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インターネット法制度を知る!第23回 改正独占禁止法。施行へ!

2005年09月26日

独占禁止法、改正へ

 前回、「国際私法の現代化と電子商取引」についてリポートした。ただテーマとしては少しマイナーであったことから、余りご関心なかったかもしれないが何かのご参考になれば幸いだ。
 さて今回は、独占禁止法改正ついてリポートする。独占禁止法といえば談合などがまっさきに思い浮かぶと思うが、今回、その独占禁止法が改正され、来年(平成18年)1月から施行されるという。但し、今回の改正は、主に罰則や運用面である。従って違反行為に関与していなければ何の影響もないが、仮に該当した場合、大きな罰則が科される可能性がある。罰則が重いからコンプライアンスを推進するというのもどうかと思うが、改正独占禁止法の施行まであと3ヶ月。待ったなしである。

そもそも独占禁止法って?

 今回の改正についてリポートする前にまず簡単に独占禁止法の概要をおさらいしておこう。独占禁止法を主管する公正取引委員会は、独占禁止法について以下のように説明している。曰く「経済運営の秩序を維持するための企業活動の基本的ルールを定めた法律です。その正式な名称は『私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律』といい、昭和22年に制定されました。施行後既に50年の歴史を持ち、経済社会の基本法としてますます重視されている」として、「公正で自由な競争の促進する」ために「事業者の創意発揮、事業活動の活発化、雇用・所得の水準向上と一般消費者の利益の確保、国民経済の民主的で健全な発達」が目的ということだ。なお詳細は、下記の公正取引委員会公式サイトにて詳しく案内されているので関心のある方はそちらもご確認いただきたい。(http://www.jftc.go.jp/
 さてその概要だが、法令によるとカルテルの規制、独占・寡占の規制、不公正な取引規制の規制、企業結合・集中の規制が主たる柱ということがわかる。ただその全てをおさらいすると膨大な量になるのでポイントをしぼってご説明したい。
 第一のカルテルの規制は、不当な取引制限の禁止、国際カルテルへの参加禁止、事業者団体の活動規制、適用除外カルテル等を規定している。カルテルは、いわゆる談合等はそのさいたるものだ。第二の独占・寡占の規制は、私的独占の禁止、独占的状態に対する措置等だ。大企業などが市場を独占してしまえば競争も生まれない。公正な競争の為に独占(寡占)は反競争と捉えられることから同様に企業活動を厳しく監視されることになる。第三の不公正な取引方法の規制は、不公正な取引方法、事業者団体と不公正な取引方法、国際契約と不公正な取引方法、下請代金支払遅延等防止、不当景品類及び不当表示防止など不公正な取引全般だ。特に過剰な景品や詐欺的な表示などは電子商取引とも大きく関係するので機会があればまたリポートしたい。最後に第四の企業結合・集中の規制は、合併の制限、分割(共同新設分割及び吸収分割)の制限、営業の譲受け等の制限、営業の譲受け等の制限、役員兼任の制限、事業支配力が過度に集中することとなる会社の設立等の制限、銀行又は保険会社の議決権保有の制限等だ。いわゆるM&Aやリストラクチャリング等で大企業以外には余り縁がないが、独占禁止法では重要なカテゴリーである。以上、ずらずらと述べてしまったが、要は公正競争の推進の為の各種規制とご理解いただければ早いだろう。

改正独占禁止法のポイント

 さて今回の改正だが、大きく分けて4つある。即ち、第一は課徴金の見直し、第二は課徴金減免制度の導入、第三は犯則調査権限の導入、第四は審判手続きの見直しである。
 第一の課徴金の見直しは、算定率の見直しで製造業等では大企業6%、中小企業3%が10%、4%へ、小売業では各々2%、1%が3%、1.2%へ、卸売業では各々1%、1%が2%、1%へと引き上げられた。これは、欧米に比べ比較的、日本は課徴金が少ないこともあり、懲罰的な要素を強めたいということも含め算定率が高められたようだ。なお違反行為の早期停止には2割軽減、繰り返しには5割加算などの措置も設けられメリハリがつけられている。第二の課徴金減免制度の導入は、違反事業者が自ら違反を申告すれば、立ち入り検査前の1番目の申告者は課徴金免除、2番目の申告者は50%減額、3番目の申告者は30%減額とするものである。犯罪行為をおかしても自首すれば罪が軽減されるというのはよく聞くがこれほどドライなのは少し違和感があるかもしれない。これにはカルテル等の違反行為がなかなか発見しにくく、また自ら自首するにもインセンティブが少ないというのが導入の背景にあるようだ。(これについてカルテルを例にとると、自首すれば課徴金を受けるとともにカルテルを行う同業他社から攻撃をうけるという大きな袋小路をご想像いただければおわかりやすい)。第三の犯則調査権限の導入は、刑事告発のために犯則調査権限が認められたものである。従来公正取引委員会は、通常の行政上の調査権限しかなかったことから、企業などが何か理由をつけて資料の提出や立ち入り調査を拒否されれば、その間に証拠隠滅されるという危機もあった。それだけに、裁判所の発する令状に基づいて臨検・捜索できることは捜査の機動性を大幅に高めることにつながるようだ。そして第四の審判手続きの見直しは、意見申述等の事前審判を設けた上で排除措置命令を行い不服があれば審判を開始することや審判官裁判に関する規定の整備等である。改正前、公正取引委員会は、違反行為があると認めれば、まずは「勧告」(及び公表)が行った後、事前通知→意見の申述・証拠提出の機会→課徴金納付命令→審判手続(確定)という流れを余儀なくされていた。しかし改正後は、事前通知(排除命令、課徴金)→意見の申述・証拠提出の機会→排除措置命令(又は課徴金納付命令)→確定(審判手続)の流れとされたことから、公正取引委員会は、違反事実があると認めれば勧告をしないですぐに排除措置命令をだすことができるようになったことが特筆すべき事項である。
まとめ
 今回の改正は、独占禁止云々ではなくその運用である。以前に「噛まない番犬」と揶揄された公正取引委員会が本格的な競争市場の育成に向けてルール違反には積極的にイエローカードやレッドカードを出すための布石といえる。
 もっともまだ市場として歴史の浅い(そもそもバーチャル空間でのビジネス)電子商取引に独占禁止法云々が業界や世間を騒がすということはないかもしれない。(景品や不当表示は除く)ただ公正な競争は、業界にとっても、消費者にとっても有益だということは肝に銘じておく必要はあるだろう。改正独占禁止法施行まであと3ヶ月余り。違反事項がないか再度にご確認いただければと思う。
■参考、引用文献
新六法(三省堂)
■参考、引用URL
公正取引委員会
http://www.jftc.go.jp/
■お断り
 本リポートは、ITビジネス起業者等へ法制度面のアドバイスをさせていただくことを趣旨としております。つきましては、内容の公正性を期するために公的機関等を除き、企業名、個人名等は原則として割愛しております。
なお本リポートの内容については、お客さまご自身その内容を判断するものとし、上田英雅又は本リポート掲載先サイトの管理者であるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社はいかなる保証も行わず、いかなる責任も負担いたしません。
上田 英雅(うえだ ひでまさ)
ECリーガルアドバイザー
所属:NTTコミュニケーションズ(株) 経営企画部
専門:EC(電子商取引)、EC法制度
所属:情報ネットワーク法学会
出身:京都府