このページの本文へジャンプ

文字の大きさ

ここから本文です

インターネット法制度を知る!第6回 eクリスマス!

2004年12月20日

2004年eクリスマス!

 平成16年(2004年)も残すところあとわずか。今年もまたクリスマスの季節がやってきた。日本ではクリスマスもお正月の前に霞んでしまうところもあるが、欧米のクリスマスは一大イベント。この時期、恋人、家族、友人……と数多くの人がプレゼントを贈りあう。そうなれば、忙しくなるのはデパートやモールそしてEコマースである。米国では大量注文にサーバーダウンや、商品が配送できずお詫び状や買い物券等を送った事件など、記憶に新しいところだ。

 さて、そんな2004年のクリスマスであるが、日経BP社のオンラインサイト(*)が「米では大盛況。今年のeクリスマス商戦」と報じている。曰く「米国の今年のクリスマス商戦は、オンラインショッピング市場が爆発的な勢いで拡大し、クリスマスギフトなどをインターネットで購入する『eクリスマス』がすっかり定着した。調査会社の米ジュピター・コミュニケーションズによると、11月の感謝祭から12月のクリスマスまでの年末商戦の期間に消費者がインターネット上で支出した金額は60億ドルに達する見込みだ。そのうち50億ドルはギフト商品の購入に費やされ、10億ドルは航空券の購入など旅行関連に費やされると予測している。これは1998年に費やした31億ドルの2倍の金額だ。」という。

米国、eクリスマスのポイント!

 eクリスマスだが、「単に売上が上がった、下がった」ということだけでは本質を捉えていない。eクリスマス云々がメディアに取り上げられるということは、逆にいえばまだまだeクリスマスが珍しい存在であることの裏返しである。重要なことは、eクリスマスの売上の伸張ではなく、それを支える顧客層の階層、収入、年齢、性別、嗜好、購入商品・頻度・価格であり、何よりeコマースの何に価値(店頭での混雑回避、商品比較、配送連携など)を見出しているのかをみることである。

 この点について、先の日経BP社の記事は、以下のように指摘している。即ち、「昨年(2003年。筆者追加。)のeクリスマスの主役は、インターネットだけで直販を行うオンラインショッピング専門のサイトだった。インターネット上の書籍やビデオ販売の最大手であるアマゾン・ドット・コム、オンライン玩具販売のイートイズ、オンラインサービスの最大手であるアメリカ・オンライン(AOL)、検索エンジン最大手のヤフー」であったが、今年(2004年)のeクリスマスは、「しかし、こうした新興のオンライン企業に押されていた既存の小売業者が反攻に乗り出した。」という。

 具体的には「昨年はイートイズに話題を独占された玩具小売り大手のトイザラスは、今年に入ってオンライン販売を大幅に強化した。利用者が12月1日までに商品を購入した場合、送料を無料にし、なおかつオンラインで初めて購入するユーザーは25ドル以上の商品に限って10ドルを割り引くというキャンペーンを実施した。これはオンライン購入者だけの特典で、同じ商品を店頭で購入しても対象にはならない。それだけ今シーズンはオンライン販売に力を注いだというわけだ。書店大手のバーンズ・アンド・ノーブルも今年はギフト商品を取り揃え、アマゾンに奪われたシェアを取り返す構えだ。メイシーズやブルーミングデールズ、ニーマンマーカス、ノードストロームといった大手百貨店も、軒並みオンライン販売事業を強化し、店頭販売との連動を狙っている。(中略)米国でも日本と同じようにオンラインショッピング専門企業の認知度はまだまだ低く、消費者がインターネットでこれらの企業に対してクレジットカードなどの個人情報を送ることへの不安感は根強い。しかし、メイシーズやトイザラスのように店頭販売も行う既存の小売店がオンライン販売に乗り出すことで、消費者の不安感が薄れていくのは間違いない。(中略)勝敗を決するのは、店頭販売と同じように顧客との信頼関係を確立し、消費者が望む商品を揃え、販売後の優れたサポートを提供できるかどうかなのだ。」とリポートしているがまさに正鵠を得たものだ。

クリスマスプレゼントを配送できない場合の法的位置付けは?

 ところでeクリスマスに因む法的課題でもないが、例えば「クリスマス」という指定された時期までに商品を配送できない場合、法的には「債務不履行」という問題になる。「債務不履行」とは、民法(第四百十五条)が「債務者カ其債務ノ本旨ニ従ヒタル履行ヲ為ササルトキハ債権者ハ其損害ノ賠償ヲ請求スルコトヲ得債務者ノ責ニ帰スヘキ事由ニ因リテ履行ヲ為スコト能ハサルニ至リタルトキ亦同シ」と定めているように、契約によって取り決めた内容を実行しないことだ。この場合、損害賠償を請求できる。因みに一口に「債務不履行」といっても、(1)「履行遅滞」(履行が遅れ完了していない)、(2)「履行不能」(履行することができない)、(3)「不完全履行」(履行が終了していない)と三通りある。 なお冒頭の事例では、注文をサイト側(売主)でキャンセルしたということから、直ちに「債務不履行」となるかは微妙だが、契約の解除が有効かという別の問題は残る。(買い物券などを添えているのもこの理由。)
まとめ
 米国でeクリスマスが定着してきたことは述べたが、翻って日本ではどうだろうか?クリスマスにプレゼントを交換するという習慣は日本でも定着した。恋人達はそれぞれのパートナーに、子供達は両親等にプレゼントをねだる光景はよく目にする。しかし正確な統計がないので何ともいえないが、プレゼントの購入においては、Eコマースはまだ少数派であることは否めない。この原因解明には然るべき調査が必要だが、クリスマスならではのレストラン、デートスポット、ホテル情報などと上手く組み合わせてアピールすれば商機はあるかもしれない。
 最後に末筆ながら皆様が良いお年を迎えられることをお祈りする。
■参考、引用文献
新六法(三省堂)
日本経済新聞
■参考、引用URL
日経BP社
■お断り
本リポートは、ITビジネス起業者等へ法制度面のアドバイスをさせていただくことを趣旨としております。つきましては、内容の公正性を期するために公的機関等を除き、企業名、個人名等は原則として割愛しております。
なお本リポートの内容については、お客さまご自身その内容を判断するものとし、上田英雅又は本リポート掲載先サイトの管理者であるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社はいかなる保証も行わず、いかなる責任も負担いたしません。
バックナンバー
<< 前の記事
上田 英雅(うえだ ひでまさ)
ECリーガルアドバイザー
所属:NTTコミュニケーションズ(株) 経営企画部
専門:EC(電子商取引)、EC法制度
所属:情報ネットワーク法学会
出身:京都府