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インターネット法制度を知る!第1回 ECサイト価格誤表示。錯誤、赤字販売?

2004年07月08日

パソコン一台 ¥19,800円。

 パソコン一台、¥19,800円という表示は、ある商社系企業A社のECサイトに表示されたプライスだ。もちろん中古や旧版のパソコンではない。れっきとした大手有名パソコンメーカーの新製品だ。原因はもちろん価格の誤表示だ。これが店頭なら店員がたちまち気づいただろう。だが膨大な商品を扱うことが可能なネットショップ。誤表示を見つけるのは並大抵でない。そして恐れていたことがついに起こった。

何が原因か・・・

 本件は、著名な事件なので多くの方々は詳細をご存知だろう。また本リポートの目的は、個別の事件概要をお伝えすることではなく、事件に関係する法制度についてリポートすることなので事件自体の詳細は割愛する。さて以上を踏まえた上で申し上げるが、原因は単純である。つまり単に「0」がひとつ足らないサイトをオープンしたこと、ただそれだけである。しかし問題をより大きくしたのは、こうした価格誤表示の情報が不特定多数の方がみる掲示板サイトに掲載されたこと、注文オーダーに対して注文承りのオートメールが設定され自動的に受付していたこと、価格誤表示が休日の間に流布し担当者がそのことに気づくまでに日にちを要したことのこの三点である。そして休日明けに出勤してきた担当者は、大量の「注文」メールが到着しているのを見てはじめて事の重大さに気づくことになった。

価格誤表示による「注文」は有効か?

 店頭なら価格誤表示の商品がレジスターのところに持ってこられただけで多くの店員が気づくであろう。新品のパソコン一台が2万円でお釣りがくるなどありえない。しかし、人手をかえさない電子商取引。注文データに過不足でもない限り注文は勝手に受け付けてしまう。だからこそサイトオープンには絶対の注意が必要だ。しかし、本件では既に後の祭りだ。大赤字を覚悟で「受注」するか、注文者に事情を説明し「注文」を取り消しさせてもらうか・・・・。二つに一つである。ただ、仮に「注文」を取り消しさせてもらうにせよその法的な根拠は何処に求めればいいのか?それが錯誤である。


民法第九十五条(錯誤による意思表示) 意思表示ハ法律行為ノ要素ニ錯誤アリタルトキハ無効トス但表意者ニ重大ナル過失アリタルトキハ表意者自ラ其無効ヲ主張スルコトヲ得ス


条文がかな混ざりなので読みにくいと思うが、内容は法律行為において重大な過失がある場合は無効を主張できるというものである。ここでは本来、「\198,000」という価格のものを「¥19,800」と誤って表示した。他のパソコン類はいずれも十数万円の価格であり、これはあきらかに価格誤表示であろう。しかし消費者にとっては、それは関係ない話しであって誤りであろうと何であろうと「¥19,800」と表示した以上はその価格で販売すべきだという主張もある。無論、一人で何台も「注文」するという悪質なものもある。ただそれでも「注文」は「注文」だ。

まとめ
さて本テーマのまとめだが、結論からいえばケースバイケースとなる。なぜなら誤表示に基づいた「注文」を取り消すにも法的にはあくまで「無効を主張することができる」にすぎないという背景があるからだ。つまり「注文」が無効か有効かは最終的には訴訟に依存する。そして何より訴訟費用や時間をかけ信用を無にしてまでも争うのか・・・・。このあたりはサイトオーナーのご判断次第だ。因みに冒頭でとりあげた商社系企業A社のサイトは、「信用」を重んじ「注文」に従って販売された。ただ他の事例では謝罪文、商品券、クーポン券などを沿えるなどして「注文」を取り消した場合もある。いずれにせよ経営課題としての観点から慎重な判断が重要だ。 なおオートリプライメールについては特に触れなかったが、「注文」に対する「返信」だけで取引が完了するような表現には工夫が必要だろう。
■参考、引用文献
新六法(三省堂)
■参考、引用URL
日本経済新聞
■お断り
本リポートは、ITビジネス起業者等へ法制度面のアドバイスをさせていただくことを趣旨としております。つきましては、内容の公正性を期するために公的機関等を除き、企業名、個人名等は原則として割愛しております。
なお本リポートの内容については、お客さまご自身その内容を判断するものとし、上田英雅又は本リポート掲載先サイトの管理者であるエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社はいかなる保証も行わず、いかなる責任も負担いたしません。
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上田 英雅(うえだ ひでまさ)
ECリーガルアドバイザー
所属:NTTコミュニケーションズ(株) 経営企画部
専門:EC(電子商取引)、EC法制度
所属:情報ネットワーク法学会
出身:京都府