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ビジネスのツボ

八宮松雪堂
地に足の着いた着実な「効率化」で 地元に愛されつづける和菓子店をめざす
八宮松雪堂は、1924年創業の和菓子店。埼玉県秩父郡小鹿野町で、地元の人たちに愛されてきた。2002年、この老舗を継承したのは、三代目の若い当主夫妻。和菓子業界が苦戦する時代のなかで、若い二人がめざす和菓子店像とは、そして経営効率化のための作戦とは・・・。
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家族のチームワークで老舗の転換期を乗り越える
お菓子組み合わせ「小鹿野こいし」と「弥作まんじゅう」は、定番の人気商品。素朴な味わいのなかにつくる人の思いがこもっている。
お菓子組み合わせ「小鹿野こいし」と「弥作まんじゅう」は、定番の人気商品。素朴な味わいのなかにつくる人の思いがこもっている。
 
--- 八宮松雪堂の地元・小鹿野町は、江戸後期に起源をもつ「おがの歌舞伎」で知られる文化と伝統の町である。日々の楽しみに、慶事や仏事に、贈答品にと、和菓子は人びとの暮らしにいまも根づいている。創業者をはじめ、八宮松雪堂の当主は皆、研究熱心。オリジナルの郷土銘菓や洋菓子の感覚を採り入れた和菓子などを開発、その素朴な風合いと美味しさでファンを拡大してきた。この堅実な経営に転機が訪れたのは2001年末、二代目当主の急逝だった。

「妻は二代目の長女でもともと店を継ぐ意思をもっていましたし、私もモノをつくるのは大好きなたち。会社を辞めて一から和菓子づくりの修業をしました。義父の時代から製造に関わってきたベテランのパートさん、経営を補佐してきた義母と、みんなの協力で切り抜けてこられました」

--- 三代目当主となった八宮悟さんも、先代・先々代同様に研究熱心。努力とラグビーで鍛えたバイタリティ、若さで、みるみる腕をあげていった。通常は朝7時から製造開始、「お祝いの大福100個」など大口注文を受けた日は朝三時に起床する日々だが、少しも苦にならないという。

「定評のある菓子ですから、いつ食べても同じ美味しさであることが絶対条件。焼く・こねるなどの技術より、季節や温度、湿度によって卵や粉の配合を変えるといった勘どころが難しいですね」

--- 悟さんは「製造部主任」、妻の綾子さんは販売担当、綾子さんのお母さんは経理担当と、八宮松雪堂の新体制は息もぴったり。84年つづいた伝統は、しっかりと受け継がれたのである。

「いまの課題は、新しい和菓子の開発ですね。義父が創作した和風ソフトクッキー『小鹿野こいし』は、他にはない商品ですし、赤ちゃんからお年寄りまで幅広い人気を得ている。小さな子が『この袋のお菓子食べたい』って指さすんです。これにつづく商品を創り出したいと、時間を見つけては挑戦しています」
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伝統をしっかりと守りつなぎたいから効率化を推進する
老舗の歴史を感じさせる店舗。携帯ストラップなど、奥様のアイデアの新商品も。
老舗の歴史を感じさせる店舗。携帯ストラップなど、奥様のアイデアの新商品も。
 
--- 洋菓子人気に対抗して新感覚の和菓子もいろいろ開発されている昨今だが、八宮悟さんがこだわるのは「地元の人に愛される菓子」。だから、見た目の良さより、味と価格に目を向けている。

「八宮松雪堂の商品は、まんじゅうのように食べ応えがあり、価格も手頃な和菓子が中心。よそゆきではなく、暮らしに溶け込んだ和菓子を大切にしたいと思っています」

--- 価格帯は低め、店舗の所在地は率直にいって不便。経営的には決して恵まれた環境ではない。八宮さんご夫妻は、伝統を守る一方で、業務の効率化にも積極的に取り組んでいる。従来の4段式から8段式へとオーブンを入れ替えたのもその一貫だ。

「一度に焼ける量を増やすことで、人件費のコストと時間が削減できましたね。人件費のコスト削減は経営のためですが、時間は家族のため。子どもと過ごす時間も、自分が遊ぶ時間も増えました(笑)」

--- 次のステップはITの活用である。

「いまは義母が経理をみていますが、そろそろ妻が引き継ぐ予定。パソコンでの経理や販売管理へと移行していこうと思っています。まだ、パソコンの練習をしている段階ですが、彼女はやるときにはやる人。意外に早いかもしれませんね」

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実験でスタートしたITでの効率化パワーに注目
「手づくりのお菓子」が八宮松雪堂の売り。味と効率の両立が三代目のテーマのひとつ。
「手づくりのお菓子」が八宮松雪堂の売り。味と効率の両立が三代目のテーマのひとつ。
 
--- 業務効率化につながる手法として、八宮さんがもうひとつ注目しているのが、ホームページである。開設は、2005年4月。八宮さんは当初、あくまで「実験」として捉えていた。

「実は前にも、友人がホームページの原形をつくってくれたことがあるんですが、そのときも内心では『見る人がいるの?』と懐疑的でした。まあ試してみようと開設したら、北海道や九州、中国地方など、遠方からご注文をいただいたのには、ちょっと驚きましたね。電話でのやりとりより、コスト面でも時間の面でも効率的だと改めて見直しました」

--- ホームページは独学で開設、ブログも始めた八宮さんだが、それまでITにはどちらかといえば無関心だった。

「東京で働いている友人がバリバリ使って仕事しているのを聞いて、おいていかれた感を覚えたんです。これじゃマズイと、必死に勉強しました(笑)。ホームページやブログを始めて、改めて思ったのは、ITは町の活性化にも役立つのではないか、ということ。活気のある商店街は、コミュニティサイトなども活発ですからね。商工会青年部での活用から考えてみたいなと思っています」

--- 八宮松雪堂が三代目へと引き継がれてから6年、新しい時代の新しい店づくりは着実に軌道に乗りはじめている。

「例えば、インターネット通販にしてもコンテンツにしても、もっと充実させたいなと思うこともあります。でも、手を広げすぎたり、ムリに経営を拡大したくはないんです。太からず・細からずのちょうどいいサイズで、美味しい和菓子と伝統を長く伝えていきたいと思っています」
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我が社のIT度チェック
IT活用度を自己採点してもらいました。
「友だちとの会話感覚で書いている」というブログも好評。読んでいると地元の人から声をかけられることも。
「実験」のつもりで始めたインターネット通販がIT活用を考えるきっかけに。本格的活用に向けて準備を進めているところだ。
パソコン度
現在はホームページ中心だが、今後は経理や販売管理に活用の予定。
モバイル度
店舗中心の仕事なので必要度は低い。主な用途は子供たちのお迎え連絡。
メール度
サッカー仲間や地元の若手商店主とのやりとりに活用。
インタビュー後の総評
独学でスキルを習得したご主人と現在勉強中の奥様。現状の活用度は、そう高くはないが今後の期待は大。無理や背伸びをせず、規模と必要性に見合ったIT活用を進める姿勢は参考にしたい。
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掲載企業概要 Company Profile
八宮松雪堂
代表者 八宮悟
創業 1924年
事業内容 和菓子製造・販売
本社 埼玉県秩父郡小鹿野町大字小鹿野1882番地
http://www.hachimiya.jp/
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