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インターネット法制度を知る!第27回 平成18年春、新会社法施行へ!

2006年01月23日

前回のおさらい

 さて前回は、「システムダウンと損害賠償」についてリポートした。証券取引所でのシステムトラブルはショッキングであったが、それに限らずシステムダウンと損害賠償は切り離せない。損害が発生した場合、実際に損害賠償請求を行うかどうかは別として契約内容を明確にしておくことは重要だ。さて今回は、会社法改正についてリポートしたい。

平成18年春、新会社法施行へ

 昨年(平成17年)6月の会社法改正(平成17年7月公布)をうけ、今年(平成18年)春より施行される見通しとなった。会社法(商法第二編、有限会社法、株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律等の総称)とは、その名の通り会社の在り方について定める法律だが、今回、会社法として統合のうえ、昨今の経済情勢に併せて大きく改正された。ついては、以下、そのポイントを明らかにしたい。
 さて今回の改正だが、一言で言えば法務省が「利用者の視点に立った規律の見直し」として「中小企業や新たに会社を設立しようとする者の実態を踏まえ、会社法制を会社の利用者にとって使い易い」(出典、法務省公式サイト)というように起業やM&Aに力点をおいた改正となっている。即ち、「最近の社会経済情勢の変化への対応等の観点から、最低資本金制度、機関設計、合併等の組織再編行為等、会社に係る各種の制度の在り方について、体系的かつ抜本的な見直し」(出典、法務省公式サイト)とあるように改正は起業、M&Aを機動的かつ柔軟に行える改正内容となっている。

主な改正個所は以下の通りである。(出典 法務省公式サイト)
「1、利用者の視点に立った規律の見直し
(1)株式会社と有限会社を1つの会社類型(株式会社)として統合
(2)設立時の出資額規制の撤廃(最低資本金制度の見直し)
(3)事後設立規制の見直し
2、会社経営の機動性・柔軟性の向上
(1)組織再編行為に係る規制の見直し
(2)株式・新株予約権・社債制度の改善
(3)株主に対する利益の還元方法の見直し
(4)取締役の責任に関する規定の見直し
3、会社経営の健全性の確保
(1)株主代表訴訟制度の合理化
(2)内部統制システムの構築の義務化
(3)会計参与制度の創設
(4)会計監査人の任意設置の範囲の拡大
4、その他
(1)新たな会社類型(合同会社)の創設
(2)特別清算制度等の見直し」

 なお法務省公式サイトに現行の会社法と新会社法との比較がなされているのであげておく。 新「会社法」での主な変更点(出典、法務省公式サイト)
内容 現行制度 新「会社法」
表記 カタカナ文語体 ひらがな口語体
設立できる会社 株式会社、有限会社、合名会社、合資会社 株式会社、合名会社、合資会社、合同会社
最低資本金額 株式会社:1000万円
有限会社:300万円
制限なし
発起設立時の
払込金保管証明
必要 残高証明で可
取締役の数 株式会社:3人以上
有限会社:1人以上
1人以上
取締役の任期 株式会社:2年
有限会社:制限なし
原則2年
(株式譲渡制限会社は最長10年)
会計参与 規定なし すべての株式会社で設置可能(新設)
同一市町村の類似商号 不可 可能(商標登録されているものを除く)
 なおこれを機に表記が難解なカタカナ文語体からひらがな口語体へあらためられた。あくまで表記の問題だが、朗報だ。

会社法改正の主なポイント!

