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インターネット法制度を知る!
第19回 インターネットオークションと偽ブランド品

2005年08月01日

インターネットオークションで売買される偽ブランド品

 前回、「迫り来るスパイウェアと法制度!」についてリポートした。スパイウェアは被害が発生するまで感染が判明しにくいという特性がある。つい最近も大手化粧品会社、バカンスなどを取り扱う旅行代理店、他店の販売価格を比較するサイト等で発生した不正アクセス事件も各種報道によればスパイウェアが関与している可能性が高いという。
 さて今回のテーマだが、インターネットオークション等における偽ブランド品等について取り上げたい。今やすっかり定着した感のあるインターネットオークション。経済産業省、ECOM、NTTデータ経営研究所が今年、平成17年6月に発表した「平成16年度電子商取引に関する実態・市場規模調査」でも「インターネットオークションに代表される、CtoC−ECの流通額は、7,840億円に達しております。これは、2004年のBtoC−EC金額総額と比べても、その14%に匹敵する金額であり、物販系BtoCのどのカテゴリよりも規模が大きくなっています。また、モバイル・オークションサービスも拡がっており、消費者が参加しやすい仕組みも整えられてきています。」とインターネットオークションを高く評価している。しかし、残念ながらその流通の中には、偽ブランド品等が含まれているといわれている。ついては、今回は、インターネットオークションと偽ブランド品等についてその動向や法制度をリポートしたい。

インターネットオークションと偽ブランド品

 今に始まったことではないが、相変わらず偽ブランド品等が流通している。偽ブランド品等について明確な定義はないが、例えば偽シャネル、偽ミッキーマウス、偽ハリーポッターなど権利者の許諾のない商品、コンパクトディスク、DVD、書籍といった模造品等を代表的だ。あくまで一般的だが、こうした偽ブランド品等の多くは粗悪品。そして何より本来の権利者の商標等を侵害していることからその根絶が望まれる。
 ところでこうした偽ブランド品等だが、昨今大きく騒がれている背景にインターネットオークションの存在があるようだ。ご存知のようにインターネットオークションは、物(商品)を売りたい消費者と買いたい消費者がセリ形式等で売買(交換)するものである。従来、こうした偽ブランド品等は、繁華街周辺の怪しげな店舗などで売買することが多かったが、写真を添えて必要情報を書き込むだけで商品を売買可能なインターネットオークションはそうした状況を一変させた。正確なデータが手許にないので何ともいえないが、その結果、従来、偽ブランド品等で被害を受けることはあっても被害をもたらすことはなかった消費者等が自ら意図して又は意図せず知らないままに偽ブランド品等売買に手を染めているという。偽ブランド品等の出品は、出品者の周辺情報は確認できても偽ブランド品等自体の真贋までを確認することは事実上困難。不要品を手軽に売買できると同時に安く掘り出し物を見つけることができるインターネットオークションは大きな魅力であるが、偽ブランド品等だけはいただけない。

プロバイダー責任制限法と商標権関係ガイドライン

 当然ながらこうした状況は、オークション事業者も予測していた。多くのオークション事業者は、利用規約に商標権を侵害する商品の出品禁止を規定している。またオークション事業者によっては、自ら偽ブランド品等の出品がないかパトロールするところや独自のガイドラインをもとに商標権管理団体に真贋審査を依頼し、偽ブランド品等の出品を削除していることもある。
 そしてそうした状況の中、このたび社団法人テレコムサービス協会が偽ブランド品等の出品を排除するためにプロバイダー責任制限法に関するガイドラインのひとつとして「商標権関係ガイドライン(案)」(意見照会は平成17年6月末終了)を打ち出した。
 これによると、同ガイドラインの対象は、「特定電気通信による情報の流通により商標権が侵害されている場合、送信防止措置(削除等)を行う」というものである。具体的には「インターネットオークション、ショッピングモール、その他ウェブサイト上に偽ブランド品等の広告」を発見した場合、「業として商品を生産、証明、譲渡する者が、商標権者等の許諾なく指定商品又はこれと類似する商品について、登録商標と同一又は類似の商標を、広告等を内容とする情報に付してウェブページ上に表示している場合には、送信防止措置(削除等)を行う」というものだ。なお権利侵害の真偽については「信頼性確認団体」と呼ばれる同ガイドラインが認定した権利者団体が判断するという。
まとめ
 知的財産の保護、活用については、いま政府がもっとも力をいれている分野である。政府は、知的財産の保護、活用を推進する「知的財産基本法」(平成14年12月制定、平成16年4月施行)のもと、「知的財産推進計画2004、2005」を相次いで立案。知的財産の創造としては、大学などにおける知的財産の創造推進、産官学の連携、大学発ベンチャーの促進、研究者の優遇を、知的財産の保護としては、特許審査の迅速化、世界特許システムの推進、知的財産専門の裁判制度の創設、中小ベンチャーの支援、地域振興、コンテンツ流通大国への改革、海外展開支援、人材育成など矢継ぎ早に戦略的な知的財産の保護、活用に取り組んでおり、今回のガイドラインもその一貫といわれている。
 最後にインターネットオークションを利用する消費者の中には偽ブランド品等といえどもそれなりの商品価値はある。偽ブランド品等と了解したうえで出品や落札するのは個人の自由だという声もあるかもしれない。しかしブランド品の価値は、そのブランド品の権利者の心血伴う努力によって培われたものであることを再認識しなければならない。
■参考、引用文献
新六法(三省堂)
■参考、引用URL
次世代電子商取引推進協議会(ECOM)
http://www.ecom.or.jp/
内閣府
http://www.ipr.go.jp/index.html
社団法人テレコムサービス協会
http://www.telesa.or.jp/consortium/provider/2005/20050530.htm
■お断り
 本リポートは、ITビジネス起業者等へ法制度面のアドバイスをさせていただくことを趣旨としております。つきましては、内容の公正性を期するために公的機関等を除き、企業名、個人名等は原則として割愛しております。
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上田 英雅(うえだ ひでまさ)
ECリーガルアドバイザー
所属:NTTコミュニケーションズ(株) 経営企画部
専門:EC(電子商取引)、EC法制度
所属:情報ネットワーク法学会
出身:京都府