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インターネット法制度を知る!第24回 不正競争防止法改正!

2005年10月24日

不正競争防止法、改正へ

 前回、「改正独占禁止法。施行へ!」についてリポートした。改正のポイントは罰則の強化など主に手続き面に関するものだが、極めて厳しいものになっている。なお施行は来年(平成18年)1月からなのでご留意されたい。
 さて今回は、先の国会(第162回通常国会)にて成立した不正競争防止法等の一部改正ついてリポートしたい。不正競争防止法というと似たような商標を使用した悪徳商法など不公正な競争を防止する法律だが、今回は、「企業の営業秘密の保護をより実効あるものとし、営業秘密の刑事的保護を強化するとともに、模造品・海賊版商品の流通による被害を防止する」(経済産業省http://www.meti.go.jp/intro/law/index.html)為に改正が加えられたのでご注目いただきたい。なお条文は特に断りがない限り改正前のものとする。

そもそも不正競争防止法って?

 今回の改正についてリポートする前にまず簡単に不正競争防止法の概要をおさらいしておこう。まずこの法律が問題にする不正競争とは何か?ということだが、同法第二条(定義)にて規定しているように不公正な営業行為を意味する。ただ全文を引用すると非常に長文になるのでポイントを明確に同法で禁じている不正競争に該当する行為を上げておく。
(1) 商品・営業主体混同を惹起する行為
商品・営業主体混同を惹起する行為とは、いわゆる類似商標であるが、要はブランド品など著名な商標によく似た商標を用いて営業行為を行うことをいう。
(2) 著名表示を冒用する行為
著名表示を冒用する行為とは、自らの営業行為にブランド品など著名な商標を冒用する営業行為を行うことをいう。
(3) 商品形態を模倣する行為
商品形態を模倣する行為とは、いわゆる類似商品であるが、要は流行商品に似た模倣商品を制作等行うことをいう。
(4) 営業秘密の不正取得、使用、開示する行為
営業秘密の不正取得、使用、開示する行為とは、いわゆる営業秘密を詐欺や脅迫などの不正な手段により入手し、使用したり不正に開示したりすることをいう。
(5) デジタル・コンテンツの技術的制限手段を無効化する行為
デジタル・コンテンツの技術的制限手段を無効化する行為とは、音楽、映像等に組み込まれたデジタル・コンテンツの技術的制限手段(スクランブル)を解除する等の行為をいう。
(6) 商品・役務の品質等の誤認惹起表示
商品・役務の品質等の誤認惹起表示とは、原産地、品質、内容など製品表示において誤認招くような表示を行うことをいう。
(7) 競業者の営業を誹謗する行為
競業者の営業を誹謗する行為とは、文字通りライバルなどについてその信用を毀損するような行為を行うことをいう。
(8) 代理人等による商標の不正使用
代理人等による商標の不正使用とは、いわゆる代理店などの代理人等が商標権の所有者に無断で商標を使用する行為をいう。

今回の不正競争防止法のポイント

 ずらずらと不正競争防止法が禁止する不正競争事項をあげてみた。一口に不正競争といっても色々あるものだが、当然ながら罰則として、第十四条(罰則)に「三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」を規定している。また差し止め請求、損害賠償請求、信用回復措置等が設けられているので一定の抑止力はあるはずだが、今回更に強化された。
 さて今回の改正だが、大別すると(1)「営業秘密の刑事的保護の強化」、(2)「模倣品・海賊品への対策等」、(3)「罰則の見直し及び関連法の規定の整備」(経済産業省http://www.meti.go.jp/intro/law/index.html)の三点がある。まず(1)営業秘密の保護強化だが、従来の不正競争防止法は、営業秘密侵害の構成要件を「使用」又は「開示」としていたが、国外のそれは未規定であった。しかしグローバル化する企業活動を鑑みれば国内のみに限定する必要性は薄い。また不正アクセスなど国境を意識しない営業秘密侵害も考慮されたと推察するが、営業秘密の国外使用・開示対し処罰が導入された。更に退職者による営業秘密使用、開示も同様とされたので注意したい。次に(2)模倣品・海賊品への対策強化であるが、(2)著名表示を冒用する行為について、従来は差し止め及び損害賠償請求までの民事的対処までしか認められていなかったが、今回の改正ではこうした行為も刑事罰が導入された。また(3)商品形態を模倣する行為については、民事的保護規定が盛り込まれるとともに、従来の「最初に販売された日から起算して三年」(同法第二条1項3号)という規定について、従来は国外での販売分を起算日に含むのか曖昧であったが、今回の改正により国内での販売を起算日とされた。因みに電子商取引についてはそれが日本向けかどうかで判断される。最後に(3)罰則の強化及び関連法令の改正であるが、「三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」が各々「五年」、「五百万円」に引きあげられた。併せて懲役刑と罰金刑の併科も可能となるとともに、実用新案法などの関連法も関係条例が改正された。また関税定率法改正により(2)著名表示を冒用する行為、(3)商品形態を模倣する行為に対しては、「水際差止措置」が導入されるとともに弁理士法改正により「裁判外紛争解決手続きにおいて弁理士の役割整備等を行う」ことも盛り込まれた。
(経済産業省http://www.meti.go.jp/intro/law/index.html
まとめ
 今回の改正がこれまで曖昧であった営業秘密について大きく改正を加えるとともに増大する模倣品・海賊版商品について知的財産保護の観点から改正されたというのは冒頭で申した通りであるが、こと電子商取引に限って申せば営業秘密の保護強化について影響が大きいかもしれない。具体的には、退職者が他の電子商取引サイトに移って新たに電子商取引ビジネスを行う場合や培った電子商取引に関する営業秘密を国外の電子商取引サイトでの「使用」や「開示」は十分あり得る話しである。ついては、今回の改正についての施行は別途定められるが、それまでにまずは営業機密の範囲を社内にて整理されることをお勧めする。なお今回の改正以外の不正競争についてはもちろん有効なので、日頃から模倣商品など不正競争に悩まされているおりにはこうした法的措置も視野にいれていただきたい。
■参考、引用文献
新六法(三省堂)
■参考、引用URL
経済産業省
http://www.meti.go.jp/intro/law/index.html
■お断り
 本リポートは、ITビジネス起業者等へ法制度面のアドバイスをさせていただくことを趣旨としております。つきましては、内容の公正性を期するために公的機関等を除き、企業名、個人名等は原則として割愛しております。
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上田 英雅(うえだ ひでまさ)
ECリーガルアドバイザー
所属:NTTコミュニケーションズ(株) 経営企画部
専門:EC(電子商取引)、EC法制度
所属:情報ネットワーク法学会
出身:京都府