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インターネット法制度を知る!第25回 商標法ことはじめ

2005年11月21日

前回のおさらい

 前回、「不正競争防止法改正!」についてリポートした。改正のポイントは、企業における営業秘密の保護と模造品・海賊版商品による被害防止ということであったので各位留意されたい。
 さて今回は、前回に関連して模造品・海賊版商品がターゲットとするブランド品の品位を「証明」する商標権についてリポートしたい。

巨大掲示板での「ねこ」騒動

 各種報道によると過日、有名な巨大掲示板において「ねこ」のキャラクターをめぐりある騒動があった。ことの発端は巨大掲示板において著名な「ねこ」のキャラクターをある大手レコード会社がヒット曲のピーアールに当該「ねこ」のキャラクターとよく似たキャラクターを利用(商標権登録)しようとしたところにあるという。もちろん本リポートの趣旨は、騒動そのものをリポートする趣旨ではないのでこれ以上詳細に申し上げることはない。しかし、騒動のキーワードが「商標権」であったということは大いに注目に値する。この誰もが知る「商標権」だが、実はその詳細については意外に知らない。もちろん「商標権」に日常接するのは、企業等の法務担当、知的財産権担当、商標権出願事務などを代行する弁理士、商品のネーミングを考える宣伝担当者、広告代理店など特殊かつ専門家の方々だ。故に一部の専門家の世界と言ってしまえばそれまでだが、家で商売を行っていれば屋号は必要不可欠だ。また買い物をする時も商標のもつ「信用」に大きく左右されているのもまた事実。そしてもし本リポートをお読みの皆様が何か起業されるとすれば「商標」は大きなポイントとなることは一目瞭然だ。

商標権って何?

 商標権とは何か?このシンプルな問いに対し、商標法は第一条(目的)に「この法律は、商標を保護することにより、商標の使用をする者の業務上の信用の維持を図り、もって産業の発達に寄与し、あわせて需要者の利益を保護することを目的とする」とうたっている。つまり商標とは、「信用」というその商標をみるだけでその機能や品質を保証することでひいては産業の発達に寄与するとしている。
 さて商標権の目的をご理解いただいた上で、「商標」とはどういったものかということになるが、商標法第二条(定義)は、「この法律で『商標』とは、文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合(以下「標章」という。)であって、次に掲げるものをいう。 一  業として商品を生産し、証明し、又は譲渡する者がその商品について使用をするもの 二  業として役務を提供し、又は証明する者がその役務について使用をするもの」としている。つまり「文字、図形、記号若しくは立体的形状若しくはこれらの結合又はこれらと色彩との結合」であってかつビジネスに使用されるものということになる。具体的には、(1)文字商標(いわゆる字体の商標)、(2)図形商標(いわゆる絵の商標)、(3)記号商標(いわゆる記号の商標)、(4)立体商標文字(いわゆる立体物の商標)、(5)図形、記号、立体的形状の二つ以上が結合した商標、(6)上記(1)〜(5)にあげるものと色彩が結合した商標などがあり、どういった商標を出願(因みに出願先は特許庁である)するかはもちろん出願者の自由である。但し、出願すれば無条件に認められるわけではない。これについて商標法第三条(商標登録の要件)は、「自己の業務に係る商品又は役務について使用をする商標については、次に掲げる商標を除き、商標登録を受けることができる。 一  その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標 二  その商品又は役務について慣用されている商標 三  その商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、数量、形状(包装の形状を含む。)、価格若しくは生産若しくは使用の方法若しくは時期又はその役務の提供の場所、質、提供の用に供する物、効能、用途、数量、態様、価格若しくは提供の方法若しくは時期を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標 四  ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標 五  極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標 六  前各号に掲げるもののほか、需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標」とあげている。つまり単なる普通名称のものなどは駄目ということだ。また国旗等や公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるもの、他の商標に類似したものも拒絶対象だ。以上を踏まえた上で必要な書類を添えて特許庁へ出願。手数料も支払い正式登録となれば日本全国において当該登録商標を十年間、独占的に使用が可能となる。しかも更新も可能なので更新する限りはその商標を使用することができる。(但し、効力はあくまで日本。外国でも申請したい場合は各々外国へ出願)。またもし他人が登録商標と同一又は類似の範囲内で登録商標の使用等の行為をすれば権利侵害として侵害者に対して侵害行為の差止めや損害賠償等の請求をすることもできる。なおもし出願が拒絶又は第三者から異議申立などがあれば知的財産高等裁判所にて審理し、それでも決着がつかなければ最高裁判所まで争う場合がある。

商標はだれのもの?

 商標がいわゆるマークであって、特許庁に出願し条件を満たしていれば十年間独占使用できかつ更新も可能だということはご理解いただけたと思う。ただここで重要なのは、商標は特許庁に「登録」されてはじめて法的な効力をもつということだ。故にこうせいなようなに登録は、先着順を採用している。商標法第八条(先願)曰く、「 同一又は類似の商品又は役務について使用をする同一又は類似の商標について異なった日に二以上の商標登録出願があったときは、最先の商標登録出願人のみがその商標について商標登録を受けることができる。」ということだ。ただ世間には実際には登録していなくとも商標として広く利用している例も多い。これについて商標法第三十二条(先使用による商標の使用をする権利) は、「他人の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた結果、その商標登録出願の際(中略)現にその商標が自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その者は、継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。(後略)」とあり、先使用権も認めているので注意が必要だ。
まとめ
 商標については、実際の事例をもとにご説明したほうがわかりやすいと思うがこの機会にまずは基本となる条文をおさえていただきたい。なお冒頭の「ねこ」騒動だが、巨大掲示板ではキャラクターとして親しまれていたようだが、ビジネスに利用されていたことということ恐らくないかもしれない。しかし巨大掲示板において当該「ねこ」のキャラクターが広く愛されていたのもまた事実とすれば、議論がつきないところである。(因みに今回はレコード会社側が商標登録を中止したと各種報道ではあり)
■参考、引用文献
新六法(三省堂)
■参考、引用URL
特許庁
http://www.jpo.go.jp/indexj.htm
■お断り
 本リポートは、ITビジネス起業者等へ法制度面のアドバイスをさせていただくことを趣旨としております。つきましては、内容の公正性を期するために公的機関等を除き、企業名、個人名等は原則として割愛しております。
なお本リポートの内容については、お客さまご自身その内容を判断するものとし、上田英雅又は本リポート掲載先サイトの管理者であるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社はいかなる保証も行わず、いかなる責任も負担いたしません。
上田 英雅(うえだ ひでまさ)
ECリーガルアドバイザー
所属:NTTコミュニケーションズ(株) 経営企画部
専門:EC(電子商取引)、EC法制度
所属:情報ネットワーク法学会
出身:京都府