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インターネット法制度を知る!第14回 ブログとその法制度!

2005年05月09日

ブログが伸びている!

 前回は、ADR法をお届けした。裁判外紛争処理制度というと小難しいが、要は民間同士での解決。これまでネックであった法的効力も付与されるということもあり施行されればそれなりの利用はあるだろう。

 さて今回だが、ブログにまつわる法制度についてリポートする。ブログが「Web」と通信履歴「log」からの造語であることはご存知だと思うが、最大の利点は、「HTML」などの言語を理解しなくとも掲示板に書き込みするような感覚で簡単に作成、更新できるところにあり、最近利用が急増している。これを裏付けるように例えばインターネットの動向に詳しいインターネットウォッチ社の記事*によるとネットレィティング社の調査として「日本で最も利用者を集めているブログは『はてなダイアリー』で202万人(2003年12月度157.8万人)、2位は『ココログ』で59.4万人(同18.5万人)、3位『マイプロフィール』30.3万人(同24.4万人)、4位『ブログピープル』28.4万人、5位『livedoor Blog』20.6万人と続く。全体的に2003年12月度調査より利用者数を増やしているが、ココログは前月比で321%で利用者数が急増している。」と伝えており、その伸びはすさまじいものがある。

ブログ。その素顔と課題!!

 ブログを利用する人を「ブロガー」というが、彼らの多くは身の回りで起こったできことを日記風の記事形式で発信している。またブログの素晴らしさに注目しているのは一般の方々だけではない。大黒摩季、テリ―伊藤、Dr. コパ、リサ・ステッグマイヤーのような著名人、木村剛のような経済人、その他にも古田敦也のようなスポーツ選手、政治家、評論家など影響力の大きい方々も自らの意見や近況をブログから発信している。

 しかし、しかしである。そのブログだが、誰もが自由に情報を発信できるということは、負の面も意識しなければならない。正確なデータは持ち合わせていないので確たることは言えないが、簡単に情報掲載が可能ということは、それだけ有害ブログを産む可能性も孕んでいる。これまで、こうした問題のあるコンテンツ(内容)は、サイト作成スキルの制約からごく一部に限られていた。しかし、簡単にサイトが作成できるとすればそうした問題のあるブログ(サイト)が生まれる可能性もある。ついては、以下、簡単にそうした可能性についてあげておく。

○猥褻ブログ
  猥褻ブログの典型例は、自己の性生活日記や猥褻映像を掲載するものだ。こうした行為は、刑法第百七十五条(わいせつ物頒布等)は、 「わいせつな文書、図画その他の物を頒布し、販売し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処する。販売の目的でこれらの物を所持した者も、同様とする。」に該当する可能性がある。無論、表現の自由はあるので一概に猥褻ということはできない。またデジタルデータが「図画」に該当するか、サーバへの猥褻情報のアップロードが「陳列」か、猥褻画像をダウンロードするだけなら「頒布」にあたらないなど異なる法解釈の問題もあるが、注意は必要だ。
 なお平成11年には、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)が改正されインターネットに猥褻な映像を流す「映像送信型性風俗特殊営業」(専ら、性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業で、電気通信設備を用いてその客に当該映像を伝達すること(放送又は有線放送に該当するものを除く。)により営むものをいう。)が新設され18歳未満の者に対する有料ポルノ画像送信が規制されている。また児童ポルノに対しても同年、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び児童の保護等に関する法律により児童ポルノの頒布、販売、陳列は禁止されているので付け加えておく。(因みに「児童」というと小学生を連想する方も多いが、「十八歳に満たない者をいう」ので誤解のないようにお願いしたい。)

○有害(危険物売買、犯罪幇助、等)ブログ
  平成10年、自殺願望者に毒物を郵送した事件や平成11年、研究室に保管されていたクロロホルム等の毒劇物や向精神薬を販売していた事件などがあるが、ブログでもこうした危険物を売買するブログが発生する可能性がある。こうした行為は毒劇物取締法、向精神薬取締法違反に該当する恐れがあり注意が必要だ。また無許可の医薬品販売(薬事法違反)、麻薬類の販売(大麻取締法、覚せい剤取締法等違反)、許可のない銃刀類の販売(銃砲刀剣類所持等取締法違反)、許可のない爆発物の販売(爆発物取締罰則違反)、暴力行為の教唆や詐欺行為(刑法違反)、いわゆる「ねずみ講」(無限連鎖講の防止に関する法律違反)などに該当する恐れがあり併せて注意が必要だ。

○根拠のない報道ブログ
  ここで「根拠のない報道ブログ」という表現は誤解を産むかもしれない。報道には必ずしも正確性が伴うわけではないからだ。また仮に誤りがあれば訂正報道を行えばよい。しかし、全く虚報や風説の流布となると話しは異なる。他にも言論の自由の一方で人権侵害の防止など報道、ジャーナリズムには考慮しなければならない課題も多い。詳細をここで申し上げることはさけるが、検討しなければならない課題であることは確かだ。

○その他、問題あるブログ(著作権侵害、営業妨害、名誉毀損など)
 誰もが簡単に情報発信できるということは、当然に他人の文章や写真を盗用する可能性も高くなる。また人の名誉を傷つける内容は、刑法、第二百三十条(名誉毀損)が「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。 」)というように名誉毀損となる可能性がある。他にもいわれのない営業妨害は、刑法第二百三十四条(威力業務妨害)が「威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。」)というようにありきたりだが大きな課題だ。
まとめ
 今回取り上げた法的課題は、ブログだけを対象とするものではなくウェブ全般にかかる法的課題である。従ってブログだけの法的課題ではない。問題は、ブログの簡単にサイトが作成できるという特質が法を犯すことの敷居を低くする可能性があるということだけだ。
なおブログに無意味な返信を繰り返すことを「トラックバックスパム」という。ブログは、せっかく手に入れた貴重な情報発信のツール。有意義に活用したいものである。
■参考、引用文献
新六法(三省堂)
■参考、引用URL
インターネットウォッチ社
■お断り
 本リポートは、ITビジネス起業者等へ法制度面のアドバイスをさせていただくことを趣旨としております。つきましては、内容の公正性を期するために公的機関等を除き、企業名、個人名等は原則として割愛しております。
なお本リポートの内容については、お客さまご自身その内容を判断するものとし、上田英雅又は本リポート掲載先サイトの管理者であるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社はいかなる保証も行わず、いかなる責任も負担いたしません。
上田 英雅(うえだ ひでまさ)
ECリーガルアドバイザー
所属:NTTコミュニケーションズ(株) 経営企画部
専門:EC(電子商取引)、EC法制度
所属:情報ネットワーク法学会
出身:京都府