 会社法改正のポイントだが、以下の三点がポイントといえる。
■ポイント(1)
「利用者の視点に立った規律の見直し」(会社形態の選択肢増加)
(出典 法務省公式サイト)
ポイント(1)は、「利用者の視点に立った規律の見直し」(出典 法務省公式サイト)だ。具体的には、株式会社と有限会社を1つの会社類型(株式会社)として統合、最低資本金制度の見直しなどによりビジネス形態に応じた会社形態が可能となる。
 ポイント(1)は、有限会社と株式会社制度が統合されたことによりビジネスの特性に併せた多くの会社形態が可能となったことである。
 具体的には現行法では、取締役は株式会社では「三人以上(監査役一人)」、有限会社では「取締役一人以上(監査役は任意)」が、新会社法では「一名以上」である。また任期について株式会社では「二年」、有限会社では「制限なし」が、新会社法では「原則二年(但し株式譲渡制限会社は最長十年)」となる。更に起業において最大のネックである最低資本金が株式会社では「一千万円」、有限会社では「三百万円」が、新会社法では「制限無し」となった。(現行法令でも最低資本金の規制のない会社設立は可能だが新事業創出促進法に基づく特例適用の場合のみ。しかも当該法令に基づき起業しても五年以内に本来の資本金に増資が必要。また増資ができない場合は会社形態の変更又は解散する必要がある。)他に決算の健全性を確保するために取締役と共同で決算書を作成する「会計参与」制度や出資者の有限責任確保と同時に組合的規律が適用される「合同会社」制度(詳細後述)が創設された。なお現行の有限会社だが、会社法及び関連法の施行により、株式会社への商号変更、設立登記、有限会社の解散登記を行えば資本金はそのままで株式会社へ移行することができる。また役員任期、決算公告義務のない有限会社のまま「特例有限会社」として存続することもできるようにもなっている。
 以上こうした制度改正の結果、株式会社制度は、取締役のみの会社、取締役+監査役の会社、取締役+監査役+会計監査人の会社、取締役会+会計参与の会社、取締役会+監査役の会社、取締役会+監査役+会計監査人の会社、取締役会+監査役会+会計監査人の会社、取締役会+(指名、監査、報酬の)三委員会等+会計監査人、特例有限会社、合同会社など多様な会社形態が選択可能なよう図られている。(因みに人の信用に基礎をおく無限責任が原則の合名会社、合資会社制度は現行のまま。)
■ポイント(2)
「会社経営の機動性・柔軟性の向上」(出典 法務省公式サイト)
ポイント(2)は、「会社経営の機動性・柔軟性の向上」(出典 法務省公式サイト)だ。具体的には、M&Aを容易にするための各種規制の緩和、資金調達円滑化のための株式、新株予約権、社債制度の改善、株主に対する利益の還元方法改善、無過失責任規定の見直し等の取締役の責任明確化など会社を機動的かつ柔軟に運営することが可能となる。
 ポイント(2)は、会社経営を機動的かつ柔軟に運営できることである。具体的には、合併時における対価を柔軟に選定できる合併等対価の柔軟化(但し施行は一年後)、株主総会の承認を得ない簡易なM&A要件の規制緩和、株式譲渡制限における定款自治範囲の拡大、現物出資の緩和、端株制度の廃止、新株予約権の消却対価に対する株式交付、代表取締役に対する社債の発行条項に係る決定権限の授権の許容、社債管理会社の権限及び責任の強化、社債権者集会の特別決議の成立要件の緩和、社債券不発行制度の導入、株主への剰余金分配の整理、取締役の会社に対する無過失責任規定の見直しなど会社経営を機動的かつ柔軟に行えるよう各種制度の整理が図られている。
■ポイント(3)
「会社経営の健全性の確保」(出典 法務省公式サイト)
ポイント(3)は、「会社経営の健全性の確保」(出典 法務省公式サイト)だ。具体的には、株主代表訴訟制度の合理化、内部統制システム構築の義務化、会計参与制度の創設、会計監査人の任意設置範囲拡大など経営健全化を確保することが可能となる。
 ポイント(3)は、会社経営の健全性確保である。具体的には、株主代表訴訟の制度趣旨を逸脱する提訴の禁止など株主代表訴訟制度の合理化、大会社に対する内部統制構築の基本方針決定義務、中小企業の計算書類の正確性の向上等を図る「会計参与」制度の創設(公認会計士、税理士等が就任可能。取締役等と共同して計算書類を作成するとともに株主総会に対し決算を報告する。設置は任意)、小会社での「会計監査人」設置(設置は任意)、有限責任での出資のもと会社の運営は組合的規律を適用する「合同会社」制度の創設、協定の可決要件を緩和するといった特別清算制度の見直しなどより健全性を確保するよう図られている。
まとめ
 今回の会社法改正により会社制度は新たな時代を迎えるといってもよい。特に今回の改正により起業するならいずれの会社形態がよいのか、また現在有限会社を営んでいる場合、株式会社に移行したほうがよいのか特例有限会社として有限会社形態を継続する方がよいのか等お悩みの方は多いだろう。
 ただ会社形態の移行には、会社の戦略、役員の任期、資本金の準備状況、登記に要する稼動、社印及び各種印刷物の変更及び社名変更周知に要する費用など多くの検討要素があり一概に何が良いとはいえない。ただ切迫する会社法改正の施行日を迎え、ご懸念の方は懇意の弁護士事務所、行政書士事務所、公認会計士事務所、税理士事務所などにご相談されることをお勧めする。
■参考、引用文献
新六法(三省堂)
■参考、引用URL
法務省
http://www.moj.go.jp/
■お断り
 本リポートは、ITビジネス起業者等へ法制度面のアドバイスをさせていただくことを趣旨としております。つきましては、内容の公正性を期するために公的機関等を除き、企業名、個人名等は原則として割愛しております。
なお本リポートの内容については、お客さまご自身その内容を判断するものとし、上田英雅又は本リポート掲載先サイトの管理者であるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社はいかなる保証も行わず、いかなる責任も負担いたしません。
上田 英雅(うえだ ひでまさ)
ECリーガルアドバイザー
所属:NTTコミュニケーションズ(株) 経営企画部
専門:EC(電子商取引)、EC法制度
所属:情報ネットワーク法学会
出身:京都府