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ビジネスに勝つ 三種の神器07

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アドバイザー不在の業界にチャレンジ。見送る人の立場で「満足できる葬儀」をサポート
代表 市川愛さん
葬儀相談・コンサルティング業務を行うリリーフを設立した市川愛さんは、日本で最初の葬儀相談員。服飾メーカーの企画職・葬儀エージェントのコーディネーターを経て、2004年に独立した。プロのアドバイザーとして見送る人が満足できる葬儀をサポートし、不透明性が残る業界の改革を変えることに意欲を燃やしている。そんな市川さんを支え、「人の役に立つ」ビジネスの動力となる三種の神器とは。
インタビュー
Interview
神器01 プロ意識
「葬儀相談員」というのは耳慣れない言葉ですが、どんなことをなさるお仕事ですか。
 一言でいえば、ご家族の立場にたって葬儀をサポートする仕事です。お葬式を出すということは見送る側にとってとても大変なことですし、わからないことがすごく多いんですね。予想以上にお金がかかる・葬儀社によって値段が違うといったウワサを耳にしていても、いざ自分のことになるとどうすればいいのかわからない、という方がほとんどです。かといって親戚に尋ねるわけにもいかないし、ご近所の方にも話せない。誰にも相談できないんですね。東京都生活文化局の調査によると、80%の人が不安を抱えているそうです。この不安やリスクを解消し、満足できる葬儀になるようお手伝いをするのが、私の仕事。どんな葬儀にしたいのかご希望を聞き、それにふさわしい葬儀社の選定、見積りのチェック、交渉の代行などを行います。
プロとしてのこだわりが感じられる申込書や葬儀社への見積り等チェックシートは、オリジナル。ヒアリングには2〜3時間かけ、録音したものをあとで聞き直し綿密なプランを練り上げる。
プロとしてのこだわりが感じられる申込書や葬儀社への見積り等チェックシートは、オリジナル。ヒアリングには2〜3時間かけ、録音したものをあとで聞き直し綿密なプランを練り上げる。
満足できる葬儀とは、具体的にはどんなものだとお考えですか。
 私は、お葬式は、亡くなったという事実に対して、故人の周りの方が「区切り」をつけるためのものだと捉えています。区切りは、気持ちの節目であり、社会に対する区切りでもある。お葬式はこうあるべきというのは、一切ないと思っています。ですから見送る側が、これでよかったと納得できること、費用の面でもその後の生活に支障がでないものであることが大事なんです。
 こうしたことは、ごく当たり前のことなのに、なかなか実現できなかった要因の一つが、葬儀業界の古い体質でした。例えば、葬儀費用というと普通は「葬儀に関わる費用全部」と解釈しますが、葬儀業界では祭壇や柩、人件費の部分だけ。必ず必要なものにもかかわらず、斎場の費用や飲食費などは実費費用として別に計上され、最後になって請求に加えられます。最初にキチンと説明されていたらまだいいのですが、それすらないケースもあります。また、お葬式には定価がありませんし、見積りが適性なのかどうか普通の人では判断できません。こうした不透明性が、さまざまなトラブルを引き起してきました。普通の業界では考えられないことが依然として存在している状況を変えたいという思いが強くあります。
業界からの反発も、相当強いのではありませんか。
 葬儀相談員として独立したのは2004年ですが、当初は「ジャンヌ・ダルク気取りか」と言われりたりしましたね。だから逆手に取って「葬儀業界のジャンヌ・ダルクと呼ばれています」をキャッチフレーズにした頃もありました(笑)。いまでも反発がないわけではありませんが、若い世代の経営者を中心に私の考え方に賛同してくださる葬儀社も増えてきまし、「市川さんが関わっているなら」と気合を入れて対応してくださるところも出てきました。2005年からは、お客様が何を求めているのか、どうしたらお客様の要望に応えることができるかなど、葬儀社へのコンサルティングも開始しています。
いままでにどのくらいの葬儀に関わられたのですか。
 ご質問への回答まで含めると、2年間で約450件を超えました。それだけ不安や不満を抱いている方が多いということですね。納得していただける葬儀をサポートするために一人のお客様に集中し、じっくりお話を聞くという方針は変えたくないと思っています。
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神器02 ホームページ
リリーフのホームページは、葬儀の基礎知識やお金の話など知りたい情報が満載。市川さんの考え方もキチンと伝えられている。
リリーフのホームページは、葬儀の基礎知識やお金の話など知りたい情報が満載。市川さんの考え方もキチンと伝えられている。
事前準備が中心ということですが、亡くなられる前に葬儀の相談や準備をするということに抵抗を感じる人も多いのではありませんか。
