このページの本文へジャンプ

文字の大きさ

ここから本文です

インターネット法制度を知る!第13回 ADR法、登場!

2005年04月18日

紛争、調停します!

 前回は、新入社員のための法律講座をお届けした。紙面が余りに不足していたので詳細は全くふれることはできなかったが、雰囲気だけはご理解いただけたと思う。
 さて今回だが、昨年(平成16年)12月1日に公布された「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(通称、ADR法。以下同じ。)」(施行は平成19年6月1日までの政令で定める日。因みに平成17年4月時点ではまだ未施行)についてリポートしたい。日常生活やビジネスの中で「出るところにでましょうよ」とか「訴えてやる」という言葉を耳にしたり言ったりすることは多い。しかし、幸か不幸かいわゆる裁判所で当事者になったことのある方は少ないだろう。率直にいって「裁判」や「裁判所」という言葉ほど中身が知られていない言葉も珍しい。しかしそもそもなぜ裁判はこれほど縁遠いものだろうか?そしてその中でADR法とはどのような期待を担っているのだろうか?次節にて明らかにしていきたい。

ADR法、登場!!

 まず「ADR」とは何かということだが、法務省は「裁判外紛争解決手続」と説明している。法務省サイト(以下同じ。)によると、(ADRとは、)「ADR(Alternative Dispute Resolution)とも呼ばれますが、仲裁、調停、あっせんなどの、裁判によらない紛争解決方法を広く指すもの」とある。つまり「(ADRとは)、「例えば、裁判所において行われている民事調停や家事調停もこれに含まれますし、行政機関(例えば建設工事紛争審査会、公害等調整委員会など)が行う仲裁、調停、あっせんの手続や、弁護士会、社団法人その他の民間団体が行うこれらの手続も、すべて裁判外紛争解決手続に含まれます。」ということになる。故に端的にいえば「訴訟手続によらず民事上の紛争を解決しようとする紛争の当事者のため、公正な第三者が関与してその解決を図る手続」ということができよう。

 では以上を踏まえた上でのADR法の概要だが、ADR法はその目的を「本法律は、裁判外紛争解決手続の機能を充実することにより、紛争の当事者が解決を図るのにふさわしい手続を選択することを容易にし、国民の権利利益の適切な実現に資することを目的とする」と定めている。従って紛争解決手段の多様化といえよう。

 次にADR法の中身だが、「裁判外紛争解決手続の基本理念を定めること」、「裁判外紛争解決手続に関する国等の責務を定めること」、「裁判外紛争解決手続に関する国等の責務を定めること」、「裁判外紛争解決手続のうち、民間事業者の行う和解の仲介(調停、あっせん)の業務についてその業務の適正さを確保するための一定の要件に適合していることを法務大臣が認証する制度を設けること」、「法務大臣の認証を受けた民間事業者の和解の仲介の業務については、時効の中断、訴訟手続の中止等の特別の効果が与えられること」としている。

認証制度!

 このADR法のポイントは、認証制度にある。法務省サイトによると「情報が不十分なため,国民の方々にとって利用に不安があること及び利用の支障となる制度上の制約(弁護士法の制約、時効中断効のないことなど)」がこれまでの紛争調停機関が一般的でなかった原因をあげているが、民間事業者が行う裁判外紛争解決手続を一般的な紛争解決手段とする為には、「その業務の適正さを確保するための一定の要件を定め、国がこれに適合していることを確認(認証)する仕組みをつくり、このような確認(認証)を受けた者を対象として(中略)措置を講じることが必要」となる。

 具体的には、「裁判外紛争解決手続のうち和解の仲介の業務を行う民間事業者について、その申請により、法務大臣が、ADR法の定める一定を満たすことを認証するものであり、認証を受けた民間事業者(「認証紛争解決事業者」といいます。)には次のような効果」が与えられる。即ち、「認証業務であることを独占して表示することができること」、「認証紛争解決事業者は,弁護士又は弁護士法人でなくとも、報酬を得て和解の仲介の業務を行うことができること(弁護士法第72条の例外)」、「認証紛争解決事業者の行う和解の仲介の手続における請求により時効が中断すること(ただし、和解の仲介の手続終了後1か月以内の提訴が条件となる。)」、「認証紛争解決事業者の行う和解の仲介の手続と訴訟が並行している場合に裁判所の判断により訴訟手続を中止することができること」、「離婚の訴え等、裁判所の調停を得なければ訴えの提起ができないとの原則のある事件について、(認証紛争解決事業者の行う)和解の仲介の手続を経ている場合は当該原則を適用しないこと」などだ。

 なお認証を受けた民間事業者(「認証紛争解決事業者」といいます。)は、「業務の内容や実施方法に関する一定の事項を事務所に掲示すること」、「利用者たる紛争の当事者に対して、手続の実施者(調停人、あっせん人)に関する事柄や手続の進め方などをあらかじめ書面で説明すること」が義務付けされる。
まとめ
 余談だが、既存の民間の紛争調停機関が今回の認証を受けるかどうかは各民間事業者の自由だ。最後にこのADR法だが、日の目を見るのはまだ少し先。気になる方はリサーチされるのもいいかもしれない。
■参考、引用文献
新六法(三省堂)
■参考、引用URL
法務省
■お断り
 本リポートは、ITビジネス起業者等へ法制度面のアドバイスをさせていただくことを趣旨としております。つきましては、内容の公正性を期するために公的機関等を除き、企業名、個人名等は原則として割愛しております。
なお本リポートの内容については、お客さまご自身その内容を判断するものとし、上田英雅又は本リポート掲載先サイトの管理者であるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社はいかなる保証も行わず、いかなる責任も負担いたしません。
上田 英雅(うえだ ひでまさ)
ECリーガルアドバイザー
所属:NTTコミュニケーションズ(株) 経営企画部
専門:EC(電子商取引)、EC法制度
所属:情報ネットワーク法学会
出身:京都府