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インターネット法制度を知る!第8回 電子営業窓口!

2005年01月24日

ブロードバンドの普及がテレビ電話を身近なものに…

 最近、商品やサービスの紹介(営業)にテレビ電話を駆使して電子営業窓口を検討する企業が増加している。このテレビ電話、数十年前から通信事業者、情報機器事業者など多くの事業者が会議用、田舎の両親や恋人との会話用、幼児・ペットなど室内監視などを対象に様々な機種が販売してきたが、これまでは回線の遅さや高額な機器費用の問題からかやや普及が足踏みしていた感がある。

 しかし、いまや従来ネックであった回線の遅さは、光ファイバー、ADSLなどブロードバンドの急速な普及により解消しつつある。また必要となる高価な専用端末の問題も広く普及しているパソコンを流用することで問題は解決しそうである。従って、現時点におけるテレビ電話の課題は、テレビ電話のどのような利用方法にニーズがあるか見極めていけるかという点にあるようだ。ビジネスニーズ、コンシューマーニーズ、一口にテレビ電話といってもニーズは様々。テレビ電話ならではのニーズ、そんなニーズを見出すことが新たなマーケットを掘り起こすだろう。

液晶ディスプレイの向こうから「いらっしゃいませ!」

 平成17年1月14日付けのフジサンケイビジネスアイは、「ITで販売力増強」と題してテレビ電話を活用した記事をリポートしている。同記事によると「(前略)スイスのチューリッヒ保険(東京都新宿区)は、自動車保険の契約と事故対応に関する相談をテレビ電話上で受け付けるサービスを(平成17年1月)12日からはじめた。開始したのは『スマート・コミュニケーション』で電話とインターネットに接続されたパソコンがあれば、サービスを受けられる。利用希望者は、同社のホームページ上で登録手続きを行い、ソフトをダウンロードすれば自宅でこのサービスを使える。自宅で利用可能なテレビ電話による相談サービスの提供は、国内保険会社では初めて」(一部、筆者補足)という。

 また同じく同記事によると「アメリカンホーム保険(東京都墨田区)も昨年7月、カー用品販売大手のオートバックスと提携し、テレビ電話を使った自動車保険の販売を行っている。オートバックスの千葉県市川市と名古屋市、大阪府大東市の大型店三店舗にアメリカンホームの保険販売専用のテレビ端末を設置。テレビ電話上で、車検証の記載内容や希望の補償内容などをオペレーターに伝えれば、自動車保険の見積もりから契約までの手続きが行える」という。

 他にも平成17年1月14日付けの日本経済新聞が、「銀行新店舗、小型化シフト」という記事をリポートしている。この記事によると、「大手銀行がコストを大幅に抑えた『軽量・小型店舗』にシフトしている。」と題して、「UFJ銀行が昨年、ACMの案内係りを一人だけ置いた超軽量店舗を都内に2ヶ所、設置。利用状況を見極め、同様の店舗を増やしていく。みずほ銀行やりそな銀行も運営費用を抑えた新型店舗の出店を始めた。新生銀は東京・銀座に従業員二−三人で運営する新型店を出店。テレビ電話やネット端末などで口座開設から住宅ローンの相談まで一通りのサービスを提供できる。(後略)(一部、筆者補足)」という。

 これらの事例は、利用場所が自宅、店舗という相違はあるにせよ、いずれも電話やインターネットという非対面サービスがもつ「もどかしさ」、人員を数多く配置する対面サービスがもつ「コスト高」という短所をテレビ電話という利器が見事に解決していることを示している。

テレビ電話と法令

 このテレビ電話と法令だが、テレビ電話だけをみれば、電話の延長であってケーブルを映像が流れているという位置付けだ。

 しかし、単に親子や恋人間でお互いの顔を見ながら通話する分には特に法令は関係ないが、ビジネス等に利用するとなると利用形態によっては法令が関係する場合がある。具体的には、テレビ電話を単なる窓口や商品案内ではなく、商品・役務を提供する場合は特定商取引に関する法律が該当するかもしれない。この特定商取引に関する法律とは、「(前略)購入者等の利益を保護し、あわせて商品等の流通及び役務の提供を適正かつ円滑にし、もって国民経済の健全な発展に寄与する」(特定商取引に関する法律、第一条(目的))ことを目的に制定されたものだが、テレビ電話を利用して商品・役務を提供する行為は「通信販売」又は「電話勧誘販売」とみなされる可能性がある。前者の「通信販売」とは、カタログ、新聞・雑誌広告、ダイレクトメール、テレビ・ラジオ番組、ファクシミリ広告、インターネットサイトなど商品広告に対して注文を募る販売方法、また後者の「電話勧誘販売」とは、その名の通り、自宅や勤務先に電話をかけるテレホンセールス又はテレマーケティングだ。従って適用を受けるとすると、同法第十一条(通信販売についての広告)、第十二条(誇大広告等の禁止)、第十三条(通信販売における承諾等の通知)、第十四条(指示)、第十五条(業務の停止等)、第十六条(電話勧誘販売における氏名等の明示)、第十七条(契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘の禁止)、第十八条、第十九条(電話勧誘販売における書面の交付)、第二十条(電話勧誘販売における承諾等の通知)等の規定が関係してくる。

 なお商品・役務を提供しなくとも法令が関係する場合がある。具体的には、製薬会者等が行っている電話や電子メールを利用した医薬品相談もそのひとつだ。この医薬品相談とは、例えば平成17年1月14日付けの産経新聞「薬の服用方法、ネットで助言」という記事がわかりやすいが、禁煙補助剤の服用方法を電子メールで相談したところ「具体的なアドバイスが(製薬会社より)メールで届いた。(一部、筆者補足)」というように電話や電子メールで医薬品相談を行うもののだ。ただ「(医薬品のネット相談は、)服薬の時期や方法などのサービスだが、特定の個人に対する診療はできない。このため製薬会社では『ひどい症状は、医者の診断を受けてほしい(一部、筆者補足)』」とあるように、医師法といった法令に関係する場合がある。
まとめ
 消費者を対象としたテレビ電話の利用は、テレビのCFなどでも有名な英会話スクールの事例などをみてもわかるように多くの可能性を秘めている。現時点をみればテレビ電話を利用して商品・役務を提供するというところまではまだいかないと思うが、出先の店頭での簡単な受付や商品案内などは十分可能かもしれない。

 なお本記事では、相手の顔を写して会話する映像・音声端末を「テレビ電話」として一口に述べているが、実際には画面のある電話や端末とパソコンとインターネットを利用したテレビ会議では仕様も機能も大きく変わる。このあたりは整理してご一読いただきたい。
■参考、引用文献
新六法(三省堂)
日本経済新聞
産経新聞
フジサンケイビジネスアイ
■お断り
本リポートは、ITビジネス起業者等へ法制度面のアドバイスをさせていただくことを趣旨としております。つきましては、内容の公正性を期するために公的機関等を除き、企業名、個人名等は原則として割愛しております。
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上田 英雅(うえだ ひでまさ)
ECリーガルアドバイザー
所属:NTTコミュニケーションズ(株) 経営企画部
専門:EC(電子商取引)、EC法制度
所属:情報ネットワーク法学会
出身:京都府