 もちろんとても多いですね。割合からすると現在でも、事前準備を考える方は、ほんの一握りだと思います。その一方で、例えば身内の方への「告知」を期に相談する決心をされた方や、自分の葬儀を考えたいという方は確実に増えています。つい先日も、迷惑をかけたくないから社葬はイヤという90代の男性のサポートをしました。依頼される方は、30代から90代までと幅広いですが、多いのは40代〜50代。男女比は4対6で女性が多いですね。みなさん「どうしたらいいのだろう」とお腹のなかに不安を抱えている。辛い思いをされていますから、話だけでも気持ちがグンとラクになるんですね。その度に、お役に立ててよかったと心から思います。
事前準備で特に重視されているのは、どんなことですか。
 満足できる葬儀であるためには、スタイルや規模、費用などがご要望にマッチしたものであることが大事です。だから、ヒアリングには時間をかけ、対象者の生活スタイルや趣味、周囲の方との関係などを伺い、それに添ってプランニングをします。プランニング用のシートも、私なりに工夫したものです。で、プランを了解いただけたら、葬儀社の選定、打合せという手順。葬儀社を選ぶ際には、応対の誠実さや雰囲気などを重視します。
 もう一つ気をつけているのは、服装です。最初はダークスーツで依頼者のご自宅を訪問していたのですが、改まりすぎてかえって話しずらいと気づいて、スーツは着ないと決めました。近所の親しい方と話すときのような、気持ちの負担のないものにしたいので、柔らかい雰囲気の服を選んで着ています。
メールマガジンやコンテンツに力を入れておられるなど、インターネットの活用を重視されているように思いますが。
 ホームペーシは、私の会社にとって窓口そのもの。検索エンジンで探して「訪問」されたり、お問い合わせをなさる方がほとんどです。サポートしたお客様のなかにも仙台や鹿児島、福岡など遠方の方がいらっしゃいますし、地域を限定せず、希望される方に対応できることもインターネットならではだと思います。
 メールマガジンは、相談窓口を設立する前から発行していて、毎週書いていました。だんだん読者がついきて、初めてのお客様はそこからでした。そして徐々に事業として回っていくようになりました。
「事前準備」についても、ホームページで細かく説明しておられますね。ここまで公開すると真似されるのではありませんか。
 誰にとっても必ず必要になる情報ですから、知識やノウハウは、積極的に公開していきいます。それで真似する方がでてきても、全然構いません。わからないまま慣習に流されたり、葬儀社の言いなりになったりして後悔するという循環を、断ち切りたいからです。真似する人が増えて、業界が変われば嬉しいと思っています。
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神器03 先行投資
市川さんが葬儀業界に入る前の仕事は服飾メーカーの企画ですね。随分、思い切った転身のように思えますが、ご自分にとっては必然ですか。
 天職にめぐり会ったと思っています。前の会社が傾いてしまい、職探しをしているとき、日本初の葬儀エージェント会社に応募したのが、直接のキッカケでした。人の役に立つ仕事をしたいと思っていましたから、違和感やためらいはありませんでしたね。その会社で働いているとき、葬儀業界のあり方に衝撃を受けたんです。結婚式にはウエディング・プランナーがいるし、マンション購入なら不動産鑑定士がいる、保険であればファイナンシャル・プランナーがいます。なんで葬儀業界には第三者のプロがいなんだろうと思ったんです。そういうプロも会社もどこにもなかったので、自分で起業することにしました。いま思うと、世間知らずの無謀な決断でしたけれども(笑)。はじめは半年ぐらいのつもりでしたが、結果的には準備に1年ぐらいかかりましたね。ホームページのつくり方を一から学んだり、起業セミナーやマーケティングの勉強をしたりで、その間、100万から150万円くらい投資しました(笑)。
葬式や相続の問題を、事例をもとにストーリー形式で紹介した、市川さんの初著作。このジャンルの書籍では異例なほど売れている。
葬式や相続の問題を、事例をもとにストーリー形式で紹介した、市川さんの初著作。このジャンルの書籍では異例なほど売れている。
本を書かれたり、講演やセミナーをなさったりと、積極的に活動されていますが、いま課題とされているのはどんなことですか。
 乱暴な言い方をすれば、葬儀は、いわば三日間で終わるイベントですが、葬儀に付随して、相続やお墓など人の死にまつわることはまだいろいろあります。葬儀や仏事、お墓、相続など、残された方が知りたい情報が得られ、相談もできる。そうしたサイトをオープンします。それぞれの専門家とリンクし、8月に公開しました。
最後に、起業されてご自分で変わったと思う点を教えてください。
 起業して思ったのは、お金はただ働いただけじゃ入ってこないんだということでした。いくら働いても、ただ働いただけでは企業としての収益にはなりません。働くことだけでお金がもらえたOL時代と、そこが一番違うところ。会社や事業が必要とされて、はじめてお金になると実感しました。
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掲載企業概要 Company Profile
リリーフ
代表者/市川愛
事業内容/葬儀相談・コンサルティング
http://www.re-lief.com/
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