役のような経営者に対する監視機関の設置」も出資者間で定めることができるので運営は組合的である。更に重課税であるが、「LLPに課税されずに、出資者に直接課税される」ので、有限責任組合(LLP)への二重課税はない。従って英国では、「(英国のLLPは)KPMGなど会計事務所、デザイン事務所、ソフト会社などが活用」(出典 経済産業省サイト)されているという。また日本の例でいえば経済産業省は、想定される有限責任組合(LLP)制度の事例として「(1)高度サービス産業<ソフトウェアの専門人材集団><映画製作>、(2)中小企業連携<金型メーカーと成型加工メーカーの連携>、(3)ベンチャー<大手機械メーカーとベンチャー企業との共同開発><大手電機メーカーからのスピンオフ・ベンチャー>、(4)産学連携<ゲノム解析の応用研究を進める大学発ベンチャー>、(5)研究開発<大手電機メーカー同士の次世代技術の共同研究開発><燃料電池を使った家庭用発電装置の効率的活用>(6)物流の効率化<農家と食品加工・流通業との連携>」(出典 経済産業省サイト)などをあげている。こうした事例はいずれも特定の事業に対し異なる企業又は個人が各々の強みを持ち寄って有限責任、内部自治、構成員課税の原則のもとに行うだけに上手く運用されれば大きな市場活性化が期待されている。

有限責任事業組合(LLP)制度と合同会社(LLC)制度の違い

 ここまでご一読いただければ有限責任事業組合(LLP)制度の概要や特徴はご理解いただけたと思う。では前回リポートの合同会社(LLC)制度と有限責任事業組合(LLP)制度はどう違うかということだが、一言で言えば有限責任事業組合(LLP)制度はその名の通り「組合」であり、合同会社(LLC)制度は「株式会社」であるというところにある。即ち、両者とも組織の目的は専門家等が集まる共同事業体であり、責任は有限、内部組織は自由に設定、設立費用及び税金は併せて数万から数十万円程度と大きくはかわらない(注、有限責任事業組合(LLP)制度の場合、法人への都道府県民税、市町村民税などはなし)が、形態が「組合」と「株式会社」ということで前者はあくまで「組合」だが、後者は「株式会社」、「合名会社」、「合資会社」に変更することができる。従って有限責任事業組合(LLP)制度は、「・企業同士が出資して行う共同事業で活用(JV)、個人同士が出資して行うハイリスク・ハイリターンの共同事業で活用、・出資者の信用や個性を重視する場合に活用」(出典 経済産業省サイト)が適しているが、合同会社(LLC)制度は「・企業同士が出資して行う共同事業で活用(JV)、個人同士が出資して行うローリスク・ローリターンの共同事業で活用、・法人格を重視する場合に活用」(出典 経済産業省)が適しているといえる。
 なお、いわゆる民法組合制度と有限責任事業組合(LLP)制度について両者がどう違うかということに疑問をお持ちの方も多いかもしれない。これについて両者の違いは一言で言えばその責任が民法組合制度では「無限」、有限責任事業組合(LLP)制度ではその名の通り「有限」というところに違いがある。(そもそも有限責任事業組合(LLP)制度は民法組合制度の特例)従って、責任の範囲により両者は袂を分けることになる。但し、その前提として債権者保護の為に「・有限責任事業組合契約の登記、・財務データの開示、・債務超過時の利益の分配の禁止」(出典 経済産業省サイト)という条件が課されているのでこれには対処しなくてはならない。また共同事業性を確保するために「・業務執行への全員参加(LLPへの意思は、原則、出資者全員で行い、出資者全員が業務執行に参加する)」(出典 経済産業省サイト)しなければならないので信頼のおける企業又は個人同士で行うことが何よりも重要である。(因みに責任が無限という点では合名会社、合資会社も同じ)
まとめ
 こうした便利なところも多い有限責任事業組合(LLP)制度だが、設立も簡単。有限責任事業組合(LLP)の立ち上げには、「組合員による組合契約の作成→出資金の払い込み、現物出資の給付→組合契約登記申請→組合契約の登記完了」で完了となる。また「設立まで概ね10日間。登録免許税6万円」(出典 経済産業省サイト)ということなので極めて簡単に設立可能だ。(因みに株式会社設立の場合は設立まで概ね20日間、登録免許税は資本金の7/1000)
 ブロードバンドも普及し、インターネット全盛、かつて米国の未来学者、アルビン・トフラーが予測したように高度に情報化が発達し、誰もが専門家(プロシューマー)になれる今、例えばインターネットを通じて知り合ったアパレル、バッグ、メイク、ネイルアートの各「専門家」が集まってLLPを起業することは十分可能だ。起業をご検討の方は有限責任事業組合(LLP)制度も是非ご検討に加えていただきたい。
■参考、引用文献
新六法(三省堂)
■参考、引用URL
経済産業省
http://www.meti.go.jp/
■お断り
 本リポートは、ITビジネス起業者等へ法制度面のアドバイスをさせていただくことを趣旨としております。つきましては、内容の公正性を期するために公的機関等を除き、企業名、個人名等は原則として割愛しております。
なお本リポートの内容については、お客さまご自身その内容を判断するものとし、上田英雅又は本リポート掲載先サイトの管理者であるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社はいかなる保証も行わず、いかなる責任も負担いたしません。
上田 英雅(うえだ ひでまさ)
ECリーガルアドバイザー
所属:NTTコミュニケーションズ(株) 経営企画部
専門:EC(電子商取引)、EC法制度
所属:情報ネットワーク法学会
出身:京都府