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ビジネスに勝つ 三種の神器05

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「食卓で使える器」を、手描きでつくりだす
代表 篠崎幸二さん
「アトリエ篠」は、手描きで絵付けし、高温で焼き付けるグラスアートのパイオニア。主婦を中心としたメンバーが、「食卓で使える美しい器」づくりに、プロの職人として取り組んでいる。長野県諏訪市の北澤美術館をはじめ長年の取引先の評価は大。創業者の子息・篠崎幸二さん、描き手の小笠原佳子さん・平山淳子さんが語る、事業の軌跡とは。そして三種の神器とは。
インタビュー
Interview
神器01 主婦パワーとチームワーク
グラスアートの制作を始めてから30年近くになられるそうですね。
(篠崎)私の母・篠崎幸子が1980年頃に東京世田谷の自宅で始めた工房がもとになっています。ガラス器にエナメル絵の具で絵つけをし、500度を超える高温で焼き付けるという手法は、ヨーロッパでは伝統的な技法です。いまでは日本でも制作される方がいますが、母が始めた当時はほぼ皆無。資料を調べながら、独学で完成させました。
(小笠原)篠崎先生は手仕事の名人で、フランス刺繍を教えておられました。「アトリエ篠」のグラスアートにはフランス刺繍の図柄や雰囲気が活かされていますし、メンバーはフランス刺繍時代からの弟子が残っています。グラスアートの制作で、先生がポリシーにされていたのは、「食卓の器として使えるものをつくる」ということなんです。お豆腐でも野菜でも、きれいな器に盛ると食卓に彩が加わり、気持ちも豊かになるんです。同じ主婦として共感できますから、2003年に先生が亡くなられたあとも、その思いはメンバーがしっかりと受け継いでいます。
手描きしたガラス器は、560度の高温で約5時間焼かれる。周囲のニクロム線に触れずに熱が十分回るよう納めるのも、プロの技。
手描きしたガラス器は、560度の高温で約5時間焼かれる。周囲のニクロム線に触れずに熱が十分回るよう納めるのも、プロの技。
事業化への道は、どう開いてこられたのですか。
(小笠原)直接のキッカケは、25年ほど前に工房として百貨店で開催された「手作りフェア」に出店したことですね。作品が長野県諏訪市の北澤美術館の館長さんの目にとまり、販売したいから納品してほしいという話になりました。各地の美術館や百貨店への販路は、その実績から開けたものです。
篠崎先生が亡くなられたとき、一時は閉鎖しようと考えられたそうですね。
(篠崎)母の子どもは男二人で、それぞれ仕事をもっていますから、専業として関わるのは難しいという事情もありました。でも、母のライフワークでしたし、母やお弟子さんたちが頑張って築いてきたものを辞めてしまうのは惜しいと思った。現在では、以前からのメンバーを中心に4〜5人が描き手として制作をつづけ、私が仕事の傍ら在庫管理や発送業務、経理などを担当しています。描くのはさすがにムリですが、「アトリエ篠」に関わるようになってから花の名前は随分、覚えましたね(笑)
(小笠原)きれいな仕事でいいわね、とよく言われますが、窯入れや窯出し、発送などは力仕事。男手が加わって助かっています(笑)
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神器02 筆
絵付けに使う筆は、いずれもごく細いもの。繊細な筆遣いから、いきいとした花が生まれる。
絵付けに使う筆は、いずれもごく細いもの。繊細な筆遣いから、いきいとした花が生まれる。
一点づつ手描きで絵付けされるとなると、品質の維持や量産などで難しい面もあるのではありませんか。
(小笠原)買っていただくためには、期待を裏切らない品質を保っていかなければなりません。「アトリエ篠」のグラスアートの持ち味であるきれいな絵と光沢のある発色を出すのは、職人仕事なんです。絵は下絵なしで描きますから熟練が必要ですし、光沢を出すためにはエナメルを根気よく練ることと、窯の管理が欠かせません。電気の窯ですからお任せでいいようですが、そうはいかない(笑)。湿気のある日は好ましくないし、連続して使うのもダメですね。
(平山)絵の具は艶が出るまで練らないと、仕上がりがザラついたり、絵柄が割れてしまうんです。焼くときは庫内に発生するガスに十分気をつけないと、赤い花が黒に化けたりしてしまう(笑)。量産という意味では、直径12cm程度の小鉢で1時間に5枚程度。一日5時間、細い筆をもって頑張っていますが、不思議に肩は凝りませんね。
流れ作業ではなく、一人で完成まで描かれるんですか。
(小笠原)ごく特殊なものを除いて、一人で描きます。
平山 だから誰が描いたかわかる(笑)。職人仕事ですから、長くつづけるほど絵がよくなりますね。
フランス刺繍の雰囲気を大事にしておられるということですが、新しい絵柄を工夫されたりもなさるんですか。
(小笠原)花の絵柄は50種類ほどありますが、季節や注文に合わせて新しい柄も考えます。日頃から花を育てたり、見に行ったりもしている。花が好きでないとできない仕事だといえますね。
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神器03 定番商品
長年やっておられると定番商品や固定客も多いのではないですか。
(小笠原)確かに「アトリエ篠」のファンの方はいらっしゃいますが、そういう方はすでに一通り買い求めておられます。人気の高いのはハーブ柄。定番商品ですし、売れ筋ですね。
篠崎 日常の器ですが必需品ではありませんし、手描き・手作りですからプリントの製品よりどうしても価格は高くなります。事業としては景気に左右される面が大きい。特にバブル崩壊の影響はもろに響きました。現在は、ガラス卸売りの某社を通した仕事が8割、残り2割が自社販売です。
小笠原 バブル崩壊後は、きれいな器で食を楽しむというゆとりがなくなっているように思います。日本人の食卓や気持ちが貧しくなっているのは、とても寂しいし、残念に思います。
篠崎さんを除くメンバーは全員主婦だが、仕事中は職人そのもの。集中して描いていると無心の境地に入るという。
篠崎さんを除くメンバーは全員主婦だが、仕事中は職人そのもの。集中して描いていると無心の境地に入るという。
いま課題とされているのは、販路の拡大ですか。
(篠崎)大儲けしたいとは思いませんが、頑張ってくれているメンバーのためにも事業としての適切な利益は確保していきたいと思っています。この4月にホームページを開設したのも、もっと多くの人に「アトリエ篠」のグラスアートを知ってほしいから。期待ほど反響がないなというのが正直なところですが、諦めずに工夫していきたいと思っています。
ホームページを自作された経験から、こういう仕組みがほしいというのはありませんか。
(篠崎)参考書と首っ引きで半年かかりましたからね(笑)。検索エンジンはいろいろありますし、ほとんどの人が利用しているのに、必ずしもほしい情報にヒットするとはいえません。ほしい人にほしい情報がキッチリ届くシステムができると嬉しいですね。
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掲載企業概要 Company Profile
アトリエ篠
代表者/篠崎幸二
設立/1980年代初頭
事業内容/手描きグラスアートの制作・販売
http://www.shino-glassart.ecnet.jp/
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