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ビジネスに勝つ 三種の神器03

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代表 齋藤貴俊さん
伝統を守りながら、時代にあった「和菓子屋」に挑む
代表 齋藤貴俊さん
池袋三原堂は、創業70余年の和菓子の老舗。食の欧米化に伴う「甘いもの=洋菓子」の時代のなか、伝統に根ざしながらも、新しい和菓子と和菓子店のあり方に意欲的に挑戦している。三代目を担う齋藤貴俊さんのめざす、新しい店のあり方とは。そして、老舗がビジネスに勝つ三種の神器とは。
インタビュー
Interview
神器01 のれん
池袋三原堂さんは創業70年の老舗で、齋藤さんで三代目ですね。
祖父が日本橋人形町の三原堂総本店からのれん分けして頂いて、昭和12年に開業したのがはじまりです。祖父は丁稚奉公から始めた人ですから、和菓子への思いは人一倍強い人でした。「材料に妥協してはいけない、手間を惜しんではいけない」という祖父の信念は、いまも受け継がれています。例えば、寒天はいまでも天草を煮出して手作りしている。手間もコストもかかりますし、夏は地獄です(笑)。でも、やはりお客様に「美味しい」と評価していただけますね。
三原堂総本店伝統の家紋を受け継いだのれん。和菓子の伝統と歴史、そしてモノづくりへの誇りが凝縮されている。
三原堂総本店伝統の家紋を受け継いだのれん。和菓子の伝統と歴史、そしてモノづくりへの誇りが凝縮されている。
食が欧米化していくなか、甘味も洋風のものが好まれているように思います。和菓子の伝統を守っていくのは大変ではありませんか。
僕が生まれる前、昭和30〜40年代に洋菓子の台頭で、当店も大きな危機に見舞われたと聞いています。そんなとき支えてくださったのが、お茶の先生や料亭など古くからのご贔屓のお客様でした。いまでも「三原堂でなくちゃ」と通ってきてくださるお客様がおられる。なかには親子四代目という方もいらっしゃいます。のれんと伝統を大切にしながら、いかに新しいモノを取り入れていくかが大切だと思っています。
新しいモノを取り入れていくというのは、どういったところですか。
一つは甘味そのもの、もう一つは経営のあり方です。昔のレシピをみると、砂糖の量がとても多かったのです。これは保存のために必要だったことと、甘いものが貴重だった時代だったからです。伝統の甘味を踏まえつつ、いまのお客様の舌や好みに合う甘さを作り出すことがポイントだと思います。具体例でいうと、砂糖の甘さを全面に出す代わりに、もっと小豆の風味を活かそうといったことです。
甘さの好みは個人差が大きいように思いますし、経営的には広く受け入れられるものでなければならない。その辺は、どう見極められていらっしゃるんですか。
お客様のご意見ももちろん参考にしますが、基本的には自分たちでいろいろ工夫や研究をし、自分たちが美味しいと自信をもてるものをお出しています。
もう一つの経営という面でも、やはり独自性が大事だと思うんです。和菓子屋というのは、個人経営の小さな店が多いんですね。箱や包装紙一つにしても、百貨店や全国チェーンの大型店の戦略やサービスには負けてしまいますから。かといって、そういうライバルと張り合うのは得策ではないと思う。和菓子専門店ならではの独自性をどう打ち出していくか、業界としての課題でもありますね。和菓子組合の青年部でも、よく意見交換をしています。
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神器02 オリジナル商品
伝統の大最中(右)と、新商品の「池ぶくろう最中」(左)。サイズや包装にも、客層や好みへの配慮が伺える。
伝統の大最中(右)と、新商品の「池ぶくろう最中」(左)。サイズや包装にも、客層や好みへの配慮が伺える。
齋藤さんご自身が、いま課題としているのはどんなことですか。
子どもや若い世代に、和菓子をもっと親しんでもらうことです。当店にアルバイトにきた学生の中にもいましたが、「あんこ」がダメという若い人は意外に多い。そんな子達が、当店の和菓子を食べてからは、和菓子好きになってくれたんです。小さい頃に和菓子を食べる習慣がなかったり、粗悪なものを食べて、悪印象を持ってしまっていたのでしょうね。「あんこ」は和菓子の生命ですから、何とかもっと本物に親しんでもらいたいと、3年前に開発したのが「池ぶくろう最中」です。
池袋の象徴である「ふくろう」をかたちにしたんですね。
小さいお子さんにも親しんでもらえるように、形も可愛くしました。気取らないで食べられ、手軽に手を出しやすい最中をキッカケに和菓子を好きになってほしいし、上生菓子のイメージからでしょうか、何となく入りづらいという和菓子屋の敷居を低くしたいという思いもありました。
「池袋 乱歩の蔵」というお菓子もありますね。地元への思いも強いように思いますが。
僕にとって池袋は故郷ですし、地元あっての当店だと思っていますから、街を盛り上げたいという気持ちは確かにありますね。実は、「乱歩の蔵」というお菓子を出したのは、江戸川乱歩先生に当店がご贔屓を頂き、よくお菓子をお求めくださっていたからなんです。これからも地元に根ざしたもの、懐かしさを感じさせながらも新しい商品を増やしていきたいと思っています。また、様々な情報発信を積極的にやって、和菓子に親しむキッカケづくりや購入の動機づけにしていきたいと思っています。
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神器03 ホームページ
ホームページをつくられたのも情報発信の一貫ですか。
正直にいうと、NTTコミュニケーションズの営業マンの方に薦められたのがキッカケ。僕自身はホームページの効果にはさほど期待はしていなかったんです。でも、実際に開設したら、予想以上の反響があった。メールでの問い合わせがかなり来ましたし、北海道など思ってもみないところからアクセスもありました。メールでの対応は限度があるし、もっと力を入れた方がいいと思ったので、1年後にホームページをリニューアルし、あわせてネットショップをオープンしました。
ネットショップを併設したホームページ。池袋のイベント情報を載せている点にも、地元への思いが伝わってくる。
ネットショップを併設したホームページ。池袋のイベント情報を載せている点にも、地元への思いが伝わってくる。
ネットショップの運営で難しさを感じられるのはどんな点ですか。
価格設定でしょうね。「材料に妥協しない」という当店のポリシーを守りつつ、どう手頃な価格にしていくかです。大型のショップと違って、送料を無料にするのは採算上困難ですから、送料が有料でもお客様に納得していただける商品を提供していかないといけない。その兼ね合いも難しいですね。でも、お客様からのメールは忌憚のないご意見が書かれていますから、モチベーションを上げるのに役立つ。よし、もっと喜ばれる商品をつくろうという気持ちになります(笑)。
今後に関してはどんな計画をお持ちですか。
僕は、実店舗あってのネットショップだと捉えています。その意味でも、売上アップに走るより、池袋三原堂や和菓子、そして池袋という街に親しんでいただく入り口にしていきたいと思っています。いまは池袋のイベント情報を載せたり、ブログとリンクさせている程度ですが、寒天づくりなど和菓子作りの工程も載せていきたい。差別化になりますし、お客様にも興味をもっていただけると思うんです。なかなか時間が取れないのが悩みですが、できるだけ早く実現させたいですね。
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掲載企業概要 Company Profile
池袋三原堂
代表/齋藤 嘉一郎
設立/昭和12年
資本金/1000万円
事業内容/和菓子の製造・販売、甘味喫茶の運営
http://www.ik-miharado.shop-site.jp/
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