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インターネット法制度を知る!第5回 電子文書法始動!

2004年12月06日

平成17年4月、電子文書法施行!

 平成17年4月1日より電子文書法が施行されることが平成16年11月19日参議院本会議で可決、成立した。平成16年11月19日付けの日本経済新聞によると「同法により銀行法や証券取締法など二百五十一の関連法を一括改正した。法人税法などにより企業が一定期間、保存しなければならなかった財務や税務の関連書類、帳票などの多くが電子データで保存できるようになり、文書の保管に要していた企業の人件費、倉庫代などのコストが減る。内閣府は経済効果について『産業界全体で年三千億円』と試算している」ということだ。
 この電子文書法だが、e-文書法とも呼ばれているが正式には「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」及び「同法施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」というもので「e-Japan戦略II加速化パッケージ」の目玉施策の一つである。

電子文書法とは……?

 電子文書法の狙いは、紙での文書保存が「民間の経営活動や業務運営の効率化の阻害要因」となっている。また「情報通信技術の進展により、紙での保存に代えて、電子的に保存することが可能」となっていることから、法令で紙保存を定めているものは電子保存を原則(内閣官房IT室)とするというところにある。従って、「事業報告書」などこれまで紙で保存していたものを電子化できるので朗報となるだろう。ただ「電子保存を容認することが適当でないもの(※)については、適用除外とする規定を整備する。」ともあり、「※緊急時に即座に見読可能な状態にする必要があるもの(例)安全のため船舶に備え付けるべき手引書など。現物性が極めて高いもの(例)許可証、免許証など。条約による制約があるもの」(内閣官房IT室)については、電子化されるわけではない。

 また「民間から強い要望のある税務関係書類については、スキャナ方式による保存を容認する。相手方から受け取った見積書、契約の申込書、請求書等原則的に全ての書類を対象とする。(なお、適正公平な課税を確保するため、決算関係書類や帳簿、一部の契約書・領収書については、対象としない。)」(内閣官房IT室)という。今回の法令でも「財務諸表のうち損益計算書や貸借対照表、三万円以上の領収書は税務調査に支障が出ることからを理由に対象外とする見通しだ。」(平成16年11月19日、日本経済新聞)ということだ。ただ法定文書の電子化(電子的に作成する又は紙文書をスキャンする)を容認するということは業務の効率化を図る上で重要な要素だ。

電子文書法がもたらすビジネスへのインパクト!

 電子文書法がもたらすビジネスへのインパクトだが、法定文書(除く例外)の電子化容認をキーとした文書業務の電子化加速ということができる。無論、日常の業務そのものがペーパーレスとなるわけではない。しかしそれでも文書の基本が紙から電子へと移行していくことがもつ意味は潜在的に大きい。
 文書はいうまでもなく生成、流通、廃棄と一連のサイクルをもつ。そしてそのサイクルの中には、「署名」、「配送」、「保管」、「公証」という物理的、認証的なプロセスを伴う。しかし、文書を紙で管理する限り、「場所」と「時間」の制約を受けることになる。しかも、文書は常に改ざん、紛失のリスクを負っている。公的機関に提出する法定文書が仮に文書数枚であっても、企業等の中ではそこに至るまでに膨大な文書プロセスを必要とする。しかもそのプロセスは長い。電子契約、電子稟議、電子広報など企業等の業務が電子化していく中で、今回の法定文書の電子化容認はBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)の観点からも大きな意味をもつことは明らかだ。

 因みにこの電子文書法は、平成10年7月1日より施行された電子帳簿保存法(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)、平成13年4月1日より施行された「IT書面一括法」(書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法律の整備に関する法律)と無関係ではない。前者の電子帳簿保存法は、国税を対象に国税関係帳簿書類の電磁的記録又は電子計算機出力マイクロフィルムによる保存制度を認めるとともに電子取引(EDI取引等)の取引情報に係る電磁的記録の保存制度を定めたものであった。また後者のIT書面一括法は、民間商取引に関する書面交付等の義務について、相手方の承諾を得て、書面の交付に代えて、書面に記載すべき事項を情報通信の技術を利用する方法により提供することができるようにしたものであったが、今回の電子文書法は、納税、電子商取引以外の広範囲な電子文書を推進するという意味で大きな意味をもつ。
まとめ
 現状の業務の多くは紙文書に依存している。またパソコンなど端末を利用しなくともペンさえあれば自由に作成し、その後は簡単に閲覧、移動、保管できるという紙の特性を考えれば、全ての文書が電子に置き換わるというのは考えにくい。かくいう私もこの原稿はパソコンで作成しているが、資料は紙の新聞や本であったりする。しかし、電子文書には場所をとらない、必要な措置をとれば改ざんにも強く、検索や加工が容易という紙にない特性をもつ。日時を認証するタイムスタンプサービスなどが普及すれば電子文書が一気に普及していくということは想像に難くない。コンピューターが発明されて半世紀近く。今回の電子文書法はひとつ区切りをつけたかもしれない。
■参考、引用文献
新六法(三省堂)
日本経済新聞
■参考、引用URL
内閣官房
首相官邸
■お断り
本リポートは、ITビジネス起業者等へ法制度面のアドバイスをさせていただくことを趣旨としております。つきましては、内容の公正性を期するために公的機関等を除き、企業名、個人名等は原則として割愛しております。
なお本リポートの内容については、お客さまご自身その内容を判断するものとし、上田英雅又は本リポート掲載先サイトの管理者であるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社はいかなる保証も行わず、いかなる責任も負担いたしません。
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上田 英雅(うえだ ひでまさ)
ECリーガルアドバイザー
所属:NTTコミュニケーションズ(株) 経営企画部
専門:EC(電子商取引)、EC法制度
所属:情報ネットワーク法学会
出身:京都府